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いま考える”ウェブメディアの価値とは”。プロの仕事を詰め込んだエンジニア向けインタビューメディア『LIFE DRAFT』を制作しました

クライアントと共にオウンドメディアを立ち上げる。メディア名、タグライン、ロゴデザイン、ウェブ制作、編集部と共に記事制作まで。気づけばHuuuuの十八番というか、事業の柱になって早8年が経った。イニシャルとランニングを編集仕事してかけ合わせた持続性こそがHuuuuの安定感と遊びの余裕につながっています。

前職バーグハンバーグバーグで立ち上げた『ジモコロ』、CAMPFIREとBASEの合同メディア『BAMP』、Yahoo! Japanとは海の課題を解決する『Gyoppy!』と社会課題に向き合う『Yahoo! Japan SDGs』(現在はサストモに進化)、長野県移住総合メディア『SuuHaa』、死をテーマにしたKeep Aliveと立ち上げたプロジェクト『DEATH.』などなど、数でいえば決して多くはないけれど、長く続けられているのはありがたい限りです。

コロナを挟んでここ3年ぐらいは新規のオウンドメディア立ち上げの話もなく、気づいたら紙モノに私たちも意識が移ってきていました。DIY精神は紙に宿りやすいし、作品から仕事に切り替えて提案するのは私の常套手段です。

3年前に立ち上げた風旅出版の種が芽吹いて、freeeさんと一緒に作った最強のフリーマガジン『Pathports(パスポーツ)』、2025年3月末完成予定『A GUIDE TO SHINANO-MACHI』(信濃町役場と制作)だけじゃなく、ほかにも出版企画が動いています。これがクラフトプレス運動。

話を戻して、そもそもSNSのアルゴリズム、人々の習慣もどんどん変わっていって、オウンドメディアを軸としたコンテンツマーケティングの”効いてる感”が薄味になっているのも事実です。

一時期のバブル的なPVの価値基準がインストールされていると、現在のPVの出づらさに歯を食いしばって耐えるのは相当な気骨が必要でしょう。その点ショート動画は、再生回数をどんどんインスタントかつクイックに伸ばせる強みがプラットフォームの優位性であるよなぁと思います。

それでも足を使って、問いを立てて、強度のあるWEBメディアのインタビュー記事の価値はまだまだあると信じていて、動画で30分ではなく、Podcastで40分でもなく、たったの3〜5分でひとりの人生の価値観を凝縮して伝えられる道具はほかにありません。

うちは短い記事はあまり作らず、おもしろければ読まれることを信じて5000字強のボリュームで勝負することも珍しくありません。

しかもその記事はURLでひとつで誰かにシェアすることができる。飲み会で話題が広がったときに、たまたまイベントで出会ったときに、友人に紹介したいときに、このURLの手軽さが機能します。だれかの名刺代わりの記事を作りたいという創業当時からの信念は変わっていません。

アーカイブとして検索から辿り着ける偶然性と、そこに残された言葉で誰かの人生に影響を与える可能性も侮れない。最近気付いたことでいえば、今後AIに適切な情報を読み込んでもらうための付加価値にも注目していて。スタイルは人それぞれで強要するものではないですが、私はAIがリサーチできる情報をたくさんウェブ上に残してる方が面白いことが起きると考えています。

実際、私自身が受けたインタビュー記事と自分で書いたnoteやブログの総量が多いため、Chat GPTに質問したときの処理と提案は「インターネット人間でよかった!」と膝を打つほどです。壁打ち相手を育てるための食事としてのインタビュー記事が今後活きてくるんじゃないかと。

自分のことは自分が一番わからない、客観的に見ることが難しいからこそ、プロの仕事が重なるインタビュアーとインタビュイーの対話を凝縮する行為は価値が高まるかもしれません。

今後、YoutubeやPodcastの内容、一語一句までAIがリサーチできるようになったらまた話は変わります。

すでに再生しながら自動で文字起こしされている状況なので、そこを許容したらいわゆるオフレコ的な喋り方や認識違いの発言まで「その人の残した言葉」になってしまうとそれそれで厄介だろうなぁ。人前で話す行為のリスクと対価が全く見合わないものになりそうです。

あとメディア内の広告表示問題についても。気概のあるオウンドメディアは存在そのものが広告です。そのため、メディア内の鬱陶しい広告がありません。ジモコロのピュアな記事をその視点で読んでみてください。ストレスフリー。アイデムさんの意思が詰まっています。

一方、世の中のWEBメディアは広告収入を求めるがあまり、文章のリズムを連続膝かっくんするぐらいに広告が挟まれていて、報酬型、追尾型、消す「×マーク」が見えないなど、システム側の行儀の悪さと倫理観を無視した広告汚染が進みすぎていて正直つらいものがある。放棄した畑のような有り様です。

そこに愛はあるんか。本当に経済合理性があるんか。広告ブロッカーなんているんか。ユーザーから信頼されず、一方的に情報を発信してPVを稼いで広告収入だけで上司を説得しないと残らないメディアとはなんなのか。

そもそも文化的な発信と金稼ぎは相性が悪くて当然。その行動を支えるものは「意地」だけだと思います。経済合理性に立ち向かうような文化的なオウンドメディアがもっと増えれば、理解を示してくれる会社が増えれば、長々と書いてきた我々みたいな泥臭い編集の価値観が広がるはずです。

こんな世知辛い世の中で、これからのオウンドメディアは一体どんな花を野に咲かせていけばいいのか。これまでも、これからも、仕事がある限り立ち向かおうと思っています。ないならないで、違うことやるので大丈夫!

エンジニア向けメディア『LIFE DRAFT』誕生

昨年7月、リブセンス株式会社の桂大介さんからメディア立ち上げの相談が届きました。自社サービス「転職DRAFT」のリブランディングにつながるような、これまでになかったエンジニア向けの新たなメディアを作りたいと。

「へい、よろこんで」と何度もヒアリングを重ねながら、桂さんの捉える新たなエンジニア像、メディアの強度と持続性を生む思想、デザインと写真の細部に至るまで、細やかかつ適切なフィードバックをいただくことによって、Huuuu初のエンジニア領域のインタビューメディアが誕生しました。

それが…こちら!

ITエンジニアの”選択”に向き合う

クライアント:株式会社リブセンス転職DRAFT
企画ディレクション:Huuuu inc.
ロゴデザイン:中屋辰平(ハロ)
ウェブデザイン実装:Garden Eight
写真:藤原慶(ある日)
執筆・編集:鈴木あつお、小池真幸

新たにインタビューメディア『LIFE DRAFT』が誕生しました!
LIFE DRAFTは、時代を代表するITエンジニアの方々へのインタビューを通して、キャリアにおける岐路の内実や、そのとき表に出せなかった葛藤を紹介していきます。
第一弾では、新多真琴さんと海野弘成さんにインタビューしています。ぜひご覧ください!
「化け物ハッカー」にはなれない、と気づいた先に。新多真琴が自分を認められるまで
https://life.job-draft.jp/2025/01/28/375/
自分を追い込み“正解”を探し続けていた。海野弘成が辿り着いた、揺れながら生きる心地よさ
https://life.job-draft.jp/2025/01/28/439/
今後は月一本のペースで、新しい記事をお届けいたします。連動イベントも企画中!ぜひご期待ください。
引用元:https://job-draft.jp/articles/606

めえええええっちゃ、いいんです!!
取り乱しました。

コンセプト、ネーミング、ロゴ、デザイン、写真、記事本文まで、どれも妥協なし。Huuuuがこれまで関わってきた人間関係とクリエイティブの叡智をヒタヒタになるまで注ぎました。キャリアを重ねたプロの仕事総結集。コンセプトが明確だと、後続の制作イメージがパズルのようにハマっていくんですよね。

2025年に登場したオウンドメディアの一環として捉えた時に、ほかにどれだけ作られているのか把握しづらいものの、ひとつの指針になるんじゃないかと自負しています。ガーデンエイトさんが手掛けてくれた気持ちの良いウェブ上の動きがたまらないです。パンチラインや画面切り替わり時の表現など、小気味よくて無駄がない。むしろリズムがある。

メニューにある「ルーツ」もこだわった部分です。

私たちがふだん目にする植物の姿は、地上に伸びた花や葉だけ。しかし地表の下では、植物を支える根が深く複雑に広がっています。人生も同じ。華やかに見えるキャリアの地下には、さまざまな“事情”が隠れています。『LIFE DRAFT』では、この見えない人生の根(=ROOTS)を掘り起こして、現代のリアルな多様なITエンジニア像を描き出します。

これからのエンジニアの働き方、ステレオタイプのイメージからの脱却、いまの仕事と会社に辿り着くまでの軌跡と選択には、好奇心もあれば不安もあるはず。仕方なくその道に入ることも人生には往々にしてある。前向きな選択も、後ろ向きな選択も、辿り着く場所は同じ。

自宅の畑に自生したスギナの写真を用いて、提案した記憶が強く残っています。スギナは地下茎で地表だけ刈り取ってもしぶとく毎年生えてくる。厄介者だけど、乾燥させればお茶にもなるし、ツクシの親玉でもある。

あらゆるメディアが表面上を切り取って伝える功罪みたいなものは自覚的にならねばなりません。イメージを勝手にあてはめすぎず、根っこにある感情を柔らかく引き出す。まだまだ手探りな段階ですが、じっくりと『LIFE DRAFT』に込めたコンセプトを記事に反映していけたらと考えています。

Huuuuの作るものに惹かれて、お仕事お願いしたい会社さんがいたら気軽にお問い合わせください。わたしたちは、条件次第で、迎合せずに、最高の仲間を集めて、しっかりと信念を通してやりきります。


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徳谷 柿次郎
1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!