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【銀行処女】2024-09-07

・「初めて銀行に行った日」を覚えている人はいるだろうか。初任給の引き落とし。お年玉の振り込み。人によってタイミングはそれぞれだろう。

・今日だ。

・いままで、銀行に行ったことがなかった。お年玉は親が僕の講座に振り込んでたし、働いてないし、なんとなく、行く機会が今までなかった。

・今日、銀行に行った。お金を引き落としに。銀行処女からすると、「引き落とし」がどんな行為なのかも、よくわかってない。「引く」「落とす」という言葉からして、良くないことが起きている感じはする。

・ずっと「暗証番号を間違えたらどうしよう」と思っていた。以前に親から聞いてはいたけど、それが嘘だった場合……。考えただけで恐ろしい。耳をつんざくようなアラーム音。駆けつける警察。取り調べ。そのまま逮捕。銀行犯逮捕。

・恐る恐る番号を入力すると、また数字を入力する画面が現れた。

・頭が真っ白になった。銀行犯が頭をよぎる。

・いや、違う。引き落とし金額を入れる画面!成功したぞ!

・!




・出てきたお金は、折り目のついていない、まっすぐのお札だった。スーツを着たお札が財布に入っていく。小学生の時、新しい鉛筆を削ったときの筆箱を思い出す。

・完走した感想として「社会に溶け込めた感」がある。年末の親戚の集まりで、おじさんの会話に参加して、ウケたときみたい。


・ありがとう、武蔵小金井の三菱UFJ銀行のATMがあるだけのエリア。



・その後、バスで花小金井の方へ。

・文化祭の仕入れがあって、卸まで行ってた。

・まー、これが、うまくいかないもんで。事前に予約をしていったんだけど、予約が上手くいってなくて、大人といろいろ話し合っていた。最終的に、なんとか商品を手にすることができた。

・14時ごろに卸について、卸を出たのが17時過ぎ。陽も沈み始めている。こっから歩いたらすごい時間かかるし、荷物多いからバスも使えないし、どうしようかと思った。


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・ちょうど、まとまったお金を持っていたから、タクシーを使おうと思って、コンビニに寄った。午前中にお金をおろした理由は、このタイミングでタクシーを呼ぶことを想定していたからである。

・ところがどっこい、友達から電話がかかってきて、友達の親に車で送ってもらえることになった。持つべきは金でも口座でもない。困ったときに助けてくれる友達だ。

・すごいな、と思った。自分の親は、休日は昼から酔ってる。土曜日の夜に車を出してくれる親、すごいな、と思った。

・僕の親が悪い、と言ってるんじゃない。親には親なりに、休日の使い方があるし、親が昼から酔うことを禁止する権限は僕にはない。ただ、それがスタンダードな家庭で育っていたから、新鮮で、少し羨ましかったのだ。

・なんか、ラーメンでも食べたい気分だ。でも、家で親が待っている。台車も勝手に持っていったし、寄り道せずに家に帰った。

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田中 翔
未成年