【AmazonPrime】「ダークグラス」ダリオ・アルジェントの輝ける駄作 *アルジェント全作品採点表付き
【概要】
ダークグラス
イタリア・ローマで娼婦ばかりを狙った猟奇的な連続殺人事件が発生。その4人目のターゲットにされたコールガールのディアナもまた殺人鬼に執拗に追いかけられ、ある夜、車を衝突させられ大事故に遭い、一命は取り留めるも両目の視力を失う。同じ事故で両親を亡くした中国人の少年チンとディアナに絆が生まれ、一緒に暮らすこととなるが、サイコパスの殺人鬼はその後もしつこくディアナたちを殺害しようとつけ狙う。
1時間25分、2023、PG12
予告編
【評価】
ダリオ・アルジェントの最新作「ダークグラス」が、コソッとアマプラの会員特典に入ってたwwww
2年前に封切られたとき、「10年ぶりのアルジェントの新作」「アルジェント最後の作品?」と話題になったが、この映画の評判が悪いことはすでに書いたwwww
だから、駄作なのは分かっていたが、やっぱり見たわwwww
だいたい、1990年代以降のアルジェント監督作品は、基本的に全部駄作だわwwww
それでもわたしは、ダリオ・アルジェントの監督作品ほぼ全部見てるwwww
殺人鬼に追われる盲人と子供、という筋は、1971年の「私は目撃者」を思い出させる。
「私は目撃者」は、主人公の「目が見えない」という設定が生かされていない、と批判された。
アルジェントは、それが悔しかったのだと思うwwww
それで、老人の妄執で、50年後にこの映画を撮ったのだと思うwwww
結果はもちろん駄作であるwwww
でも、やっぱりアルジェントの個性が好きだわwwww
皮手袋の殺人鬼が、娼婦を残忍に殺していく、という「ジャーロ」の様式美そのままwwww
ジジイになっても、ミニスカートの女がパンツ見せながら逃げ回る姿を、嬉しそうに撮っているwwww
こっちもジジイになって、それを見て感動したwwww
ああ、アルジェントは、死ぬまでアルジェントだなあ、とwwww
1970年代、80年代に青春を送った者にとっての、ダリオ・アルジェント映画の特別な意味は、いまの若いもんには決してわからない。
なにしろ、わたしも、なんであんなにアルジェントが好きだったのか、説明不能であるwwww
わが世代のアルジェント愛については、ご承知のとおり、吉本ばななさんがいっぱい語ってくれている。
見る人が見れば、私の作品はイタリアのホラー映画監督、ダリオ・アルジェントの映像にそっくりだということが、すぐにわかってしまう。文章と映像を比べるのも乱暴な話だが、私はいつもああいう映像を頭の中に描きながら、ああいう世界に近づこうとしながら書いている。「サスペリア」の頃からずっと、彼と私の生涯のテーマがよく似ているのを私は肌で感じていた。それから、私の心象風景を映像にしてくれるのはあの人だけだ、自分の心を目で見るのはとっても快いことだ。それを文章に直すのとはまた違うわかり方で、自分の好きなことがとてもよくわかってくる。A・ロメロとダリオ・アルジェントの「ゾンビ」のようなものをいつか描くのが私の夢だ。あまりに作風(っていうか、何ていいましょうか)が違うので表現するのがむつかしいけれど、あの、人間関係の感じ、閉じ込められた感じ、巨大なスーパーマーケットや、人気のないその通路のしんとしたイメージ、曇っている天気の具合、こわさ、スリル、生と死のドラマ、色彩、向上心のあり方、人間の品格についての考え方、生命力によせる作者の信頼の強さ・・等々が私の理想にぴったりと合っていて、見たのは中学生の頃だったが、未だにあの感動を胸に抱いている。
私は苦節10年、先日、ついに、私の神であるダリオ・アルジェント監督を見た! 生の本人をだ。私にとってこれがどれほどすごいことか、わかっていただけるだろうか。「サスペリア」で出会ってきっかり10年、私は彼の映画をどれだけ観ただろう。くりかえし、くりかえし。新作が来るたびに必ず先行オールナイトに行き、誰よりも早く、熱中して観続けた。はっきり言ってすごく影響を受けている人だ。5年前「フェノミナ」の時は来日を知っていたがバイトが入っていた。そして今回彼の新作、「オペラ」という映画を観るためにファンタスティック映画祭に出かけていったら、お忍びで来ていたのですね。映画の前に本物の彼が歩いて舞台に出てきた時、私は本当にひとすじ涙が出たよ。映画も最高だったし、いい秋だ。私はイタリア語を習い、いつか彼に(彼はイタリア人だ)直接この10年間の想いを伝えようと固く心に決めたのであった。
吉本ばなな「パイナップリン」(1989)
私の人生を変えた映画、ダリオ・アルジェント監督の「サスペリア」。これがなかったら吉本ばななはいなかったであろうと思われる映画。
(吉本ばななブログ 2019年2月4日)
吉本ばななさんは「ダークグラス」を見たのかな。
見たのなら、老人どうし、縁側で茶をすすりながら、アルジェントばなしに花を咲かせたいものだ。
以下、ついでに、アルジェントの監督作(ほぼ)全作品を5点満点で採点しといたwwww
歓びの毒牙(1970年) 監督・脚本 4点
わたしは目撃者(1971年) - 監督・脚本・原案 4点
4匹の蝿 (1971年) - 監督・脚本 3.5点
ビッグ・ファイブ・デイ(1973年) - 監督・脚本 未見(コメディ作品)
サスペリアPART2(1975年) - 監督・脚本 5点
サスペリア(1977年) - 監督・脚本・音楽 5点
インフェルノ (1980年) - 監督・脚本 3.5点
シャドー (1982年) - 監督・脚本 4点
フェノミナ (1985年) - 監督・脚本 4.5点
オペラ座/血の喝采 (1987年) - 監督・脚本・製作 3.5点
マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴 (1990年) - 「黒猫」監督・脚本・製作総指揮 3点
トラウマ/鮮血の叫び (1993年) - 監督・脚本・原案・製作 3.5点
スタンダール・シンドローム (1996年) - 監督・脚本・原案・製作 3点
オペラ座の怪人 (1998年) - 監督・脚本 未見
スリープレス (2001年) - 監督・脚本 3.5点
デス・サイト (2004年) - 監督・脚本 3点
サスペリア・テルザ 最後の魔女 (2007年) - 監督・脚本 2点
ジャーロ (2009年) - 監督・脚本 2.5点
ダリオ・アルジェントのドラキュラ (2012年) - 監督・脚本 途中離脱
ダークグラス (2022年) - 監督・脚本・製作 3点
(作品リストは日本語wikipedia「ダリオ・アルジェント」を参照しました)
<参考>