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水道広域化について(委員会質問)

ずいぶん遅れましたが、委員会で水道広域化について質問しましたので報告です。

水道の広域化についてはこれまで何度も書いてきました。

僕の考え方を復習しますと

・それぞれの市町村が単独で行うより、県で一体的に水道事業を行うことはメリットが大きい。それはスケールメリットとして自然に現れるものと、国からの補助金という形で意図的に与えられるものに分けられるが総額で650億円程度のメリットが享受できる。

・メリットの分け前に関して、例え奈良市のメリットがそう大きくなかったとしても、奈良県全体のことを考えるとケチなことを言わず推進するべき。

ただし言外には当然、以下の主張が含まれます。

・奈良市のメリットの取り分が小さいどころか、奈良市だけが損をして他の市町村が大きく得をするルール設定になるのは、奈良市の議員として許せない。(例えば奈良市には650億円のメリットからの取り分がないだけでなく、さらに50億円損をして、残りの市町村が700億円を山分けするような形はルールがおかしい。)

さて、委員会での質問の論点はこの部分からです。

これまでの説明では、奈良市が単独で事業を続けた場合、水道水の料金は10年後に258円/㎥まで引き上げざるをえない。それが広域化なら233円/㎥までの値上げですむ。

これが本当なら、今より値段はあがるものの、時間軸を揃えて比較した場合大きなメリットがある、と書いてきました。

ただし「単独事業のままなら258円/㎥まで値上げせざるを得ない」というのがホンマの話であることが前提で、これがホンマなのかどうか会派をあげて調査してきました。

そして、どうやらこれは怪しいぞって話にぶち当たったので、しっかり事実を抑え嘘をつけない状態を作った上で担当課に質問をぶつけました。

Q、奈良市単独で事業をした場合、水道料金は実は今後10年間値上げをしなくてもやっていけるのではないか?

A、年間30億の建設改良費(半分は市債)を見込んだ場合、今後10年間値上げは行わずにやっていけます。

Q、建設改良費が30億円ならという但書がつきましたが、年間30億円では実際には経営できないという意味なのか。去年まで5年間平均の建設改良費はいくらだったか。

A、17億円程度です。

Q、では十分な建設改良費を見込んだ上で、値上げせずに運営することは可能ということですね。
ちなみに水道料金は人口が減れば減るだけ値上げせざるを得ません。今の試算に人口減の視点は含まれていますか?

A、含まれています。社人研(国立)の数値の低位での推移(より人口減が激しい想定)を反映しています。

ということでした。
ただし、上の過程は今ある貯金を切り崩しながらということが必要となりますし、局長からは「10年ではなく30年の長いスパンで見てほしい」との話もありました。

もちろんこれで結論づけるつもりはなく、今後も調査は進めますが、そもそも「10年後には258円/㎥まで値上げが必要」と説明したのは局長ですから、ずいぶん信憑性が下がったのは事実です。

そして、この水道広域化について正式に議会の議題となったことはなく、議会の意思決定がないまま、市長は今年の1月25日に「水道事業の統合に関する覚書」にサインしています。

その覚書が画像なのですが

Q、覚書にサインしたから奈良市はもう後戻りできないという事態を危惧しています。覚書の法的拘束力についての見解は?

A、覚書に法的拘束力はありません。

Q、別の場でもそのように答えられていましたが「覚書に法的拘束力はない」は意味がわかりません。契約とは契約書を指すのではなく、そこで行われた約束のことです。それを忘れないように契約書にしたり、覚書にしたりするのであって、覚書だから法的拘束力がないということはあり得ない。
そうではなくて、今回覚書に交わされた約束の中に、奈良市が引き返せなくなるような約束は含まれてないのか聞いています」

A、すみません。その通りです。覚書の中にそのような内容は含まれていません。

Q、ありがとうございます。ただし、奈良県の水道広域化にとって奈良市が参加するかしないかは前提がひっくり返るほど大きな問題ですから、そんなに簡単に引き返せるとは思わないですが、少なくとも法的にそうなることはないと理解しました。

というようなやりとりがあり、覚書を調べてみましたが、それはその通りだと思われます。

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今後も議論は続けていきますが、市長が知事の言いなりのままでは、議会が市長の言いなりのままでは、奈良市の未来は決して明るくありません。

広域化に賛成、反対と言うことではなく、正しい数字が当たり前に手に入った上で建設的な議論ができることを望んでいます( ;´Д`)

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