奈良 水道広域化について②
奈良市議会も12月議会のまっ最中でして、水道の広域化については議案に挙がっているわけではないものの、いろんな意見が出ています。
柿本が少し驚いたのは、広域化に対して否定的な意見が多いことです。
ただし、広域化によってスケールメリットがあることは明らかですし、国からの補助金が出ることも客観的な事実です。
それらメリットから得られた収益によって、老朽化したインフラを補修することの大切さも、皆が認めるところです。
では何が問題になっているのか。
それはメリットの分配です。
全体としてメリットがあるのはわかるが、県の想定通り進むと、奈良市の得が他市に比べて少なすぎる!むしろ損をするんじゃないか!
という意見が出てきているわけです。
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例えるなら、中華屋さんでランチを食べていたA君が顔を上げると、両隣には友達のB君C君がたまたま同じようにランチを食べていました。
そこで1人が
「この店には団体割引があり、3人なら300円安くなる。3人の会計を1つにまとめてもらって、割り勘しよう!」
と提案しました。
A君が食べていたのは500円の料理。B君は600円。C君は700円の料理です。
合計すると1800円。
300円割引して割り勘すると1人500円です。
A君は思いました。
(2人にとっては支払いが安くなるが、僕は500円のままで得はしない。だけど1口ずつおかずをトレードしてもらうことで色んな物が食べられるし、トレードで少し得をするのは単価の安い自分だ。)
そうして3人はランチの広域化に踏み切ったのです。
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もしも上記のような状況ならこれでハッピーエンドですね。
もちろん1人100円ずつ安くするという方法もありますが、そうすると今度はC君が、自分のエビとA君の唐揚げのトレードを拒むかも知れません。
何よりA君(奈良市)はこの時、たまたま2人より財布が暖かかったのでケチなことは言わなかったのです(^o^)
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ではこの場合はどうでしょうか。
A君が食べていたのは500円の料理。B君は700円。C君は900円の料理でした。
合計すると2100円。
300円引いてから割り勘すると、1人600円です。
その時、A君はこう思うかも知れません。
(2人の支払いは安くなるが、僕は100円高くなる。自分は唐揚げが好きでオーダーしたのだから、100円払ってまでトレードしたくない。)
3人の広域化にむけた交渉は決裂し、全体で300円のメリットを得ることは叶いませんでした。
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この場合に悪いのは、広域化自体ではなく、メリットが可視化できない割り勘というルールです。
奈良の水道広域化の話も非常によく似ています。
上記のように料金が明確にわかっている場合は、全員を尊重した折衷案を取ることができるかも知れませんが、水道料金は「今後このように推移する(はず)」という予想のもとに交渉していますので、どの予想を信じるかでなかなか難しいのだと思います。
これは共産党が示した「このままでは奈良市が割り勘負けする」ということを示した資料です。
ちょっとややこしいので資料の結論だけを言いますと、他の市は料金が値下げになって得をしている。
24年間のスパンで見ると、奈良市だけが20億円損をして、他市が20億円得をしている。
もちろん奈良市のインフラが20億円で補修できると考えれば損ではないが、他市に比べてメリットの見劣りが大きすぎないか。
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そんな感じだと思います。
そう言われれば確かに、なんですね。
見えない未来の数字なんで確かなことではないですが、どうやら奈良市はあまり得を感じられない「ルール」が提案されているようにも感じます。
ただし僕としては、広域化が悪いわけではないので、広域化を進めるのを前提にみんなが納得できるルール作りに努めてほしいなと考えています。
僕が入る特別委員会は水道の広域化は議題に入っていませんので、12月議会からの水道広域化の報告はここまでです。
1月に市長がどんな決断をくだすのか見守り、また報告させていただきます。
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最後に目に見える部分だけで僕なりの指摘を。
現在、水道料金は市によってバラバラです。
奈良市は一番安いC市にあたるので、(割引なくこのまま)割り勘しては損するに決まっています。
最初から3市の料金を揃えようというなら、普通はB市あたりの料金になるはずですが、そうすると奈良市は水道料金が上がってデメリットしか感じないでしょう。
なので最初は
奈良市の料金より少し安い統一料金にしよう、と県は考えているわけです。
確かにこうすればどの市も得したように感じます。
ただよく考えると、最初の段階では広域化のメリットなど出ていないのに料金をこんなに下げて大丈夫なのか?
という疑問にぶち当たります。
メリットも出てないうちから、ただ単に広域化を推進するために料金を下げるのですから無理が出てきて当然です。
奈良県の統一料金はこの後、急激に上がり始めることになるのではないでしょうか?
それならばということで柿本の提案ですが、最初は各市町村バラバラの今の料金のままスタートしたらどうかと思います。
そして料金値上げの必要な分を、安い市から上げていき、一つ上の料金と同額になったところで統一します。
そうやって徐々に料金の統一をしていけば、料金の値上げは最大限緩やかになるはずです。
そして不満が生まれないように、値上げの早い市のインフラから順次補修していく。
それで、広域化にメリットがあるのなら、全ての市にメリットが振り分けられます。(ただしメリットを実感しにくく、選挙を控えた市長や知事は嫌いそうなやり方)
それからもう1点、全ての市町村の水道局の
①水道料金 ②貯金 ③借金 ④今後必要な補修費
を公表して、情報をシェアしながらルール作りにあたることは必要不可欠であると思います。
例えば貯金はあるんだけど、水道管はボロボロのまま放ってあるので、それを修理したら貯金の何倍もお金がかかる、という市もあるかもしれないからです。
せっかく奈良県民のためにメリットのある大きな事業の転換を行うのです。
みんなが得して納得できる水道の広域化を望みます(o^^o)