足跡
突然両親が姿を消した。
本当に突然だった。
僕が母が作ってくれた冷凍唐揚げ入りおにぎりを食べている時に、母が昨日から何故か不機嫌な父が寝ている部屋に入るのを目撃し、母が入ってから20分後に父、母共に部屋から少し険しい顔をしながら出て来て、冷凍唐揚げ入りおにぎりを食べ終わりそのままネットサーフィンに勤しんでいた僕に向かって「コラムニスト(仮)〜〜。急遽用事が出来ていつ帰って来るか分からないけど、その間家の手伝い頑張ってね。」と伝えられて僕は「何処行くの、」と母に聞くと何故か無視された後、その足で本当に何処か行ってしまった。怖い。嫌な予感しかしない。だから今日は僕が冷凍庫の中にあった豚こま肉を使って生まれ初めての豚肉料理を作った。YouTubeで「豚肉 ご飯が進む」と検索して1番上に表示されたリュウジさんのサムネに「炒り豚」と書かれた動画を開いてそれ通りに作ってみた。絶対出来ないと思っていたが、案外簡単に作る事が出来て自分をこれまで以上に好きになった。ありがとうリュウジ。そして何も知らない姉が仕事から帰って来て状況説明をする。少しの沈黙の後「もしかしてお父さん、施設入るんじゃない?」と言って来た。確かに。父はADHD.ASD.躁鬱.強迫性障害持ちで、僕が産まれてから今日に至るまでずっと僕達の前でその姿をマジマジと見せて来た。幾ら大きな声で発狂しても僕の家は教会という事もあり山の上に作られている為、近隣の迷惑みたいな概念が無い事を良い事に暴れまくっていた。酷い時は毎日寝る前に飲む睡眠薬が嫌過ぎて、毎日500mL×6本缶ビールを飲んで、ぶっ倒れて寝る。そのまま朝までそこで寝てくれたらまだ良いのだが、全然寝ずに深夜2.3時に起きて発狂し始める時が1番最悪だった。(今は禁酒しています。でも時々母の財布からお金を取って缶ビールを買いに行く姿を見ると、どんなに直前に嬉しい事があり気分が良かったとしても部屋に引きこもりたくなってしまうな。)そんな父は57歳になった今もなお週に2.3回のペースで発狂するので、最近は「57でその発狂は中々元気やな。」と感心する様にしている。心は傷跡だらけだが。だからそんな父を早くこの家から退出させる為に僕は何度も施設入居の提案を母にして来た。しかし母は「そんな事したらもっとお父さんがおかしくなるでしょ。」と言うのだ。だからここ数年はその事は言わない様にしていた。辛いけど仕方ない。この家に生まれて来た人生だから。君達には分からないだろうけど。
施設入居だったら嬉しいな。
漸く解放される。
君の顔を僕の脳内でアップデートしなくて済む様になる。
でも疲れたな。
神殿(儀式の場所)の掃除、
お風呂掃除、
ご飯炊き、
夜ご飯作り、
お風呂炊き(家は古過ぎてボイラー式を採用しているので)
食洗機関連
食器後片付け関連
洗濯物関連
マジでやる事多すぎ。
でもこれ毎日母はこなしているだよな。
だからと言って部屋で布団に包まりながらネットサーフィンしている俺を責めないでくれ。
俺だってこの世界に来たくて来てる訳ちゃうから。これ重要。
でも俺だって18まで生きて来たから
もう少し頑張る。
父を笑顔にする為にも。
追記
リュウジさんの「炒り豚」動画を貼っておくので
是非、作ってみたい人は見てみて下さい。