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(連載小説)「影の総理~官房長官の政治人生~」最終話「結末」(全5話)

花田は内閣総理大臣指名選挙に挑むべく、国会議事堂に向かっていた。車の中のテレビでは女性ニュースキャスターが原稿を読んでいた。

「本日内閣総理大臣指名選挙が行われる予定で、先日総辞職した谷岡内閣に引き続き、本日で日本平和党花田新代表が指名される見込みです。一方谷岡前総理は日本平和党に離党届を出し、同時に国会議員を辞職しました。先月の笹谷元総理に引き続き、内閣総理大臣経験者が2ヵ月連続で国会議員を辞職するという異例の事態になっています」

それを見ている花田の笑顔は悪人そのものだった。何故なら邪魔者二人とももう国会議員でないため、それも内閣総理大臣に就任したため、自分を指示したり、批判をする者はいない。言いなりばかりの連中なため、少しホッとしていた。

しばらくして国会議事堂に入り、日本平和党議員控室に入ろうとすると

「花田君」

振り向くとそこには前副総理である橋本の姿があった。少し顔が不機嫌そうな顔をしている。少し自分も重い顔をしながら

「どうかされたんですか?」

花田がそう言うと、橋本が近づいてきて

「どういうことだ」

「何がですか?」

少し真顔で言う花田。橋本が少し怒りの表情に変わり

「俺の人事だよ。聞いたぞ、俺を幹事長に引き落とすみたいだな」

すると花田が笑顔になりながら

「だってあなたは、汚職に関わってるんですから。そんな人に閣僚を任せられないですよ。でも幹事長のポストで済ませたんです。感謝してほしいくらいですよ、もし裏切ったりしたらどうなるか分かりますよね」

そう花田の策略だと、この橋本は少し使える部分があり、幹事長というある意味の重要ポストに置かせたのも、自分の手下として散々使ってから、議員辞職に追い込むものだった。
すると橋本が少し動揺しながら、議員控室に入っていった。花田もそのまま議員控室に入っていった。

「花田健太郎君を、第120代内閣総理大臣に指名することとします」

衆議院・参議院にて花田が総理大臣に指名されてから、即組閣を行うことにした。組閣本部では、続々と閣僚が決まっていき、自分がいたポストである、内閣官房長官には当然官房副長官だった、枝山を就任させることが決定した。
その後組閣が終わり、首相官邸に向かい、総理大臣執務室に入る花田。まさかこんな簡単にこの椅子に座れるなんて、思いもしなかった。人生意外と簡単だな、笑顔で思いながら椅子に座った。するとドアをノックする音が聞こえ、返事をすると新官房長官に就任した枝山が入ってきた。花田の前に立つと

「花田総理。就任おめでとうございます」

頭を下げる枝山に花田は笑顔で

「そんなことしなくていいんだよ。座って」

対面式の長椅子に二人は座った。すると花田は笑顔で

「実はな。大事な話があるんだ」

「大事な話?」

少し気になった顔で言う枝山。すると花田が微笑みながら

「今度から、ほとんどの執務を君に任せた」

「は?何でですか?」

「君は官房長官だろ。それくらいしてもらわなきゃ困るよ」

少しトーンを落としていった。それもこの男の計画だった。自分は内閣総理大臣になったとはいえ、その仕事をするつもりはなかった。会見などの基本なことはするが、法案の作成などは全て官房長官である枝山に任せようとしていた。自分はただ内閣総理大臣のポストに就きたかっただけ。あとはどうでもいいって思っていた。
すると枝山が少し困ったような顔をして

「それは困ります。話が違うじゃないですか」

「あれ、そんな話したような覚えないんだけどな。それに君は官房長官で次期総理大臣なんだよ。僕の一言で全部が失うかもしれないんだよ。それでもいいんだったら、自分がやったっていいけど」

枝山も所詮政治家。総理になりたい夢も持っていたため、この男に逆らうことは当然出来なかった。そのため渋々

「分かりましたよ」

「それじゃ、私は皇居に行ってくるよ」

枝山は何も言えなかった。それどこか少し悔しめの顔をしていた。そんな枝山をよそに、花田は親任式を行うために、皇居に向かおうとしていた。玄関に止めてある車に乗ろうとしたときに

「花田!!」

驚いて声のする方向に振り向くと、そこには前内閣総理大臣の谷岡の姿があり、自分に迫ってきた。花田は笑顔で

「あぁ、谷岡さんじゃありませんか」

すると谷岡が目の前に迫ってきたときに、何か腹部に違和感を感じて見ると、ナイフが刺さっていた。花田が驚いた顔をして谷岡を見ると、彼は少し微笑んでいた。腹部には血があふれ出ており、そのまま倒れこんだ。昔花田は腹部に持病を持っていたため、そのまま意識が遠のいていった。谷岡はその場で取り押さえられた。終始彼は笑っていた。
その後、速報ニュースを戸惑いながら伝える女性キャスター

「えぇ速報です。花田新総理大臣が首相官邸で刺されました。首相官邸からえぇ中継の清水さん」

中継が繋がり、騒然としている現場を伝える女性アナウンサー

「はいこちら首相官邸から清水です。えぇ花田健太郎新総理大臣が、えぇ前総理大臣である谷岡義秀容疑者によって、腹部を刺されて、そのまま病院に運ばれましたが、こちらの情報によりますと、病院で息を引き取ったということです。えぇ谷岡容疑者はその場で取り押され、現行犯で逮捕されました。繰り返します。花田総理が刺されて死亡しました」

場面は変わり、留置所では拘束されている谷岡が面会室に入る。するとそこには政治家を引退し、以前していた弁護士に職を変えていた笹谷の姿があった。笹谷が笑顔で

「いや、まさか。谷岡君があいつが殺してくれるなんてな」

少し谷岡が重い顔をして

「すいません。笹谷さんより先に実行してしまって。なんていうか、居ても立っても居られなくて」

「いやいや。君が実行してくれたおかげで、俺も良い弁護が出来そうだよ。必ず、死刑は逃すから、俺だって元総理だ。少しくらい圧力は聞くよ」

谷岡が少し笑顔になりながら

「よろしくお願いいたします」

そうこの二人は親友同士のため、お互い助け合う関係であった。その後、谷岡は無期懲役となった。当然仮釈放つきの

~最終回終わり~


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