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キクイタダキとおもしろ江戸人物伝

回文作成仲間、烏賊歌う会のメンバーから
「回文もいいですが、ひとつ、ホラ話を作りませんか?」とメールが来た。

彼は、先日、キクイタダキ(日本最小の野鳥)の写真を撮ったそうで
その時、ふと思いついたことがあったと続いていた。

「昔、菊井忠顕(キクイタダアキ)という武将がいて、
いろいろあって・・・、
で、それからその鳥はキクイタダキと呼ばれるようになりました…
というような伝説ホラ話をでっち上げようと考えたんですが、
アイデアだけで終わってしまいました。
かきのたねさんが、これ書きませんか?」と。

写真添付で。

ほんとに、なんてかわいい鳥だろう!
頭の上にちょっと見える黄色、
あれを菊に見立てて菊頂きとつけた昔の人のセンスも、いい。

歴史には相当、疎いけど、妄想するのはおもしろそうなので
書きます、と返事した。

メールには、「時代考証なんて、しなくていい、武将でなくても
学者や殿様でもいいんじゃないか」とも書いてあったが
なんの手がかりもないと、妄想のしようもなく
図書館に、よさげな参考資料はないかと探しに行った。
学者だったら江戸時代がいいかなぁ。

読みやすいほうがいいなと
児童書コーナーで「おもしろ江戸人物伝」ってのを
パラパラしてみた。

すると、なんとなんと!!

菊井忠明さんがいたのだ!
明と顕はちがうけど。

なんと!なんと!である。
読んで見たら、もっと、もっと、なんと!なんと!だったのだ。


児童書とはいえ、そのまま書き写すのは大変なので
ちょっと、あらすじを。

ついでにイラストもつけてみた。

★★ 江戸のお医者さん、菊井忠明  ★★★

菊井忠明は、江戸中期の漢方医さんでした。
困ってる人からはお金を貰わない、お金持ちからはふんだくる
…そんな人情に篤い人柄で
町の人から尊敬されて…いたかと思いきや
やぶ先生と呼ばれて、あまり尊敬はされていませんでした。

というのも、
好きなことは、お酒を飲むことと
薬草とり、と称して、つまみになりそうなものを
医院の裏手の小山に探しに行くことで

しょっちゅう酔っぱらっているし
酔っぱらって転んで着物をどろだらけにしたり
川に落ちそうになったり小山に行ったら、
やぶの中をほっつき歩いてるし。

それでも、具合が悪いと呼びに行けば、すぐやってきてくれる、
やぶと言われつつも、腕はよい。
親身に治療してくれるということで
なんだかんだ言いつつも…
みんな、なにかあったら、先生のところへ駆け込みました。

そういうある日、小さなお祝い事に誘われて
やぶ先生、ご機嫌で出かけました。
しかし、朝になっても先生は帰ってこないと
助手の久太郎さんが、青い顔でみんなのところへやってきました。

さあ、大変とばかりに皆は探しにでかけました。
「相当、千鳥足だったからなぁ」
「ご機嫌でしたよね」
「どこかで寝てるんならいいが…」

おーい!せんせー!
そこら中を探しても見つかりません。
そこで、そうだ、前に落ちそうになったことのある川も探そうと
みんなで向かったのです。

どうぞ先生落ちてませんようにと、久太郎はこぶしを握りました。

川の岸辺は草が茂って見渡しても草ばかり。
そこに、チラチラと黄色いものが見えます。
チラチラチラチラ動いてます。
とりあえず、そこへいって見ると

「先生っ!」
やぶ先生は、そこに座って眠り込んでいました。
そして、その頭の上にはキクイタダキが。

「菊井の頂にキクイタダキ…」

久太郎は安心したあまり思わず、駄洒落がでてしまいました。

その声で、目を覚ましたやぶ先生。
久太郎は、いかん、聞かれたか?と小さくなったけれど
いえいえ、慌てて起き上がった先生は、みんなに謝りました。

それから、お酒を飲みすぎないよう
それを忘れないよう、先生は「菊井忠明」と名乗ることにしました。
先生、それまでは菊井玄千という名だったのです。

その後、やぶ先生が
お酒をひかえるようになったかどうかはわかりません。

      おしまい 

とまぁ、こういう話だったんです。
びっくりですよね~ほんとにいるとは!!!

★★★★★

………と、いうホラ話。
バレてたかなぁ。
図書館で探してるところから、ホラ話はじまってたんですよ。
















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