【初心者向けミリタリー】戦車の歴史あらかると/Panzer005【AMX10RC/装輪軽戦闘車両】について
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皆さんおはようございます。
毎週木曜日は、かけうどんの趣味の軍事・ミリタリーに関連する記事を投稿する日にしています。
この『歴代戦車あらかると』シリーズでは、世界各国の歴代戦車を”単品”で取り上げてみたいと思います。
今回は、フランス陸軍が1970年代後半から導入している、6輪式軽戦闘車両『AMX10RC』について書きたいと思います。
よろしければお付き合いください。
過去のミリタリー関連記事はこちらのマガジンにまとめています。
【AMX10RC/仏】
1.概要
AMX10RCは、フランスのイシー・レ・ムリノー兵器工廠(AMX)で開発された軽戦闘車両で、その特徴は6輪式のタイヤで走行し、このクラスの戦闘車両としては破格の威力を持つ強力な105mm砲を装備していることです。
主力戦車に比べて非常に軽量で、空輸可能なことから、緊急展開任務に適しており、同任務のために導入され旧式化していたAMX13、パナールEBR装甲車などの後継装備として導入されています
2.構造・機能・運用
(1)ユニークな車体
一見、6つのタイヤで走る装甲車に105mm砲を搭載した、よくある『装輪戦車』?のような印象を受けますが、本車が他国の同種装備と最も異なる特徴が、その操向装置にあります。
通常、キャタピラ式の車両は、曲がりたい方向にステアリングをきると、曲がる側のキャタピラにブレーキがかかることで車体の向きが変わります。
一方、タイヤのクルマはというと、当たり前ですがハンドルを切ると前輪が曲がる方向に向いて、車体の向きが変わります。
このAMX10RCと言うクルマは、キャタピラ式と同じように、ハンドルを右に切ると右側のタイヤにブレーキがかかって車体の向きが右に向くと言うユニークな仕組みになっています。
利点は、ステアリング構造が必要ないので車体内に複雑なメカを収める必要がないこと。
欠点は、通常のステアリング方式に比べると、タイヤの摩耗が激しい事です。
当たり前ですが、タイヤ式なので舗装道路ではとても速く走れます。また、本車は水陸両用なので、特別なオプションを装着せず、水上を浮航することができます。(ウォータージェット推進)
(2)高火力の武装と薄い装甲…
この車両が採用された1970年代後期頃は、主力戦車が装備していた105mm級の主砲を装備していて、非常に高い火力を有しています。
ただ、軽量化による空中輸送という課題をクリアするためには、装甲を余り厚くすることができませんでした。
通常、陸戦兵器の開発・設計においては、自車が搭載する主兵装の有効射程距離で撃たれても耐えられるだけの防護力があることが一応スタンダードとされていますが、本車は緊急展開部隊向けの装備として、防護力は最低限の小火器に対する抗たん性を持たせ、火力を優先した設計になっています。
空中輸送でいち早く現場に到着し、タイヤによる軽快なフットワークで走り回る。偵察を主任務として運用することを考えた結果のものだったのかも知れません。
敵が主力戦車を展開するよりも早く展開させられるので、相対する敵はおのずと軽戦闘車両でしょうから、105mm砲は装甲防護力を抑えてでも装備しておくことで火力で優位に立てることもできます。
尚、砲塔内に砲弾を合計38発(砲塔内に12発)搭載しています。
(3)運用
残念なことに、火力は主力戦車並みだったのですが、装甲防護力がどうしても小火器程度にしか耐えることができません。
105mm主砲は非常に強力ですが、火器管制システムが無ければタダの口径が多きな砲を積んでるだけになります。
AMX10RCには、主力戦車並みのFCS(ファイヤー・コントロール・システム)が搭載されていますが、そのため1両あたりのコストが同クラスの装甲戦闘車量に比べると非常に高価になってしまいました。このため、輸出はあまりふるっておらず、採用国フランスでも多くの数を入れるにはお金がかかりすぎるため、前述したERC90などの偵察戦闘車両と同時並行で運用せざるを得ないようです。
3.最後に…
フランス軍は世界中に統治権を持つ国々との繋がりがあり、治安維持のための部隊を送り込む必要性があったことから、このような緊急展開に適した軽戦闘車両の研究・開発が活発に行われてきた経緯があります。
『タイヤ+戦車⇒使い物になるのか?』という論争は、この車両が登場するよりもっと以前からありましたが、サメとクマはどっちが強いの?ならまだしも、カマキリとワシはどっちが強い?と言うのは比べる対象に隔たりがありすぎます。要は、主力戦車と装輪戦車は似て異なるものだし、比べること自体がナンセンスだと私は個人的に思います。
一つだけ言えることがあるとしたら、装輪戦車の運用には、間違いなく『戦車乗りのスキル』が必要だという事でしょうか。軍事力の維持で最も難しいのは人です。
平時はコレで訓練・警備し、有事は本命の戦車を使う。
フランスの政治・経済・軍事の特殊な構造的特性もありますが、同国はこのような運用構想のもとに機甲戦闘力を維持運営してきました。
世界に例を見ない運用と装備体系はとても興味深いものがあります。
毎度のことながらですが、なにしろ素人が書いている記事です。諸所分かりにくいところもあるかと思いますが、どうかご容赦ください。
最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。
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