ツーリング × Suno
憧れている人と同じ死に方をするとしたら、
それはあなたにとって幸せですか? それとも不幸せですか?
<歌詞>
『ツーリング』
今日は息子にプレゼントを買った。早く家に帰らなきゃ。
スピードをあげた俺のバイクはカーブを曲がる。そして道を引き返そうと逆走してきたワンボックスに正面から激突した。
意識を取り戻したとき、俺は道のど真ん中で倒れていた。
救急隊員の声がする。
「もしもし! 聞こえますか? お名前は!?」
答えていると辺りが白い霧に包まれた。
すごく寒い。吐く息も白い。周りには誰もいない。
事故ったはずだ。夢だったのか?
白いもやの向こうに黒い影が現れた。
天才ライダーノリック。彼の名を知らないバイク好きはいない。
彼はニコリと笑って俺の横を指さす。
「ツーリングしないか?」
なんと新品のヤマハTMAXが2台。
「ぜひお願いします!」
俺たちは白く煙った世界に爆音を轟かせた。
「そろそろ帰ろう」
ノリックとツーリングなんて夢みたいだ。だけど随分遠くまで来た。また家族に心配される。
俺は来た道を振り返った。
そこにあるのは真っ暗な闇。
ああ、思い出した。
ノリックは今から3年前、反対車線から突然Uターンしてきたトラックと衝突して亡くなった。
今の俺と同じ事故さ。
「困るよ、ノリック。
俺には妻も幼い子供たちもいるんだ!
あんたと一緒に走ってる場合じゃない!」
叫んでもノリックは、悲しそうに首を横に振るだけだった。
俺たちは白いベールを切り裂くように走った。
光り輝く真っ白なゴールに向かって。