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ベトナムの旧正月(テト)は昭和の懐かしい雰囲気だった話

こんにちは。かけやといいます。
ベトナムで、ソフトウェア開発(オフショア開発)の会社をやっていて、2022年1月現在、ベトナムに9年半住んでいます。

この記事ではベトナムの旧正月(テト)の過ごし方を紹介したいと思います。ベトナムも日本と同様に地方によって風習は異なりますが、この記事ではハノイから東に100キロの位置にある、ハイフォン市の様子になります。

僕は普段ハノイに住んでいますが、妻がベトナム人で故郷がハイフォン市のため、旧正月はハイフォン市に滞在します。その時の様子をお伝えします。

旧正月(テト)とは何?

日本では新暦(太陽暦)に倣って1月1日が元旦になります。
しかし、中国、韓国、ベトナム、タイ、シンガポールなど、アジアの仏教国は旧暦(太陰暦)に倣ってお正月を祝います。それを旧正月といい、ベトナムではテト(Tết)と呼びます。
旧暦では1年が365日ではないので、毎年旧正月の日付が新暦のカレンダー上では異なります。大体1月末〜2月中旬なのですが、今年のテトは新暦で2022年2月1日でした。

年末〜大晦日(旧暦)の雰囲気

ベトナムのカレンダーには新暦と旧暦の両方の日付が記載されていることが多いです。仕事上は新暦の日付を使いますが、普段の生活は旧暦の日付を見ているようで、ベトナム人の心情的には旧暦のほうが比重が大きいようです。

したがって、1月1日も一応祝日ではありますが、年明け感は全く無く、テト直前が年末で、テトがお正月です。

今年は2月1日がテトだったので、1月下旬がいわゆる年末になります。その頃はまだ僕はハノイに滞在していますが、文字通り大晦日のように、みんな主に買い物に大忙しになります。

また、弊社社員も早く故郷に帰りたいし、長期休暇を取りたいのでしょう。この時期になると、あからさまにみんなソワソワしだします笑


テトでは桃の木やみかんの木を飾るので、その木を売る出店がテト前になると増えます。

この風景を見ると、ベトナムでも大晦日なんだなと感じます。
上記動画ではだいぶ大きなザボンの木も売ってますが、誰か買う人いるんですかね?😅

そして、こういった出店が歩道上に出るため、みんなバイクで買いに来て店の前にバイクを止めるので、必ず渋滞が起こります。この渋滞も年末の風物詩です。


僕が住んでいるアパートのロビーにも大きい桃の木が飾られていました。

いよいよテトの雰囲気が濃くなってきています。
この次の週からテト休暇が始まります。

この頃ハノイ市内では、住んでいる区と、休暇中に移動する場所によって、移動前にハノイ市内で自主隔離を一定期間しないといけないという、謎の規制がありました。

その規制により、弊社の社員も最終週は70%くらいは自主隔離をしており、リモート勤務に切り替えをしました。

また、同じ理由でGrabがなかなかつかまらなくなりました。
ドライバーの人たちが自宅で自主隔離したり、早めに故郷に帰ったりしていたためです。僕は通勤にGrabを使っているので、本当に大変でした。

そんなベトナムの大晦日でした。

妻の故郷、ハイフォンへ

テト前にお正月休みに入り、僕は妻と一緒に、妻の故郷であるハイフォン市へ帰省しました。ハノイから高速バスで大体1.5〜2時間程度です。


妻の実家では、大量のBanh chung(バインチュン)を作っていました。

ベトナムではお正月にバインチュンという、大きいちまきのようなものを食べます。バインチュンを年末に作ってお正月の準備をします。

毎年大量に作って、売っているそうです。今年はバインチュンを200個作ってました😂
これを年末に全部売るそうです。

もうすぐ旧暦で年明けです。


忘年会と新年会の準備です・・・!


年明け〜三ヶ日

Happy lunar new year!
旧暦で年が明けました!

上の動画は年が明けて30分くらいして、エンジンがかかってきた状態です。音楽と(大体ABBAのHappy new year)爆竹を鳴らしまくります。


ベトナムの年末年始のテレビ番組です。右にスライドしてみてください。
僕は3歳児程度のベトナム語能力しかないので、テレビは全然わかりません。

1. 笑ってはいけない的なお笑い番組(だと思います)
2. 紅白的な歌番組(だと思います)
3, 4. ゆく年くる年的な番組(だと思います)

コンテンツは日本と結構似てますね。


年が明けた後は、その年の一番ラッキーな人が一番最初に家に入らないといけないという風習があります。

それまでは、僕らは家の外に出れません。
出てしまうと、そのラッキーな人が来てくれるまで家に戻れなくなるためです。

ラッキーな人が来てくれた後は外に出れるようになり、紙の馬を玄関先で燃やします。あの世でご先祖様が移動しやすいようにという意味らしいです。

別の親戚の家では紙製の車を燃やしていました。


ベトナムのお年玉袋です。実際にはもっとたくさんのバリエーションがあります。

日本ではお年玉は大人が子供にあげますが、ベトナムでは年に関係なく、近しい人に渡します。

僕の場合は、妻のご両親、親戚(おじいちゃん、おばあちゃん、叔父、叔母、従兄弟、等、会った人全員)近所の人たち、社員に渡します。

金額は1人あたり大体500〜1000円程度です。
日本と同様、お年玉用の袋に入れて渡します。

なのですが、渡す人数が多すぎて袋が足りないので、最後の方は裸で5万ドン(250円くらい)を渡したりします。


旧暦で年が明けてすぐ、そのままお寺にお参りに行きました。

ベトナムでは神社ではなくお寺にお参りに行きます。

このとき夜の2時を回っていて眠かったのですが、3箇所行きました。次の日の朝にもう一箇所行きました笑

中にはお釈迦さまの銅像があり、両手を合わせてお祈り(というんですかね??)をします。

おみくじみたいなものもあったので、引いてみました。

おみくじを開くと番号がふってあるのですが、僕のは1番でなんとなく縁起がいい!
内容は、病気が全て治る、仕事は「昇竜」のようにうまくいく、など、総じてとても良いものでした㊗️

今年はいい年になりそうです!


ベトナムのお節料理的なものです。

メインを写すのを忘れたのですが、上記で紹介したバインチュン(Banh trung)を食べます。

それ以外は日本のお節のように決まったメニューはないようなのですが、妻の実家のハイフォンは海に近いので、海鮮鍋をよく食べます。10人以上集まってご飯を食べるので、鍋を突っつき合うのが楽しいんですよね。あと、鶏肉も多いです。

三ヶ日は親戚のうちに行ってお節を食べ、戻ってきてからも近くにいる親戚が来てお節を食べ、玄関が開放されているので近所の人たちが来てお節を食べ、みたいな感じ過ぎていきます。

近所の人たちはホントにふらっと立ち寄ってるようで、ベトナムっぽいなと感じます。こんなに簡単に人のうちに上がるのは最初は衝撃でしたが、今は慣れました。

日本も3丁目の夕陽の時代はこんな感じだったんですかね?

ベトナムのテトは昔ながらの風習を残しつつ家族や親戚でワイワイガヤガヤして過ごす

このように、ベトナムの正月休暇は、もちろん旅行に行く人達もいますが、ほとんどの人は実家に帰り、家族や親戚にあってワイワイガヤガヤして過ごします。

ベトナムの人たちは家族や親戚をとても大切にするので(むしろ日本の家族の関係が希薄なんですかね?)、そうやって過ごすのがとても自然だし、大切なのだと思います。

また、桃の木を飾ったり、紙の馬や車の模型を燃やしたり、爆竹を鳴らしたり、昔ながらの風習もまだ残っています。

僕が子供だった頃は家の玄関先に門松を飾ったり、ドアや車にしめ縄を飾ったりする家庭をよくみましたが最近は殆ど見ません。また、一昔前は親戚一同が集まるということも多かったと思いますが、最近は旅行やイベントに行くことのほうが多くなったのではないでしょうか。

どういう時間の過ごし方が良い、悪いとかはないと思いますが、僕はベトナムの旧正月を過ごして「なつかしい」と感じました。

急速に経済が発展するベトナムで、人の行動も急速に変化しています。
そのような状況でも、10年後、20年後もこのような風習は残っていたら良いなと思います。

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