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【Netflix】「インターネットで最も嫌われた男」 復讐ポルノに復讐する痛快なストーリー
Netflixのドキュメンタリーは、1回で済むのを無理に3回に引き伸ばしたようなのが多い。
しかし、この新作「インターネットで最も嫌われた男」には、そんな間延びした感じがない。
個性的な登場人物が多く、意外な展開があり、痛快な結末がある。最近のNetflixオリジナル・ドキュメンタリーの中でも出色の出来だ。
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アメリカで、2011年から2012年にかけ、「リベンジ・ポルノのキング」と呼ばれて一世を風靡したハンター・ムーア。
素人ヌード写真の投稿サイトを運営した20代のこの男こそ、「インターネットで最も嫌われた男」だ。
フラれたことへの腹いせで、元カノのヌード写真を投稿する文字どおりのリベンジ・ポルノもあれば、自分だけの思い出のために撮った写真がなぜか流出して掲載されることもあった。
ハンターは、「ひろゆき」と「ガーシー」を足して、全体に邪悪さを2倍増ししたような人物だ。
被害者の女性たちが「写真を削除して」と訴えても、ハンターは「自分はサイトを運営しているだけ。投稿内容についての責任は投稿者にある。俺は知らない」と取り合わない。
それは、2チャンネルでひろゆきが言っていた理屈に似ている。しかし実際には、ハンターはサイトの広告で儲けている。問題のある投稿ほど、閲覧数が増え、広告料も増えるから、彼にとっては美味しいのだった。
彼は、「俺のサイトが理由で自殺者が出たら、話題になって俺が儲かる」と公言するような人物だった。次第にネット上でファンが増え、「悪のヒーロー」になっていく。「ガーシー」みたいに。
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しかし、ドキュメンタリーの主役は、この「インターネットで最も嫌われた男」ではない。
娘のヌード写真を掲載され、頭に来た母親、シャーロット・ロウズだ。
10年前の当時は、リベンジ・ポルノへの救済策がなかった。警察に行っても、FBIに相談しても、マスコミに訴えても、冷たい反応しかない。「そんな写真を撮った娘さんが悪いんじゃないですか」「ネットに出たくらいで、たいした被害はないでしょう」という反応だ。
しかし、この母親はただ者ではなかった。
ただ者ではない、というのがわかるのが2回目以降で、彼女の追及ぶりが痛快すぎるから、このドキュメンタリーは最後まで飽きさせない。
法の抜け穴を利用し、ネット世論を味方につけ、当時無敵に見えた悪のヒーローを、一見平凡な1人の専業主婦が追い詰めていく。彼女は、この「ひろゆき+ガーシー」みたいな男が破滅するまで手を緩めない。しかもそれを、ちょっと楽しげにやってみせるのである。
「決して怒らせてはいけない相手」がよく映画で出てくるが、彼女こそがそういう相手だった。「イコライザー」とか「ジョン・ウィック」みたいな話。それが実話であることで、映画を超えている。オススメです。