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【低打率なのに】歴代プロ野球における数々の"強力打線"に潜む曲者達【パルプンテ?】

時たまプロ野球には、超強力な打線を武器に相手を圧倒し続け勝ち進むチームが現れる年がある。
どの打順でも気が抜けないそのチームの打線にはよく名前が付けられたもので、近鉄の「いてまえ打線」横浜の「マシンガン打線」、最近だと西武の「山賊打線」が有名どころだろう。

だが、必ずしも1から9まで強打者が並ぶ訳ではない。
さすがにそんなに上手い話は無く、必ずどこかで比較的打力の低い選手が入ってくるのである。
それは投手にとって砂漠のオアシスなのか、その格好をした熱湯風呂なのか、その選手の愛称と共に紹介していこう。

1.マシンガン打線の「不発弾」

1998年と1999年における横浜ベイスターズはマシンガン打線と呼ばれた切れ目の無い強力打線を武器に、各チームから恐れられた。

その中で一際異彩を放ったのが主に三塁を守っていた進藤達哉である。
他の選手たちが軒並み3割に近いか、3割を超える打率を誇る中で打率は2割台前半。

では彼がオアシスであったかと言えば、そうでは無いのである。日本一に輝いた1998年は打率.241ながら14本塁打、54打点を記録している。
確実性には欠けたものの一発長打を狙えるパンチ力があり、決して気が抜けない選手で守備力も高く、間違いなくマシンガン打線の一員であった。

2.ダイハード打線の「パルプンテ」

パルプンテとは、某大人気ゲームシリーズに登場する呪文であり、「何が起こるか分からない」という効果がある。

基本的には期待できないのだが、まれにとんでもないことが起きるのがこの呪文、そして福岡ダイエーホークス時代の鳥越裕介である。
中日から移籍した後の2000年代前半頃にレギュラーに定着した鳥越であったが、小久保裕紀や松中信彦、城島健司や井口資仁らを擁した「ダイハード打線」の9番を打っていた。

ただ打率は2割を超えるのがやっと、1割台というシーズンもあり、基本的に警戒されることはなかったが、その分年に数本飛び出すホームランは強烈な印象を残し、「パルプンテ」と呼ばれた。
なお、先程の進藤と同様に堅実な守備でチームに貢献しており、欠かせない存在であった事は間違いない。

3.山賊打線の「猫」

山賊打線とは、主に2018年や2019年の西武ライオンズの打線のことで、秋山翔吾、浅村栄斗、森友哉、山川穂高など1番から8番まで好打者が揃っていた。
そこで主に9番を打っていたのが「」とファンに親しまれる金子侑司である。
打率は基本的に2割台中盤であり、本塁打は数本であるが、山賊打線全盛の2018年は打率.223 本塁打1本という成績であった。

気の抜けない打線の中で唯一の休みどころとも言われたが、油断は禁物である。
金子はかなりの俊足であり、塁に出ればそのプレッシャーの中で1番打者の秋山から源田、森へと続く打線に対峙しなくてはならない。

また、その俊足を活かした広い守備範囲でチームを幾度となく救っており、足と守備でチームに貢献した。

4.ビッグバン打線の「マック」

ビッグバン打線とは1990年代後半からの日本ハムファイターズの強力打線の愛称であり、小笠原道大をはじめとする強打者が揃っていた。
その中でもはや曲者の法則、9番打者に定着したのが「マック」の愛称で親しまれた金子誠である。
打率は2割台中盤、本塁打は5本か6本、たまに10本前後といった打撃力であり、下位打線としては十分だろう。

彼の特徴としては、犠打や打順調整(9番打者のため、ツーアウトなら無理に打ちに行かず次の回打順が1番からになる等)といった渋い仕事や、得点圏では勝負強さを発揮してきっちりと打点を挙げるなど、まさに職人といえる選手であった。

守備でも確実なポジショニングと正確なスローイングで長年ショートとして活躍しており、プロ通算で守備で防いだ失点は約240点というデータもある為、チームに大きな貢献をしたのは言うまでもない。

5.いてまえ打線の「びっくり箱」

いてまえ打線とは、大阪近鉄バファローズの1990年代後半から2000年代前半にかけての打線の愛称であり、中村紀洋やタフィ・ローズ、大村直之らを擁した打線である。
特にリーグ優勝を果たした2001年は中村とローズが130打点を稼ぐなど、圧倒的な得点力を見せた。

そこで9番として定着していたのが的山哲也であり、捕手として101試合に出場し、チームの優勝に貢献した。
しかし打撃では打率.177と2割に届かないなど、あまり期待はできなかったのである。
基本的には守備面での貢献が大きく、特に強肩を活かした盗塁阻止は屈指のものであった。

しかし打撃では全然貢献できなかったかといえばそうとも言えないのが「びっくり箱」たる所以。
この年の本塁打は5本を記録しており、舐めてかかるとびっくり箱のようにポーンとホームランを打たれるという選手であった。

まとめ
ここで紹介した"曲者"達は全員打撃ではいまひとつであるものの、守備や走力といった一芸に特化してチームに貢献した選手が多い。
豪快なホームランを打つスター選手のみならず、こうした縁の下の力持ちにも注目することで野球をもっと面白く見ることが出来るかもしれない。

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