花束

胸に抱えた、言葉は花束。
彩を悩んだ。種類を悩んだ。
多くを束ねた大輪は重くなりがちだ。
選りすぐりの一輪では伝わるか不安だ。
だから重ねた。色も、歳月も、この想いも。
枯れることを知らぬまま。

幸せの高台から、降り落ちる淡白な花束。
投げた彼女は純白を身にまとっていた。
きっとそれは、見た目も本質も花束だ。
貴女が作った言葉たち。
その未練を断ち切るために。
だから行く先も見ぬままに、白い花束を投げるのでしょう。

胸に抱えた、言葉は花束。
彩を悩んだ。種類を悩んだ。
多くを束ねた大輪は重くなりがちだ。
選りすぐりの一輪では伝わるか不安だ。
でも、とっさに出たのはたった一輪だけ。
枯れた大輪を伝えるわけにはいかなかった。

君が投げた花束を、受け取る権利は僕に無い。
抱え続けた花束を、伝える機会はもう来ない。

受け取った1人を中心に、恋が芽吹く。
誰かの愛に感化されて、人の恋は斯く芽吹く。
どうか、花咲く未来。幸あれ。
そう、願う、願うほどに。
あぁ、枯れる、枯れていく。

君の花から恋が咲く。美しい。美しい花だ。
されど、枯れた花は戻らないから。
水面も立たぬようにそっと、静かに沈めた。
さて作り直しだ。次はどんなものにしようか。
ただ、少なくとも、この色は要らないな。

胸に抱えた、言葉は花束。
彩を悩んだ。種類を悩んだ。
多くを束ねた大輪は重くなりがちだ。
選りすぐりの一輪では伝わるか不安だ。
されど、もう、重ねない。
枯れることを、知っているから。

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