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【初心者向けミリタリー】装甲戦闘車両の歴史あらかると/AFV004【BMP-3】

初見の方は必ず自己紹介をご確認下さい。

(約2,500文字)
皆さんこんにちは。

毎週木曜日は、かけうどんの趣味の軍事・ミリタリーに関連する記事を投稿する日にしています。

この『AFVあらかると』シリーズでは、世界各国の歴代の装甲戦闘車を”単品”で取り上げてみたいと思います。

今回は、旧ソ連製歩兵戦闘車『BMP-3』について書きたいと思います。

過去のミリタリー関連記事はこちらのマガジンにまとめています。

【BMP-3/歩兵戦闘車】


1.概要

旧ソ連が1960年代~1980年代にかけて開発・装備した、BMP-1、BMP-2は、『歩兵戦闘車』と言う新しい陸戦兵器のカテゴリーを生み出しました。

しかしながら、BMP-1/2はいずれも兵器としての運用構想は明らかにあったものの、陸戦兵器としては数多くの欠点も抱えていて、決して完璧なものではありませんでした。

そこで、1981年、アフガンでの教訓をもとに、BMP-2の設計・開発を担当したクルガンスキー工場で新型BMPの開発計画がスタートします。

ソ連機甲局からの要求は攻撃力に特化したものだったこともあり、1975年にPT-76水陸両用軽戦車の後継機として試作され、不採用となった、水陸両用戦車オブイェークト685を原型に、新型歩兵戦闘車の開発が開始されます。

BMP-3の正式採用は1987年。西側にその存在が知られたのは1990年の記念パレードでのことでした。それは、奇しくも旧ソ連崩壊が目前の時期でもありました。

特筆すべきことの一つとして、本車の特徴は、何と言っても強力な武装システムにあります。

100mm低圧砲(自動装てん)
30mm機関砲
7.62mm機関銃
砲発射型ATM

2.構造機能

(1)カタログデータ

全長:約7.1m
全幅:約3.2m
全高:2.3m
重量:18.7t
乗員:3名、歩兵7~9名
装甲:7~35mm
武装:100mm砲、30mm機関砲、7.62mm機関銃、9M117/AT-10対戦車ミサイル
速度:70km/h(整地)、45km/h(不整地)、10km/h(水上)
出力:500馬力
行動半径:約600km

(2)武装

★100mm砲:歩兵戦闘車が搭載している火力としては世界最大になります。自動装てん装置を装備しており、1分間に8~10発程度の射撃が可能。射程は約4km(破片効果のある対人榴弾)。戦車並みの高性能な射撃統制装置を備えています。

砲弾は自動装てん装置に22発、車内ラックに18発、合計40発搭載。

★対戦車ミサイル:レーザー誘導によって目標に命中させることが可能なミサイル。砲塔内で装填が可能で、BMP-1のように乗員が外でミサイル装填の作業をする必要がありません。射程は約4kmで、圧延鋼板換算600mm相当の貫通力を持ちます。車内には約8発を搭載しています。

★30mm機関砲:主砲と同じ向きに装着されている機関砲。BMP-2に搭載されていた2A42機関砲の改良型。射程は約2km程度とされ、1分間に300発の機関砲弾を発射可能。弾丸は対装甲用のAP弾と、破片効果のあるHE-FRAG弾を選択可能。

★7.62mm機関銃:これも30mm機関砲と同じく、主砲と同じ向きに設置されており、連動して使用できるもの。また、車体前方の左右に1丁づつ同機関銃が装着されており、搭乗した歩兵が車体前部左右で操作します。照準装置がなく、潜望鏡で曳光弾を確認しつつ射撃するもので、精密な射撃はできません。(弾丸約2,000発)

(3)車体

基本設計が試作水陸両用軽戦車ですので、基本的にBMP-1/2とは全く別物になります。

車体が大型化しているので、車内容積が広くなった分、居住性は良くなった…と言いたいところなのですが、水陸両用戦車の泣き所と言うか、水上での車体安定性を求めた結果、重量のあるエンジンを車体中央後方よりにレイアウトしたため、乗員室が前寄りになってしまっています。

このため、歩兵は下車するためにはエンジン部の上に設けられた通路を通って後方に出る必要があり、この通路が非常に狭いと言う欠点があります。

兵員の出入りには天井のハッチを開けないと狭すぎてムリ…
逆を言うと、よくこのスペース内に強力なエンジンを収めたとも言えます

車体重量が約18t弱に増えていますが、エンジンが500馬力にパワーアップされたこともあり、軽戦車として開発された本車は機動性は非常に良い車両に仕上がっています。最高速度70km/hは、数値的には世界中の歩兵戦闘車の中では最速です。

PT76の後継戦車として開発された本車、水上での機動性もBMP-1/2に比べると向上しており、ウォータージェット推進装置を装備していて、時速10km/hでの浮航速度は当時としては非常に高速なものでした。

旧型のBMP-1/2は、アフガンでRPG-7に多数撃破された苦い経験があり、BMP-3は重要なところには中空化された装甲を持ち、防護力が向上しています。旧ソ連製30mm機関砲での射撃耐久力テストでは、約300m未満の射撃にも耐えられたとされます。

使用用途から、どうしても車体サイズは大型化したものの、高い水陸両用の機動性と防護力を両方兼ね備える歩兵戦闘車はとても珍しく、オプション装備でのERA(爆発反応装甲)も装着可能とされています。

3.運用例

高性能な武装システムや、水陸両用軽戦車を基礎とする新規設計車体、おのずと生産コストは高くなり、旧BMP-1/2よりも高額でした。よって、旧ソ連内には余り多くが配備できなかったとされます。

完成・配備後すぐに旧ソ連が崩壊したことで、その生産台数は少数にとどまり、どちらかと言うと、ソ連内への配備よりも友好国への輸出が活発にやりとりされているようです。旧西側各国の装甲戦闘車両よりも安価であったこともあって、中東各国、スリランカなど多数の国に輸出されています。

4.最後に…

旧ソ連地上軍の戦い方は、大規模な機甲戦闘力を主体とする槍騎戦術とも言われましたが、その戦闘教義を可能にする装備なくして語れず、BMP-3のような陸戦兵器の完成をもって実現し得るものであったのかも知れません。

毎度のことながら、なにしろ素人が書いている記事です。諸所分かりにくいところもあるかと思いますがどうかご容赦ください。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。

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