【軍事・戦史】突撃銃/アサルトライフル昔話
(全2,222文字/chatGPT不使用)
1.結 論
日本の陸上自衛隊が制式採用した国産の『64式7.62mm』小銃と、ドイツ国防軍が制式採用した『H&K-G3A3』小銃は親戚だった。
と言う昔々のお話です。
2.日本/64式小銃
陸上自衛隊は、発足した当時、米軍供与のM1ガーランド小銃や、旧軍の99式小銃などを使用していました。その後、色々あって初の国産小銃の開発に踏み切ります。64式小銃の開発にあたっては、世界各国の小銃が調査研究されましたが、最終的にスペインのセトメ突撃銃を参考に、日本人の体格に合わせた新規設計の小銃が採用されます。
3.ドイツ/H&K G3A3
さて、ここでもう一方のドイツです。
第二次世界大戦末期に、戦後の国防軍再建のため、骨幹となる軍事技術の保存を見越して、銃器製造に欠かせない、いくらかの製造機材と技術者をドイツは疎開させました。疎開した人や機械は『あ、これはミシン工場でーす!』と言って戦後のどさくさを何とか切り抜けます。(これが後のヘッケラー&コッホ社になります。)
戦後、H&K社は、スペインのセトメ突撃銃を参考にG3小銃を完成させます。
日本とドイツがお手本にしたプロトタイプの小銃が同じだった訳ですから、64式小銃とG3小銃はとても近い親戚になる訳です。
ここまで、かなりザックリ省略して書きましたが、WW2以降の世界列強各国の陸軍は、形は違えども、ほぼ似たような機能の銃を採用しています。
その原型になったのが、WW2にドイツで開発されたSTG44突撃銃がルーツになっているとされます。
4.STG44突撃銃
当時の歩兵銃の殆どは、セミオートマティックライフルが普及するまでの間は、1発撃つたびに”ボルト”と言われるハンドルの操作を伴う次弾装填動作が必要なライフルを使用していました。(↓参考:下図)
このタイプの銃は、射撃後ハンドルを引っ張って薬莢を排出させ、新しい弾丸を薬室に込めるという動作を全て手動で行わないといけませんでした。
セミオートマティックライフルは、射撃時のガス圧や反動を利用して、薬莢の排出から次弾装填までの一連の作動を自動的に行うものです。
STG44の特徴ですが、直銃床のピストルグリップ形状を採用しているので、連射時の反動の影響を受けにくく、精密射撃などの単発射撃が必要な時はライフルのようにも撃てます。
従来の単発式の歩兵銃の良いところをそのままに、サブマシンガンのような連射もできるという二つの機能を手元のレバーを切り替えるだけで簡単に選択できるという画期的なものでした。
異なる弾丸を使用する火器の採用は、補給系統の混乱を来すとの懸念もあり、総統からは度重なる生産中止命令があったものの…
「こんなエエもん、もっと使わせてくれや!」
との現場からの意見が絶えず、最終的には四十万丁以上が生産されるという大ベストセラーになります。
さすがに命令違反はできないので…
「えーっと、これはサブマシンガンです!」
と言って作り続けたとか。
当時、ソ連側が大量のサブマシンガンを戦場に投入していたことなども、この銃の生産が継続された理由として取り上げられている文献もありますが、当時の歩兵の殆どがボルトアクションのライフルを装備していて、1発づつ撃ってたのを考えると、セミオート・フルオートを切り替え一つで行えるこの銃は時代の最先端を行っていたのは間違いないです。
やっぱり、ドイツはすごいです。
5.AK47突撃銃
このSTG44をお手本にして、WW2後つくられた有名な突撃銃は、AK-47と言われてます。
ちなみに、AK-47を考案したロシアのカラシニコフさんは設計図を引けなかったので、奥さんが代わりに設計図を書いたと言う逸話があります。AK-47を考案したカラシニコフさんですが、元戦車兵で、歩兵出身じゃなかったのも興味深い話です。
コンセプトは、短い教育訓練期間でも簡単に分解・結合・射撃といった歩兵に必要なスキルを付与できること。
このため、AK47は部品数が少なく、照準はオープンサイトで射撃訓練をたくさんしなくても撃てる、作りがシンプルで壊れにくく、故障が少ない等、陸戦で使用するにはこれ以上無い完成度の突撃銃として仕上がります。
突撃銃のベストセラーとして世界中で最も生産された銃とも言われていますが、実はこの銃、運用上のコンセプトはSTG44を参考にしたとされる一方で、機械的な構造は米国M-1ガーランドを徹底的に研究し、参考にしたとも言われています。
ここで話が1周しましたね(笑)
世界中の名銃の歴史を一つ一つ紐解いて読み込んで行くと、とても興味深い関連性があちこちにあって面白いです。
6.最後に
WW2で大きな進化を遂げた歩兵の主力装備である小銃ですが、ドイツのSTG44から派生した突撃銃の歴史を紐解くと、日本の64式小銃とドイツのH&K-G3A3小銃は親戚だったと言うお話でした。
…あれ?米・英軍は?
今回は触れてませんが、次回の5.56mm小銃シリーズで触れようと考えてます。
初見の方にも読みやすくするため、専門用語を省略したり、詳しい背景・経緯を細かく書いていませんので、説明上、不十分なところがたくさんあるかも知れませんが、ご了承ください。
最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。