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【初心者向けミリタリー】『歩兵戦闘車』って何ですか?

(全3,333文字)
皆さんこんにちは。

毎週木曜日の昼休みは、かけうどんの趣味の軍事・ミリタリーに関連する記事を投稿する日にしています。

アニメやゲームなどで御馴染みの武器・アイテムなどにもつながるので、少なからず需要はあるのかな?とも思うのですが、なるべく初心者向けの記事にしたいので、難しい専門用語やクドイ説明はしないようにします。

専門的な知識をお持ちの方が見たら「なんじゃこりゃ?」的な所もあるかも知れませんが、素人が書いている記事ですので、ご愛嬌とお許しください。

今回は『歩兵戦闘車』について簡単に書いてみようと思います。

よろしければお付き合いください。

過去のミリタリー関連記事はこちらのマガジンにまとめています。


1.歩兵戦闘車とは

歩兵戦闘車(IFV/ingantry fighting vehicle)は、装甲化された車体に歩兵を載せて運べる戦闘用の車両のことで、装甲戦闘車両(AFV/armard fighting vehicle)の一種です。

第1次世界大戦、機関銃が猛威を振るったことで、従来の陸戦の主役だった歩兵による突撃戦法が使えなくなり、塹壕戦による膠着状態に陥りました。

塹壕戦に終止符を打つべく登場したのが、決戦兵器『戦車』でした。

陸上戦闘で戦車を中核とした機動戦をいち早く現代に近い形にしたのはドイツ軍でした。ドイツ機甲部隊の父と証されるハインツ・グデーリアンは、『戦車1の戦力に対して2倍以上の歩兵が必要』と言っています。戦車は突破能力こそ高い兵器でしたが、敵陣地を突破した後は、四方八方から敵歩兵に囲まれる状況になるため、必ず戦車の側面や背面を守る歩兵が必要だったのです。これを歩戦共同ほせんきょうどうと言います。

戦車が主役になる以前は、歩兵は列車や自動車で移動することもありましたが、敵との交戦が予測される戦場での局地的な機動は、あくまでも徒歩でした。

第二次世界大戦当時、ドイツ軍は戦車の機動力についていけるよう、半装軌式トラックを用いた歩兵の機械化に取り組みましたが、それでも完璧なものではありません。

第2次世界大戦後になって、ようやくAPC/装甲人員輸送車が登場することで、歩兵は戦車の機動力に追いつき、敵小火器から最低限の防護が得られる輸送手段を持つことになります。

そして、1960年代になり、旧ソ連で西側各国が度肝を抜かれる新兵器が公開されます。BPM-1歩兵戦闘車の登場です。

BMP-1歩兵戦闘車

このBMP-1ですが、見た目は戦車っぽいですが、車体内に車長、操縦手、砲手の3名以外に完全武装の歩兵を8名乗車させることができ、戦車に付かず離れずの距離にいて戦車を守ることを主任務にしています。

73mm低圧砲は、歩兵部隊が攻撃する時に脅威となる敵の火点(機関銃陣地)などを破壊でき、砲塔にはAT-3/サガー対戦車ミサイルを搭載しており、数km先の敵戦車にも攻撃できます。(対戦車ミサイルは当時の戦車砲よりも射程距離が長かった)この新型ミサイルは、中東戦争でも猛威を振るいました。

ただし、装甲はあくまでも敵小火器から耐えれる程度なので、敵戦車と正面から殴り合う強さはありません。

当時の西側各国では、西ドイツを除き、積極的に戦闘に参加できる強力な武装を装備した歩兵が乗れる装甲車は装備されていませんでした。

これが『BMPショック』と言われるものです。

余談になりますが、旧ソ連では、急にこのBMPが誕生したのではありません。通常の戦車と混成運用する『ラケーテン・タンクヌイ』(ロケット戦車)と呼ばれる構想があり、無砲塔戦車に対戦車ミサイルを搭載して、戦車砲では届かない遠距離の目標をこのミサイルで撃破しようという考え方でした。試作車の試験まではやってましたが、結局このロケット戦車はお蔵入りになり、その開発主任が後のBMP設計に携わることになります。

旧ソ連で生まれた歩兵戦闘車は、広大な陸上を戦場とする欧州正面の環境と、2回の大戦を経験し、ドイツ軍と熾烈な対戦車戦闘を経験したからこそ生み出された産物だったのかも知れません。

ハインツグデーリアンが提唱した、機械化歩兵の構想は、旧ソ連の陸上兵器体系の中でひとつの正解に近いものとして具現化することになります。

後に、旧ソ連のBMPショックを受け、西側各国では、歩兵をただ運ぶだけではなく、強力な武装を搭載し、戦車とより密接に連携して機動戦ができる歩兵戦闘車の開発が進んで行くことになります。

2.構造・機能

戦車を評価する際に重要となる3大要素/①火力、②機動力、③防護力ですが、歩兵戦闘車にも同じく重要な要素があります。①~③にプラスして、歩兵の運搬能力です。

戦車は、自分が持っている砲の有効射程距離から撃たれても撃破されないタフな装甲が無いと、戦車と言う定義に入りません。(一部の軽戦車や偵察用のものは除く。)

どうしても、装甲車に戦車並みの防護力や火力を求めると、車体が大きく重くなりますので、支援対象となる戦車の機動力について行けなければ本末転倒になります。なので、初期の頃の歩兵戦闘車は敵小火器(主に機関銃)から防護される程度の装甲があれば十分といったものが多かった。現在では、対戦車火器の性能向上で、歩兵戦闘車にも戦車並みの防護力が求められていますが…。

唯一の例外として、メルカバ戦車/イスラエルがありますが、これは砂漠と言う特殊な戦場環境から生まれた『オールタンクドクトリン』と言う構想に基づいた兵器開発体系の上にあります。

歩兵戦闘車の多くは、装甲化された車体にキャタピラ式(又はタイヤ式)の駆動系統をもち、20~30mm級の機関砲を搭載、対戦車ミサイルを装備するものは国によってまちまちです。

2000年代に入って、対戦車火器がより高性能になったこと、従来の装甲技術では化学エネルギー弾への防護力がだんだん厳しくなってきたことなどから、ERA/爆発反応装甲、やAPS/アクティブ・プロテクション・システムなどで防護力を補おうとするものが増えています。(同システムの説明はとても複雑なため、後日別記事で書こうと思います。)

3.代表的な装備

(1)M2ブラッドレー/米

米陸軍M1エイブラムス戦車の採用当時、同時期に導入されたアメリカを代表する歩兵戦闘車。砲塔には25mm機関砲とTOW対戦車ミサイルを装備。湾岸戦争で、イラク軍のBTR装甲車から14.5mm重機関銃の射撃を受けた時に防護力不足がわかり、装甲防護力を向上。その後もアップデートが進んでいます。

(2)BMPシリーズ/旧ソ連

旧ソ連製の歩兵戦闘車は、BMP-1、BMPー2、BMP-3と新型が逐次採用されてきました。世界にさきがけて歩兵戦闘車を開発した旧ソ連でしたが、やはり予算上の都合などから、全ての装備をIFV化するのは難しく、数合わせの面ではBTRシリーズのようなタイヤ式の装甲車を大量に保有していました。

現在では、新しい兵器開発の系統でT15アルマータ(歩兵戦闘車仕様)と、K25クルガニェツ歩兵戦闘車、K17ブメラーンク(装輪戦闘車)等が導入されつつあります。

写真はBMP3

(3)CV90シリーズ

ヨーロッパスタンダードな戦車と言えば『レオパルト』ですが、歩兵戦闘車のベストセラー的な採用例は、スウェーデンのCV90シリーズが有名です。本車輛を採用する国が増えつつあります。

細部は過去記事でも少し触れています。



4.最後に…

私が大好きだった『戦車シリーズ』の記事も、T14を紹介したことで一応の区切りがつきました。
(一部まだ触れていない車種もありますが…)

という事で

次回からは、戦車の心強い相棒、なくてはならない存在の、歩兵戦闘車や装甲歩兵輸送車を題材にちょっとづつ書いていきたいなと。

本当は、最初の記事としてBMP-1を書こうかなと思ったのですが、イキナリ書くより少し経緯などに触れた方がいいかなと思って、簡単な全体像の記事を書くことにしました。

毎度のことながらですが、なにしろ素人が書いている記事ですので、諸所分かりにくいところもあるかと思いますが、どうかご容赦ください。

最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。


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