初速1500冊。ホステル「CITAN」での出版イベントは可能性と再会の始まりだった
2022年の目標である「自分の本を出版する」が、9月16日に無事なんとかギリギリで達成された。自費出版で気合の4000部刷。事前予約含めて初速1500冊が全国に旅立ってくれた。
当日は午前中に下北沢ボーナストラックで最速販売会。そのまま青山ブックセンターに流れて炎の書店員・山下さんに100冊仕入れの御礼を伝えつつ、藤原印刷のあきつぐさん、柳下さんとYoutube配信の公開収録、そして最後に当初から進めていた東日本橋のホステルCITANで出版記念パーティの流れだった。
「地方取材の激しさに比べたらぜんぜん余裕だな」
昼間あたりはそんな悠長なことを考えていたのだが、Huuuu総出の出版記念ツアーは不確定要素が高く、自分の手から離れた事柄に対する意識や気配りでいつもと違う疲労感を覚え始めてきた。身体は大丈夫。脳の奥底のダメージ。新入社員のはるきくんに車まで出してもらって、快適な移動だったはずが、まともに昼飯も食べることができないまま18時を過ぎた。
炭水化物は大事だ。食べ過ぎはよくないけれど、身体と脳を動かすエネルギーが枯渇してしまうと機嫌も悪くなってしまう。リュックに入っていた新幹線販売用のTOPPO(なぜか3袋入り)のあまり1袋を発見して、途中みんなでわけあったりもした。1杯のかけそばならぬ、1袋のTOPPOにどれだけ救われたか。タンパク質、炭水化物、食物繊維、水……。出版ツアーに欠かせない食事の重要性を後進の誰かのために残しておきたい。
CITANでの出版記念パーティはすごい賑わいだった。3〜4年ぶりに再会を果たすような友人・知人が一同に介し、自分の会社で自分の本を出版し、自分の40歳の誕生日にイベントでお披露目する……見る角度を変えればやばい自意識の溜まり場のようにも捉えられて致し方がないが、この企画は成功だったといえる。出版イベントの新しいスタイルになりえるんじゃないかと思えるほどだった。
箇条書きでざっと特徴を紹介しよう。
・まずCITANの空間が最高。ご飯もお酒も音もどれも一級品。プロの接客と居心地の良さが、場を晴れやかに和ましてくれる
・お祝いムードだからみんな笑顔で、柿次郎そっちのけで出会った人たちと楽しく過ごすことができる(良いパーティ!)
・1階と外にもスペースがあるため、地下の空間を抜け出して別空気の会話が楽しめる。うるさければ外に出ればいい
・基本スタンディングだけどソファもテーブルも用意されているため、疲れた人は気軽に休むことができる
・エントランスに本一冊購入をセットにしたので90冊近く売れた(普通の出版イベントでは箱のサイズ的にここまで動きづらい)
・トークライブの音響がプロレベルなので聴きやすいし、全員が集中して聴かなくても問題なく場が成立する(CITANは音が大きくても近くで会話できるように設計されている)
・ワインがおいしい(ワインがおいしい)
書き上げたらキリがないほどに良いこと沢山。ちなみにCITANで個人を主体としたイベント企画は5年間で初めてだったような。いつもDJを呼んだイベントや台湾をテーマにした食とお酒のイベントはやっているけれど、「誕生日フックの出版イベント」はこれまでと趣が違ったのかもしれない。
だがしかし、紙の本の価値が少し変わってきているタイミングにおいて、日本でも稀有な空間をもったCITANでの出版イベントは大きな可能性があるのではないか。
ストリートカルチャーをテーマにしたZINEの出版イベントはもちろん、お酒や食の本であれば提供メニューと連携することだってできる。本来、出版イベントで担う時間の役割は著者の話をじっくり聞くことにあるが、CITANでの出版イベントは「誰かとお酒を飲んで話す」「再会が生まれる」「友だち同士が仲良くなる」に7割ぐらい割くことができる。オンライン配信やPodcastなど、生身の声を伝える選択肢が増えているからこそ、リアルな場の価値のエッセンスを磨き続けるおもしろさがまだまだあるはずだ。この期待値に応えてくれる数少ない空間がCITANなんじゃないだろうか。
トークで登壇してもらったCITANの石崎くん(通称:いっしー)は、三ノ輪時代に仲良くなった純粋な友だちだ。今回の本にもエッセイを寄稿してもらっている。彼との出会いがジモコロ編集長としてローカルに根を張って活動するプレイヤーたちを引き寄せてくれて、駆け抜ける人生の矢印が5°ぐらい変わったんじゃないかと思う。角度がズレたら辿り着く場所は大きく変わる。どっちかといえばインドアインターネット人間の私が、CITANで出版パーティを盛大にやることができたのは不思議でならない。
おもしろい縁が生まれた話でいえば、Huuuuの社員である日向くんと出会ったのもCITAN。紹介してくれたのはいっしーだった。その日向くんが『おまえの俺をおしえてくれ』の表紙と本文イラスト100点を描いてくれていて、デザイナーの山口言悟くんは日向くんが引き合わせてくれた。
CITANの由来は「始端」。
様々なものが集い、新たな物語の生まれる場所に。
日本橋の土地特有の個性もあるとは思うが、この場所があったからこそ今回の本は完成したといっても過言ではない。いっしー、いつもありがとう。
40年分の雑多な思想をパッキングした自著『おまえの俺をおしえてくれ』は、残り半分の人生を折り返すためにつくりました。節目の読点を打って、40歳以降の生き方を強く軽やかにする。
あの場に集まってくれた総勢80名以上の方々は、徳谷柿次郎という人間の新たな始まりに触れてくれた生き証人だと言いたい。感謝の気持ちはまた再会したときに直接伝えたいと思う。
なにも終わっちゃいないけれど、新しいなにかが始まったことは確か。この本をきっかけに新たな出合いを生むためにも、『おまえの俺をおしえてくれ』を世に伝えるための応援やサポートを引き続きよろしくお願いします!
全国の本屋、宿、床屋、美容室、酒場、BAR、教育機関など…「本」のプロダクトはどこにでも置いて販売することができる!5冊からの卸販売も始めたのでぜひぜひぜひ。
【風旅出版のECサイト】
https://huuuu-jp.stores.jp/
【全国の取り扱いスポット】※発送中のお店あり
・Seesaw Books(札幌)
・青山ブックセンター(東京)
・本屋 B&B(東京)
・かもめブックス(東京)
・読書のすすめ(東京)
・いわしクラブ(東京)
・代官山 蔦屋書店(東京)
・Cafe & Shisha "chotto"(東京)
・Blue Bird apartment.(郡山)
・Purveyors(群馬)
・真鶴出版(神奈川)
・南十字(神奈川)
・mame Co-(滋賀)
・シンカイ&夜風(長野)
・LAMP(長野)
・tabi-shiro(長野)
・株式会社わざわざ(長野)
・ch.books(長野)
・中条アートロケーション(長野)
・REBEL BOOKS(群馬)
・つぐみBooks&Coffee(群馬)
・IL LAGO(京都)
・FOLK old book store(大阪)
・The OPEN.noe(大阪)
・touten bookstore(愛知)
・ON READING(愛知)
・aru(岡山)
・嬉野温泉 旅館 大村屋(佐賀)
・ブックバーひつじが(福岡)
※これからお届け予定
・BARBER SHOP ERA(長野)
・合同会社モテアソブ三軒茶屋(東京)
・はじまり商店街(東京)
・PEOPLE(埼玉)
●全国の出版イベント&販売ツアー予定
・9月23日-25日 「りんご音楽祭2022」@長野県松本市
・10月2日 「むすぶしごとLAB.2022」@茨城県結城市
・10月8日 「Purveyors おまおれ出版記念イベント」@群馬県桐生市
・10月15日-16日「発酵ツーリズム in 発酵キャンプ」@福井県 金津創作の森美術館
・10月22日-23日「ハタオリマチフェスティバル2022」@山梨県富士吉田市
・10月29日「cafe & shisha "chotto" おまおれ出版サイン会」@東京 下北沢
・10月29日「下北沢B&B おまおれ出版記念イベント」@東京 下北沢