立ち止まって見える世界
自分の人生について、ふと考えてみた。
今までの自分の通ってきた道は、決して平たんではなかった。 凸凹だったし、のぼり坂もあったし、下り坂もあった。
最近までは、長い螺旋階段の途中にいる感じで、見えない先に向かって、グルグルと息を切らしながら登ってきた。
周囲の人は、美しく走りぬけていく。
その人たちの後ろ姿を見ては、息切れしている自分はどうして、こうもどんくさいのかと、自分の不器用さを嘆くこともあった。
そして今、周囲のスピードの速さに追い付けず、ふと立ち止まってみた。
というよりも、体と心が追い付かずに、こけてしまったという表現が近いのかもしれない。
こけて、立ち止まってみると、見えてきたのは今まで見えてこなかった世界。
走ることに気をとられて、今まで気づくことができなかった世界。
「あぁ、こんなところに花が咲いている。
こんな風が吹いていたのか。」と。
美しくかけぬける人生もあるけれど、私は泥臭くてものんびり過ごす人生を、これからは選びたい。
3歩進んで4歩下がることも長い人生において、時にはそれもありなんじゃないか、と柔らかい風の中で立ち止まって考えてみた。