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2020年9月の記事一覧

あらゆる角度から光を当てる舞台『十二人の怒れる男』

文化も考え方も違う人々が同じ社会で生きていくって、本当に面倒くさくてしんどくて。それでいて、とっても素晴らしい。 『十二人の怒れる男』は無作為に選ばれた12人の陪審員たちが、父殺しの罪に問われる少年を死刑にするか否かで激しく討論する過程を描いた法廷劇の傑作です。 次々に真実が解き明かされていくサスペンス要素を持った密室会話劇であり、様々な文化に所属する考え方の全く異なる12人を描いた群像劇であり、差別による分断、多数決による民主主義を描いた社会劇であり、12人分のあらゆる