![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62321351/rectangle_large_type_2_185bc9099185f212358ddbe78dcbb483.jpg?width=1200)
(連載小説)「殺人授業~岡部警部補シリーズ~」最終回(全3話)
伏山と久保田は午後の講義が終わり、家に帰るためキャンパスの庭を歩いていた。
伏山は先ほどのことが頭で一杯だし、あの女刑事は少し厄介な気がしていた。しかし、自分は負けるはずはないという自信の中、歩いていた。
すると後ろから
「伏山さん」
振り向くと、そこにはやはり岡部の姿があった。正直会いたくない人物だったが、会ってしまった以上、関わるしかないと思い、伏山は笑顔で
「あぁ岡部さん。どうかされたのですか?」
「はい。実は事件が解決しそうなので、そのご報告に」
それを聞いて少し伏山は内心笑顔になっていた。わざわざ自分たちに解決の報告をするということは、俺たちは関係なさそうだと思い
「なるほど。わざわざありがとうございます」
すると岡部は重い顔になりながら
「今回のポイントは、一体2人を殺したのは誰だと言うことです」
「え?」
一体何を言い出すんだ、この女刑事はと思いながら言うと、岡部は続けて
「犯人は恐らく、岡山さんの恋人を羽交い絞めにして、腹部を殴り身動きが取れないようにし、毒薬を飲ませた。そして邪魔になった岡山さんまで殺害したんです」
遂にそこまで突き止めたかと思い、少し恐怖を感じ始めた伏山。ふと久保田を見ると、何か言いたそうにしている。
ここでばらされたら水の泡だ。そのため
「へぇ、それだったらもう犯人は突き止めてるってことですか?」
「はい。もちろんです」
「え?」
「実は、亡くなった岡山さんは事件当日にとある場所に向かってます。そこにはすごい大きな豪邸があるそうですね。お分かりですよね?」
この女刑事は何を言いたいか。つまり自分たちを犯人だって見破っていると言うことだ。
でもそれは絶対に阻止したい。そう思い、少し怒り口調になりながらも
「つまり、俺たちが犯人だって言いたいんですよね?」
「そういうことです」
「では、俺たちの家に来た証拠は?彼女は一切来たことないんですよ?」
どうせ証拠なんぞ無く、ただこの女刑事が勝手に言っていることだ。何も根拠もないし、絶対に捕まるわけにはいかない。そう思い返事をした。
すると岡部が
「ではお伝えしましょう。実は今日とあるタクシー会社に行ってきました」
「タクシー会社?」
よく考えると、少し体が震え始めた。それは紛れもない証拠に近いからだ。すると岡部が続けて
「もうお分かりですよね。岡山さんはタクシーに乗ってあなたの家の近くで降りています。これが何を意味するか、あなたの家に来るはずのない岡山さんが、あなたの家の近くで降りてるんです」
「で、でも、他の大学生が俺の家の近くで住んでいたら、どうするんですか」
「調べました。そしたら一人もあなたの家の近くには住んでませんでした。この全学生の中で」
少し強めの口調で言った岡部。それに圧倒してつい膝から崩れ落ちた。その間に、連れられてきていた警察官に連行されていった。
岡部はただ震えながら佇んでいる久保田に近づいて
「どうしました?」
「じ、自分。あいつと協力して隠蔽しました」
「大丈夫です。恐らくあなたは罪に問われますが、私があなたを守ります」
~最終話終わり~