「海の家」リメイク 一章 僕の仕事
ここは僕の父さんが経営する海の家。いろんな人が一息つくためにここに来る
「焼きそば三つくださ~い!!」
「お!お嬢ちゃん、一人で注文しに来たのかい?」
「うん!お父さんとお母さんとワタシの分買って来てって言われたの!」
「偉いねぇ。はいよ!!焼きそば三つ!その焼きそば熱いから気をつけて食べるんだよ。」
「はーい!」
「ういしょ…うーんおいしょ…」
「おいケント手が空いてんなら運ぶの手伝ってやれ。」
「あ、はーい。ねえ君大丈夫?焼きそば運ぶの手伝おうか?」
「いいの!私が運ぶの!私のお仕事だもん!」
「でも危ないよ?一つでいいから僕にも持つの手伝わせてよ。」
「じ…じゃあいいよ。」
「ありがとう、それじゃああそこまで一緒に運ぼうか。」
「わかった…。」
「よし!運べた。すごい!沢山運べるんだね。」
「でしょ!わたしお手伝い頑張ってるんだもん!」
「そうなんだ、偉いんだね。」
「うん!」
「あらすいません…お手伝いして頂いてありがとうございます、お忙しいでしょうに。」
この子のお母さんらしき人が僕に声をかけてきた。手も空いていたし、これは僕がやる仕事の一環だから別にわざわざお礼なんていいのに…この人の申し訳なさが晴れるよう僕は口調を少し明るくして言った。
「いえいえ、お気になさらず。これも一つの仕事ですから。」
僕の仕事は海の家の従業員。父さんの手伝いだから給料なんてないけど、そんなものなくたって十分に楽しいし、社会経験にもなるから何も不満はない。焼きそばとか焼きイカ、それに焼きトウモロコシ(焼いてばっかりだ…)なんかをパック詰めしたり、かき氷のシロップの補充をしたり、さっきみたいには困ってる人の手伝いをしたりする。意外と仕事は多いけどなんだかんだ楽しいから続けられてる。礼儀とかはあんまりわかんないから、さっき見たいにかしこまられるとちょっと戸惑う。接客は結構やってるはずなのに全然慣れない。今は6月だけどこれから夏にかけてもっと沢山の人と触れ合ことになるだろうから気を引き締めないと。