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寝言

  眠る君に声をかける。

「どうしたの」

  返事はない。寝ている人は返事をしない。時々反応がある。身をよじり、あるいは寝返りをうつ。反応があると面白くなる。

「起きてるの」

  繰り返し聞いてみる。口がもぞもぞと動く。声にならない声、言葉にならない言葉が紡がれる。か細い糸を逃すまいと耳をそばだてる。

「う……にゃ……むよ、き……」

  ほとんど何を言っているのか分からない。夢の中にいるのか、現実に何かを訴えようとするのか。

  不意に言葉になる。

「梅干しがあるからさ、ダメじゃないじゃん」

  夢うつつの世界には梅干しがあるから大丈夫。

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