「誰かに見つかること」について考えてみた―パラレル親方の後日談
先日、親方複数人で弟子をシェアして育て合う教育プログラム「パラレル親方」のイベントを開催した。
http://blog.huuuu.jp/entry/parareruoyakata01
応募総数80名。平等な審査と直感で半数の約40名に絞り、当日を迎えたところ…。場の緊張感がすごかった。なんだろ、この独特な空気感。普通のトークイベントやセミナーに足を運んでいる表情ではない。自分で企画しながら、「イヤだなー!帰りたいなー!」と一瞬思ってしまった。
やめろよ、そんな顔で俺を見るなよーーー!!
とは言いつつも、司会を名乗り上げてくれたカツセマサヒコくん(司会の才能がすごい)が場を和ませつつ、エンタメ性をしっかり盛り込んだ構成を意識したため、イベントは終始いい感じの笑い声に包まれていた。
緊張と緩和。
伝えるべき話を的確に引き出すカツセマサヒコくんは、司会であると同時にインタビュアーの顔も覗かせていた。彼の本懐に触れた気がする。あと相変わらず首筋のラインがキレイだし、背中の張り方は理想的だし、柔らかい声は聴衆を惹きつけるし…早くJ-WAVEのラジオやってくれよ。
***
本題。
親方衆の「仕事の作り方」「どんな弟子が欲しいか」といった話は、横で聞いていても学びがあった。見事に全員の色が違う。目指すべき大きな目標に対して、いまこの瞬間だけ手と手を取り合っている。海賊団の連合隊に近いのかもしれない。
さらに良かったのが「弟子のトークタイム」。弟子が親方の前で根掘り葉掘り聞かれて、素直に答えちゃう場が一番おもしろいんじゃないかと想像していたら案の定だった。
「親方からいくら貰ってるの?」
「外仕事との割合は?」
「これまでで一番つらかったことは?」
「この場を借りて親方に言いたいことは?」
などなど、弟子が質問に答える度に親方衆がニヤニヤと笑いながら、姿勢を崩していく。酒も進む、進む。ほかの親方も触れているが、場に登壇している弟子と親方像があまりにも似ていて、働く環境とマインドをセットにして過ごしていると近寄っていくんだなぁ、と。
新たな弟子を探しに来たつもりが、現「親方」と「弟子」の脳みそを覗き見しているような奇妙な感覚に陥って、ただただ満足してしまった節がある。
***
掲題の「誰かに見つかること」について考えてみた。
いや、このテーマはずっと考えているし、僕自身が20代後半以降で時間を割いてきたことだし、この先に「フックアップ」という概念がある。
「恥やプライドは捨てろ。発信することを恐れるな」徳谷柿次郎×望月優大と考えるフックアップカルチャー
やり方はいろいろあると思う。フックアップする側、される側の相性はもちろん大事だ。経歴含めた優秀な人材が好きな人もいるし、個性が際立ったおもしろい人材を囲みたい社長もいるだろうし、ただただ僕みたいに「顔がおもしろいし、絶対素直でいいやつだから」と原稿を一回も見ずに衝動でいっちゃうタイプもいる。
パラレル親方のイベントを通して改めて思ったのは……
・あらゆる条件が揃わないと機会は生まれない
・そもそも「見つかる(=認識される)」状態を整えなければいけない
・がむしゃらに食らいついて「関係値」を貯めるのが近道
・努力の方向性を定めて、打席に立ち続けることが大事
・「実力」「専門性」は後からついてくる
こんなところだろうか。
初歩的な話だが、SNSやブログを通じて”簡単にアピールできる”この時代だからこそ、Twitter、Facebook、ブログ含めた共通の「名前」「アイコン写真」「肩書き」くらいは揃えるべきだろう。ライバルたちと切磋琢磨し、時に自尊心を賭けて闘う「土俵」に上がる覚悟があるなら、自分という旗をしっかり掲げた方がいいに決まってる。
ラッパーのZEEBRAがTwitterだけ「歌うシマウマ」でアカウント作る?『HUNTER×HUNTER』のクラピカが「ぴーくら」なんて名前で活動する?
おじさんって名前と顔、ぜんぜん一致しない生き物なんだぜ??
誰も自分のことなんて知らない。
その前提にどれだけ立ってセルフブランディングできるか。まずは認識されること。覚えられること。
ここ10年で情報量と人間関係が何十倍、何百倍にも膨れ上がっている時代だからこそ、まずは「誰かに見つかること」について目から血出るほど考えないといけない。
活動名を決める。プロに写真を撮ってもらう。誰にも言われずとも、記事を書き続ける。今回のパラレル親方に限らず、全国をまわっていても、何かの機会を狙っているなら、適切な発信が武器になる。昔みたいに出待ちしたり、手紙送ったりしなくても良い楽な時代からこそ、もっとやれることがあるはず。
https://twitter.com/kohei_a/status/943977703497072641
このエントリーを書く直前、Twitterを開いたら大親方・クラシコム青木さんの投稿が目に飛び込んできた。まるでパラレル親方の弟子のために書いてくれたような至言だ。経営者であれば行き着く言葉なのかもしれない。
***
今後のパラレル親方の動きについては、一緒に仕事をしたいと思える人のは個別で順次連絡。別途、会う機会を設ける親方もいるだろう。
一方でまだまだ判断材料が欲しいので……
・Facebookで「パラレル親方」のグループを運営してみる
・そこで「お題」や「仕事」を出してみる
・共通の「パラレル弟子ブログ」を作ってみてもいいかもしれない
といった機会の場も作っていく予定。これは上から目線でもなんでもなく、各親方も慈善事業で取り組んでいるわけでもない。お互いが得をして、お互いの成長機会に繋げないと意味がない。だからこそ、じっくりと、厳しく、適度なペースで可能性を拾い上げていこうと思っている。
**親方のイベントレポート**
あ、noteのエントリーだけ見栄えよく表示されるんだ!!
1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!