棚の中のお姫様達
おばあちゃん、もう今日は書いたでしょ?
んなぁにいってだあ、おらまだ書いとらん!ひとをボケたみたいにいいおって…
もう、おばあちゃんたら…
※追記
寝落ちてもう早朝っすね!!愚か!
こんばんはいえおはようございます架海です
今日は、いえ昨日と早朝は何故か手がよく踊るので気の向くまま書いてます。
突然起きた、じっとりした恐怖から目を背けたいだけかもしれません
よければお付き合い下さい
うちの棚にはお姫様たちがいらっしゃいます。
白い木製の小さな食器棚のお城に住むお姫様達です
ええ、はい。ティーウェアやコーヒーカップ、お皿のことです。
主に骨董市やアンティークマーケット等で出会った彼女たちは
一目惚れして買い求めたり 骨董市でお店の方の親切で求めやすくしていただいたり、ワガママを捏ねて捏ねて譲ってもらったりして
うちに来てくれた自慢のお姫様達です
白地に青い小さな花と葉を称えた彼女達は異なる場所で
一族…シリーズを揃えたお姫様たち。
カップにソーサーはデミタスサイズのものとティーサイズ。そしてお皿にミルクピッチャー。
清廉で、柔らかで…けれど暖かい愛らしさ。
いつか一族を全員集合させてあげたいなと夢を見ています
橙と黄の花の冠をかぶったレトロな彼女は
骨董市の店先の箱の中から静かにこちらを見ていました。
他の淑女らしからぬビビッドさにこちらが思わずどぎまぎしてしまったことを覚えています
強烈な出会いでしたね
白く、小さな丸いフリルと浮き出た水玉模様。そしてアザミの花のような彼女。
異国からたどり着いた貴女。他のお姫様よりもとても繊細で、そうっと抱えて共に帰りましたね
柔らかな薔薇の彼女は落ち着いた魅力を持っていて、『これが私よ。他の方なんてしらないわ』と言わんばかり。少しまあるいお姿もとてもチャーミングですよ
波打つ白に青い葡萄を実らせた彼女。
繊細な色合いと模様が儚い貴女。飲み口までもが波打った形は、色合いとは正反対の荒くれた柔らかさを教えてくれますね
艶やかなチョコレート色の肌の彼女は無骨そうに見えてやわらかく、手にとってみれば非常に手に馴染んで離れがたかい。シンプルさの中に遊び心のある形もとても素敵です
銀色のトゥシューズを履いた繊細な彼女はティーウェアやコーヒーウェアではないがスリムで、ラグジュアリーなエキゾチックすら感じさせてくれます。透き通った飲み物が似合う方。
少し小柄な、深紅の細いリボン。金で縁取りされた薔薇のブローチをつけた彼女は私のカップに対する反応をみたお店の方の善意が引き合わせてくれました。
彼女自身は値段を下げられて不満だったやも…けれど貴女をお迎えできて良かったと思っています。
色とりどりの花とオパールのようなきらめきを纏った彼女は艶かしい魅力をもっています。
光を受けるとオパールが揺らめくように彼女は妖しく揺らめくのです
青紺の草木を散らした白い装いの貴女。
自信がなくふらついていたあの時、いや今もないけど…
しゃんとした佇まいに、彼女の自己の強さを見てお迎えしたのです。
花のリースと金の葉の冠を携えた貴女はとても若々しい。花のモチーフに少々のつまらなさを覚えてしまった当時。
新しく生まれるみずみずしい花の蕾のようなあなたがいて本当に嬉しかった。
黒い花を抱いた白いドレスの貴女。
周りの姫君の中でも暗い色をもつのに一番の淑女らしさをもった、一際違った魅力をもった彼女。
今もなお静かに佇む深窓の姫君です
威風堂々と薔薇が咲き誇る貴女。
美しく棚の中を彩る貴女を迎えたくて迎えたくて
幼い私は身内にだだをこねました
あの時はうるさくしてごめんなさい。貴女を扱うにはマナーも何もかも不足しておりました。
貝殻に花を浮かべたような貴女。へりが欠けているのがなんですか、
貴女が欲しくて壊れ物だと渋る店の主に無理をいって連れて帰ってきたのです
マダムのような奥ゆかしい花のドレスの貴婦人たちもだだを捏ねて捏ねてパンが焼けるほど身内に無理をいってお迎えしましたね。
幼い私の憧れのまま、今も側にいてくれる、貴女方。
まあるい貴女。緑の葉っぱ、黄色い貴女。
素朴であまいカボチャのような彼女だ。
貴女の装いといったら!見ているだけで甘い香りがしてきそうなほど
………と、まあ……語りましたが…自室の食器棚には沢山のお姫様達がいらっしゃるのです。
眺めているだけで幸せな彼女たち。
とっておきのときに、とっておきのときに…と勿体ぶってしまっているんですよね
彼女たちは飾るためだけに生まれた存在ではないのに…
けれど折角お姫様をお招きしてお茶をするのであればきちんとおもてなしをしたいというもの
ただ怠惰に日常へ彼女たちを呼び込むのは憚られてしまうんですよね
彼女たちの素晴らしさに報いねばといいますか
………よし。せっかくの休日だし彼女たちと向き合う日にしますか!
…嫌がられてないといいんだけどな…