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【Amazon Prime】2020老人向け映画ベスト5

こんにちは、老人です。

Netflixの老人向け映画ベスト5をやったので、ついでにAmazon Prime Video版も作っときます。

老人向け映画の3条件は、Netflixのときと同じです。

1 エロがない(老人は性欲が枯れている)

2 恋愛映画ではない(老人には関係ない)

3 グロでない(老人は心臓が弱い)

老人が主人公の映画が望ましいですが、絶対条件ではありません。老人向け映画とは、内容が老人の心に沿うであろう映画、という意味です。

順位をつけず、5つ選びます。

私がPrimeで2020年に見た映画ですが、Primeの映画はしょっちゅう入れ替わっています。現時点で見られるものを挙げます。


1  「わたしは、ダニエル・ブレイク」

あまり有名な作品は選びたくないのですが(老人向けというより全世代向けになるので)、これがPrimeに入っている以上、挙げざるをえません。

大工のダニエルは妻を失くし、心臓病で失業中だが、老人でコンピューターができないので、失業手当をオンライン申請できない。頭をかかえるダニエルだが、ある日、やはり給付を得られないで怒りくるうシングルマザーのケイティと出会う。二人は励ましあうが、貧困により追い込まれていき・・・

カンヌで最高賞をとった、老人映画の金字塔です。見るのは3度目ですが、また笑って、泣いて、感動させられました。「生きているとはこういうことだ」としみじみ味あわせてくれる。そして映画は、左翼のケン・ローチ監督の、拳を突き上げるようなメッセージで終わリます。

この老人の精神だけは、死ぬまで忘れたくないと思わせる。傑作中の傑作です。


2  「ルイ・セローが見た認知症 家族の苦悩と愛」

いつの間にか認知症に関する映画はたくさん増えました。

このAmazon Primeにも、「私の頭の中の消しゴム」みたいな「古典」から、「レイニーのままで」「369のメトシエラ」「あの日に帰りたい」「共に歩く」、そして最近「長いお別れ」も見られるようになりました。

他にもあると思うんですが、ヒマな老人の私でも、さすがに全部は見ていません。最近、あるミステリー映画で、ある人物が「実は認知症」というトリック(?)を使ったのを見ました(題名を言うとネタバレになるので言いません。「殺人者の記憶法」ではありません)。

老人が、認知症の老人の映画をどう見るべきか、というのが、よくわかりません。認知症というものに対する私の視点がはっきりしていない、というか。認知症がドラマになりやすい、というのはわかりましたが、認知症予備軍の老人がそれを見て、どう感じればいいのか・・・。

それは、認知症が(ほぼ)予防できず、また治りもしない病気だからでしょう。どうしようもないのです。よく言われるように、認知症の最大の予防策は、長生きしないことです。これは病気なのでしょうか。これが病気なら、長生きそのものが病気ということにならないか・・・

いずれにせよ、認知症の映画は、いくら同情的なものでも、何か落ち着かない気分にさせられます。

そんななかで、「ルイ・セローが見た認知症」は、とにかく楽しく見れました。映画ではなく、ドキュメンタリー番組ですが。

イギリスのジャーナリストであるルイ(ルイス)・セローが、アメリカの認知症施設をルポする内容です。患者と家族にたいする、セローのスタンスがいいですね。患者の信じられないような言動と、それにたいする家族のリアクションを、正確に、しかし突き放すでもなく、絶妙にユーモアもまじえながら紹介していきます。

まずはこの映像を見て、心の準備をしておくというのはどうでしょう。


3  「何か」

Amazon Primeは、Netflixほど国際色豊かではありませんが、北米(アメリカ、カナダ)系を中心に地味な映画を幅広く集めている感じです。

この「何か(原題 Something)」というアメリカ映画も地味ですから、ヒマな老人でもないと見ないでしょう。私はなんの予備知識もなく見始めました。そんなに長い映画ではありません。そして、最後の5分で、びっくり仰天しました。

最後の5分になって、有名俳優が突然出てくることに、まず、びっくり。そして、その俳優が明かすことの「真相」が、あまりに意外な内容だったからです。

若夫婦と、赤ちゃんがいる家庭。夫婦は育児ストレスでイライラしているようです。ストレスでどちらかが凶行をおかす、「シャイニング」みたいな映画かな、とまず予想しました。

そのあと、夫婦は、家の中に知らない誰かいるようだ、と感じる。最近、よくある、「サプライズ」みたいな家宅侵入ものかな、と次に思うわけですね。

しかし、二人で探しても、誰もいない。でも、何かが家の中をちらつく。こりゃ「パラノーマル・アクティビティ」とか「インシディアス」みたいなホラーなのか、と思う。

真相は、そのどれでもない。結末の意外性がキモなので、当然ここでは書けませんが、ネットでこの映画を調べると、いきなりネタバレさせているレビューがありました。私は何も調べないで見たからよかったです(みなさんにもそう勧めます)。

この映画、「老人映画の3条件」を満たしているとはいえ、「老人向け」と言うのは少し苦しい映画です。

ですが、最後の「真相」に込められたメッセージは、重大なんです。もしかしたら、これを見た老人の命を救うかもしれません。

これ以上は書けませんが、おヒマでしたらぜひどうぞ。


4  「なにはなくとも全員集合!!」

Amazon Primeは、「男はつらいよ」みたいな昭和の娯楽映画を取りそろえているのも特徴です。

そういうのはすべて懐かしいので、老人向けと言っていいかもしれませんが、いまだったら、このドリフターズ映画の第1作(1967年公開)を勧めます。

草津を舞台に、バス会社所長(いかりや長介)と、鉄道駅長(三木のり平)が温泉客を奪い合うというドタバタ。当時の風俗の懐かしさとともに、いま見ても快調なテンポで楽しめます。

残念ながら、今年亡くなった志村けんは出てきません。まだ荒井注の時代ですから。志村も好きでしたが、私は荒井注が大好きでした。2人をともに追悼したいと思います。

荒井注を見られるのも楽しいのですが、このころのエースは、やはり加藤茶ですね(バス会社社員役)。まだ若いいかりやと加藤茶の掛け合いを見ていると、無邪気に笑っていた子ども時代を思い出し、なつかしさで胸がいっぱいになります。

同じバス会社社員役で、古今亭志ん朝が出ているのも、この映画の値打ちです。志ん朝も若くて、さすがにうまく、面白い。


5  「コール・ザ・ミッドワイフ」

Amazon Prime は、HBOとBBCの良質なドラマを集めているのが売り物です。だから、どちらかから1作選びたいと思ったのですが、老人向けというシバリだと、なかなか難しいですね。

そのシバリがなければ、私がお勧めしたいのはHBOの「Veep」です。女性副大統領のドタバタを描いたコメディで、エミー賞をいくつもとった有名作だから見た人も多いでしょう。近年、私がいちばん笑ったアメリカのコメディです。ちょうど女性副大統領が生まれたことだし、とも思ったのですが、「老人向け」とはどう考えても言えません。

老人が主人公ということでは、同じHBOの「オリーヴ・キタリッジ」が順当かな、と思ったのですが、ここでのフランシス・マクドーマンドは私はあまり好きではなく、それに老人というには少し若い。

ということで、BBCの「コール・ザ・ミッドワイフ ロンドン助産婦物語」にしました。戦後すぐのロンドンの貧しい下町を舞台に、助産婦さんたちの活躍を描くドラマです。

主な登場人物は若い助産婦さんですから、老人向けというのは苦しいですが、全体が、元助産婦だった老人が昔を振り返る、という設定になっています(原作が助産婦の回想録)。

だから、貧しい人たちの出産をあつかうドラマですが、ERみたいな医療ドラマ風ではなく、ノスタルジックな雰囲気で、ほのぼのした人情劇になっています。出産にまつわる、若者たちの愛憎や葛藤を、遠く優しい目でながめる、老人の視点です。若いころのことをいろいろ思い出しながら、楽しめるでしょう。

教会が舞台でもあり、エログロはありませんが、マイルドな恋愛劇はあります。

(終わり)






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