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和歌山県立医科大学過去3年の傾向と今から1週間でもできることと当日の時間配分

和歌山県立医科大学 一般前期試験(2022~2024年)の傾向と対策

出題傾向

  • 英語: 試験時間は120分で、大問4題構成です。大問1~3は長文読解問題で、英文和訳(英文を日本語に訳す問題)が中心です。抽象的で哲学的な内容や医療に関するテーマ、物語文など幅広い題材が出題されます。大問4は和文英訳(日本文を英語に訳す問題)で、300~500字程度の文章を自然な英語に訳す力が求められます。全体として記述量が多く難易度も高めですが、設問パターンは毎年ほぼ固定されています。

  • 数学: 試験時間は120分で、大問は4題出題されます(2020年度まで大問5題・100分でしたが、2021年度から現行形式)。出題範囲は数ⅠA・ⅡB・Ⅲ全体にわたりますが、数ⅠA・ⅡBの割合が高く、数Ⅲ(微積分など)は毎年1題程度にとどまります。問題は記述式で証明や論述を含み、計算量も多く標準~難問レベルです。各大問は2~4の小問からなり、後半ほど難度が上がります。近年は整数問題の証明や、関数のグラフ考察、複素数平面、微積分などが頻出しています。

  • 物理: 大問3題構成で、難易度は標準~やや難レベルです。長い文章で実験や複雑な現象を説明し、それを段階的に考察させる形式が多く見られます。設問は空所補充が中心で、一部計算小問や作図・グラフ選択も含まれます。分野は力学電磁気がほぼ毎年出題され、残り1題は波動熱力学から出る傾向です(例外的に2020年度は原子分野が出題)。問題量が多いため、速く正確に処理する読解力・計算力が求められます。

  • 化学: 大問3題構成で、医学部の中でも難易度は高めです。新奇なテーマの長文中に知識問題・計算・論述・グラフ解析・構造決定など多彩な設問が織り込まれ、化学の総合力を試す内容になっています。題材分類では1題が理論化学、2題が有機化学(高分子を含む)で、有機分野の比重が大きいのが特徴です。また理論と有機を横断するような融合問題も頻出しています。応用的な思考力と記述力が要求されます。

  • 生物: 大問3題構成です。問題文・資料が長く、実験結果の表やグラフの読み取りをさせる設問が多く含まれます。記述量も多く、理由を説明させる論述問題が頻出です。初見の実験考察など応用的な内容もしばしば出題されます。出題分野は動物(ヒトを含む)生物学が中心で、特に分子生物学(遺伝情報伝達)、生殖・発生、体内環境の維持などがよく問われます。ただし植物の反応、進化・系統など他分野からの設問もあり、複数分野にまたがる総合問題も見られます。教科書レベルの基礎知識の徹底とともに、融合的な理解が必要です。

難易度の推移: 2021年度に薬学部新設に伴い試験時間や出題数が変更されましたが、医学科の問題難易度自体は大きな変化なく、例年「単科医大(医学部単科大学)らしい難問寄り」の傾向を保っています。ただし英語以外の科目は極端な難問は減り、基礎~標準事項を丁寧に積み重ねれば対応できる設問が中心となっています。合格最低点の得点率は毎年50~60%前後で推移しており、難問ぞろいの年でも高得点を取れなくても合格可能なラインとなっています。

時間配分の工夫

  • 英語(120分): 大問4題を120分で解くため、長文読解と和文英訳の時間配分がカギです。解答順序の一例として、まず長文読解から取り組み、時間が押しそうになったら途中でも切り上げて先に和文英訳を処理する方法があります。和文英訳は配点が高く確実に得点したい問題なので、後回しにしすぎないよう注意します。長文は3題あるため、1題あたり30~35分を目安にしつつ、難しい箇所にこだわりすぎないことが重要です。普段から過去問演習で和訳の精度とスピードを鍛え、限られた時間内で要旨を把握して簡潔に記述できるよう練習しましょう。

  • 数学(120分): 大問4題に対して時間は十分にありますが、問題の難易度が高いため解く順序の戦略が重要です。開始直後に全問題にザッと目を通し、解けそうな問題から着手するようにしましょう。各大問に小問がありますが、まずは比較的基本的な誘導に乗れば解ける部分を確実に解答し、難しい証明や計算に時間を取られすぎないようにします。1問あたり平均30分程度が目安ですが、易しめの問題は短時間で済ませ、その分を難問に回す配分調整を意識してください。途中で行き詰まった場合は他の大問に切り替え、最後に残り時間で未回答部分を再検討するなどメリハリをつけて解答します。

  • 理科(二科目・計150分): 理科は選択した2科目(物理・化学・生物のうち)を合わせて150分で解きます。科目ごとに試験時間が区切られているわけではないので、得意な科目から先に取り組むのが一般的です。例えば物理と化学を受験する場合、物理が得意なら最初に物理の大問3題を進め、途中で難航したら一旦切り上げて化学に移り、化学の3題をすべて解答してから再び物理の残りに戻る、というように科目間を切り替える戦略も有効です。配分の目安は2科目でだいたい75分ずつですが、問題の難易度次第で柔軟に調整します。どちらの科目も大問ごとのボリュームがあるため、各大問に均等に時間を割きすぎず、解きやすい設問を優先して得点を確保しましょう。計算ミスや読み違いを防ぐため、ある程度時間を残して見直しを行えると安心です。

予想問題

  • 英語: 出題形式は近年固定されているため、過去問と類似したスタイルの問題が今年度も予想されます。長文読解では医学・生命科学に絡むテーマや哲学的論考、文学的な物語文などが引き続き出題される可能性があります。毎年1題は医療や科学に関連した内容が出ることもあるため、医療倫理や生命科学に関する英文にも触れておくと心構えができます。ただし内容は多岐にわたるので、特定のテーマに偏らず様々なジャンルの英文に慣れておくことが重要です。和文英訳は過去に文学的な文章や評論文が題材となっているため、今年も日本語のニュアンスを正確に英訳する問題が出るでしょう。直前期は過去の和文英訳問題を再度解いて、頻出表現や構文を確認しておきましょう。

  • 数学: 近年の傾向から頻出分野が予想できます。例えばここ3年ほど連続して整数の性質に関する証明問題が出題されており、今年度も類題が出る可能性が高いです。また複素数平面と図形に関する問題や、微積分を用いた問題も頻繁に出ています。出題範囲は広いものの毎年のパターンは似ているため、過去問演習で見たことのあるタイプの問題が多いでしょう。新傾向として奇抜なテーマが突然出る可能性は低く、標準的な定理の応用や複合問題が中心と予想されます。ただし2021年度以降やや易化したとはいえ難問も含まれるので、油断せず証明対策計算練習を直前まで継続してください。

  • 物理: 基本的に力学電磁気からそれぞれ1題ずつ出題されるパターンが確立されています。今年度もこの2分野はまず間違いなく出題されるでしょう。残る1題は例年通り波動あるいはの単元から出る可能性が高いです。直近では波動分野が頻出しているため、波の干渉やドップラー効果などの問題が再度出てもおかしくありません。一方で数年に一度は原子物理など普段出にくい分野も出題されているので、念のため現行課程の全範囲を一通り復習しておく必要があります。実験設定の読み取りやグラフ作成・解析の問題が続いているため、典型実験(力学の放物運動や電磁誘導など)のデータ処理問題を演習しておくと安心です。

  • 化学: 理論化学有機化学を中心に、今年も総合力を試す問題が予想されます。具体的には、理論分野では化学平衡(緩衝溶液や塩の加水分解)や反応速度、酸化還元や電気化学(電池・電気分解)などが頻繁に取り上げられているため、類似テーマの問題が出る可能性が高いです。有機分野では毎年高分子化合物や構造決定が含まれており、異性体の数え上げや構造式の描写などが問われる傾向が続いています。今年も複数の有機反応を絡めた長文中の設問や、高分子の性質を問う問題が出るかもしれません。また、有機と理論の融合問題(例:有機酸の電離平衡や高分子の熱特性など)も考えられるため、分野横断的な視点で準備しておきましょう。新課程に対応した範囲でこれまで出題が少なかった無機分野についても、例えば典型元素の反応や気体の発生に関する基本知識は念押しで確認しておくと安心です。

  • 生物: 出題分野はほぼ毎年似た傾向をたどっているため、頻出テーマの重点対策が有効です。特に遺伝情報の発現調節(分子生物学)発生学(胚の分化や再生)生理学(神経やホルモンによる調節、免疫など)は高確率で問われており、今年もこれらのテーマが軸になるでしょう。加えて和歌山県立医科大の生物では実験考察問題が多いため、遺伝子実験のデータ解釈や、生態系・進化に関する実験結果の読み取りといった総合問題が出題される可能性があります。植物分野や進化分野も全く出ないわけではないので、過去問で出題のあった植物の反応(オーキシンの作用等)や系統分類にも一通り目を通しておきましょう。大半の設問は教科書レベルの知識で対応できますが、見慣れない設定でも落ち着いて基本原理に立ち返れば解けるよう、過去の類題演習で応用力を養っておくことが重要です。

直前1週間でできる対策

時間配分の確認方法

直前の1週間は、本番を想定した時間配分の練習を重点的に行いましょう。過去問や予想問題を使って、実際の試験と同じ科目順・時間で模擬試験形式で解いてみます。例えば英語120分通し、数学120分通し、理科2科目150分通しといった形で時間を計り、本番さながらに解答してみることで、自分の解くペースや弱点が把握できます。解き終えた後は時間の使い方を振り返り、「長文に時間をかけすぎて和文英訳が後手に回った」などの反省点を洗い出しておきます。残り数日で劇的に実力を伸ばすことは難しいですが、時間の使い方を工夫するだけで得点は向上します。過去問演習では常に各大問に費やした時間を記録し、配分が偏っていないかチェックしましょう。本番では焦りから時間配分が狂いがちなので、演習で掴んだ自分なりのペース配分をメモにまとめ、試験前に確認しておくと役立ちます。

暗記科目の最終チェック法

入試直前期は、新しい知識の暗記よりも既に覚えた内容の再確認に時間を使います。理科の用語や典型的な反応式・法則、英単語やイディオムなど、暗記系の分野はこの時期に総仕上げしましょう。具体的には、短い時間で繰り返し確認できるツールを活用します。英単語帳や理科の重要事項のチェックリストを持ち歩き、スキマ時間に素早く目を通します。過去問や模試で間違えた知識問題はノートにまとめてあるはずなので、その弱点ノートを毎日見直して暗記漏れがないか潰します。生物や地学など知識量が多い科目を選択している場合は、頻出分野の用語を中心に一問一答形式で自分をテストしてみるのも効果的です。暗記科目は前日まで伸びると言われるように、直前でも詰め込めるだけ詰め込む価値がありますが、闇雲に全範囲を見直そうとすると時間が足りません。頻出事項に的を絞り、忘れてはいけない基本事項(物理の公式や化学の溶解度積、水溶液の色など)は確実に頭に入っている状態にしておきましょう。また、暗記事項を声に出したり人に説明したりすると記憶が定着しやすいので、可能なら家族や友人に付き合ってもらい口頭で確認するのも有効です。

効率的な学習スケジュール

残り1週間の過ごし方は、無理のない計画コンディション調整がポイントです。以下は直前期の効率的な学習モデル例です:

  • 試験6~5日前: 過去問の総復習期間です。ここまでに一通り解いた過去問をもう一度見直し、特に間違えた問題や自信の持てない分野を重点的に復習します。この時期に新しい問題集や参考書に手を出すより、過去問・模試の解き直しで弱点補強する方が効率的です。数学や理科の苦手分野があれば集中的に問題演習を行い、解法パターンを再確認します。

  • 試験4~3日前: 実戦訓練と総まとめを行います。可能であれば、本番と同じ時間割での通し演習を1日実施し、解答後に復習して最終調整を図りましょう。もう1日で各科目の重要事項を総ざらいします。暗記ノートや要点まとめを読み返し、「これだけは押さえた」という知識を再度頭に入れます。夜更かしは禁物なので、この段階から就寝・起床リズムを本番日に合わせて整えておきます(試験開始時刻に頭が冴えているように朝型にしておく)。

  • 試験2日前: 勉強の比重を徐々に軽くします。前日・当日に疲労を残さないよう、この日までに重ための復習は完了させましょう。2日前には苦手分野の最終チェックを行い、解き残した問題や疑問点を講師や参考書で解消します。体調管理にも気を配り、夜はしっかり睡眠をとります。

  • 試験前日: 新しい勉強はせず心身の準備に専念します。軽く教科書やノートの要点に目を通して感触をつかむ程度にとどめ、早めに切り上げてしまいましょう。当日の持ち物や受験票、交通経路を確認し、不安材料を無くしておきます。緊張で落ち着かない場合は、これまで頑張ってきた自分を信じ、リラックスすることが何より大切です。

最後の1週間は精神的にも不安になりやすいですが、「やるべきことはやった」という自信を持つためにも計画通り学習を進めましょう。十分な睡眠と栄養も合格への重要な要素です。直前期の努力が本番で最大限実力を発揮する助けになりますので、体調を万全に整えつつ最後まで走り抜けてください。


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