日本一モテない22歳男の失恋日記(第3話)
えみちゃんって言うんだ。
笑顔が素敵な女性だった。
男子校あるある、少しでも優しくされたらキュンとしちゃうが発動。
僕のはよ家に帰りたい精神はその笑顔で一瞬で失せた。
単純な男である。これが男というものなのか。
そして僕は
「しょう(仮名)って言います。よろしくお願いしますm(__)m」
6年間全く女の子と触れてない割には物怖じせず返答できた。
お見事当時の自分。ヘッドスパ無料券でも与えてあげたいぐらい。
まあそこから世間で言うところの他愛もない話ってのが続いた。
話も弾んだところでバーベキューは終わった。
解散かよ。
もっと話したいな。
するとバーベキュー仕切ってる人が一言。
「次はみなさんで花火をしましょう。」
僕の頭の中にaikoの「花火」の歌詞が浮かんだ。
(まああれは打ち上げ花火だし手持ち花火ではないのだが。)
「少し背の高い〜あなたの耳に寄せたおでこ〜」
いやそれカブトムシだろ。
僕は抑えられない興奮とaikoの歌詞を胸に夜の砂浜へと向かった。
なんとかしてまた二人きりの時間を作らねば。
花火を持ちながら僕は暗い中なんとか彼女を見つけることができた。
「あ、えみちゃん!」
「あ、しょうくん。」
「さっきはバーベキューのとき話しかけてくれてありがとう。」(今考えればこういう発言がキモい)
「あ、いえいえ。花火一緒にしようよ!」
あれ、この子俺に恋してる?
出ました男子校あるある都合の良い勘違い。
まあ今考えたら、てか世間一般に人が考えたら社交辞令だと考えるだろう。
しかし当時の檻から出て間もない猿にはもちろん社交辞令だなんて思いもしなかった。
そして二人で花火を楽しんだ。
僕はふとこう思った。
なんとかして連絡先交換してほしいな
ASMRのような心地の良い波の音、弾ける火花、ムードはバッチリ。
僕は意を決してこう言った。
「もし良ければライン交換してくれない?」
すると彼女
「え!うんうん。いいよ!」
きたあああああああああああああああああああああああああああ
昔見てたドラマ電車男の気分である。
しかしこの勘違い猿はまだ知らない、地獄に片足突っ込んでいることに。