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#3ぶどう山椒の夜明け「産地を引き継ぐ者として」

前回に続き、現役ぶどう山椒農家の白藤(しらふじ)さんに「ぶどう山椒」について聞きます。

産地化の秘密

「ぶどう山椒は昭和まで、発祥地の遠井(とい)村(現和歌山県有田郡有田川町)をはじめとしたごく限られた地域でしか栽培ができなかった」とお話ししてくれました。どうやら標高などの栽培環境が影響して、他地域へ苗木を植えても数年で枯れてしまったのだとか。


現在は日本屈指の産地が広がっていますがどのようにして、産地を形成していったのかを白藤さんに伺ったところ「台木に秘密がある」と教えてくれました。

どうやら、フユザンショウという品種を台木(根っこ)に据えて、そこにぶどう山椒の枝を接ぐこと(接木)によって、環境の変化に強いぶどう山椒の苗木ができたそうです。

適切な台木を発見するのに、あらゆる品種を取り寄せたり、野生の山椒を山から引っ張り出してきて試験したり…。なんと30年もの歳月を研究に注いだそうです。


このお話を伺い、いま日本屈指の産地があるのは、先人たちの涙ぐましい努力があってのことだと痛感しました。そして、この研究を山椒生産組の長として先導したのが、白藤さんのご祖父です。その功績もあってか巷では「山椒の神様」と呼ばれていたそうです。


project_toi 農家立ち上がる

上述のように、白藤さんのご祖父はじめ、先人たちが命をかけて守ってきた産地ですが、高齢に伴う離農に加えて、後継者不足による廃園化など猛スピードで産地は衰退しています。

そんな状況を打開すべく、白藤さんはぶどう山椒にチャレンジする外部人材を呼び込もうと「project_toi」を発足しました。

この取り組みは、ぶどう山椒に触れてもらうこともしますが、その発祥地「遠井村」にまつわる伝説や歴史を含めた地域文化をまずは体感してもらい、地域を知るところからスタートしています。


さいごに

白藤さんは「先人の想いを引き継ぐために、産地に横たわるたくさんの問題を解決していく」と力強く宣言してくれました。ひとりの農家からはじまるこのプロジェクトが未来を創ることは明らかです。

白藤さんの地域にかける想いは本物で美しく、私個人としてもがっつりディレクションなどして手伝わせていただいています。

2022.3月にイベント開催予定です。
興味あればご確認ください。

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