【Netflix】「ミッシング:行方不明者捜査官たちの戦い」 失踪の理由となる「家族」と「警察」<ネタバレなし>
<概要>
「ミッシング」という名のドラマ・映画は多数あるが、これはNetflixの新作ドキュメンタリー。
不可解な状況で失踪した行方不明者を、通報を受けてから直ちに捜索する失踪者捜索課。サウスカロライナ州の保安官事務所に所属する捜査官たちの日々に密着するドキュメンタリーシリーズ。(公式サイトより)
<評価>
ネットフリックスのドキュメンタリーは基本的に面白い。その中では平均点の出来か。
ものすごく面白いわけではないが、興味深い現代社会の裏側を覗くことができる。
扱われるのは4つのケース。
・息子から虐待されていた初老の女性の失踪
・離婚した父母のあいだで親権を争われていた少女の失踪
・当選した宝くじの換金中に消えた中年男性の失踪
・10代後半の孤児少女の里親からの失踪
原題に「MISSING: DEAD OR ALIVE」とあるように、失踪者が生存しているのかどうかが、関心の的となるように作られている。
ここでは、生存している場合も、そうでない場合もある、とだけ言っておこう。
また、全4話のシリーズだが、1回で1ケースを扱うのではなく、続けて見ないと、それぞれのケースの結末がわからないようになっている。
このドキュメンタリーで、失踪者を心配し、警察に失踪届を出すのは家族である。
心配する人がいなければ、「失踪」ですらない。その意味で、このドキュメンタリーは家族の絆、「家族愛」を描いている。
そして、警察は、その家族のために、失踪者を探す。失踪者を、無事に家族に返したい、という警察の強い思い。このドキュメンタリーは、警察官の強い使命感と職務熱心を描いている。
家族愛と、警官の職務熱心の「美しさ」が、このドキュメンタリーのテーマだと言える。
しかし、失踪は、その家族や警察から遠ざかりたいから起こることもある。それも、このドキュメンタリーは描いている。
「家族憎悪」と「警察不信」も、失踪の原因になっている、という皮肉。そこが面白いと思った。
ネタバレになるからこれ以上は言えないが、
「家族は素晴らしいのか、恐ろしいのか」
「警察は素晴らしいのか、忌まわしいのか」
このドキュメンタリーを見て、人によって感想が別れるかもしれない。
ところで、ネットフリックス含め、海外のドキュメンタリーを見ると、いつも思うことがある。
日本で言えば「警察24時」みたいなものなのだが、日本のものより、限りなく「ドラマ」に近いドキュメンタリーになっている点だ。
例えば、失踪者の痕跡が発見され、捜査官が家族に伝える場面では、捜査官側の映像と、電話を受ける家族の側の映像の両方が撮影されている。
これを撮るためには、捜査官側から「これから家族に電話します」と言われたとき、
「ちょっと待って。家族の方に撮影隊を回すから」
と捜査活動を中断させ、撮影を手配しなければならないはずだ。
そういう風にやっているのだろうか。面倒だし、法的に許されるのだろうか。
日本で同じものを作れるのだろうか、作れないとしたら何が違うのだろう、といつも考えてしまう。