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566 83歳の日々

ほ(41)しなのと、あずさ

山梨県民が愛してやまない、山崎方代と言う歌人の生誕110年、没後40年、其の記念講演を聴くため、甲府まで出かけることにした。ぎっしり予定が詰まっていた中で、急遽参加を決めたので、当日の宿泊を急遽手配した。
折しも、別件の用事できていた、三女の婿殿に、ついでに手配を頼んだら、すぐOK。詳細を記した紙片3枚、受け取った。娘夫婦が帰ってから、さて、出発は明日の朝早く、ホテルのことを確かめておこうと見たらば?安すぎる!おかしいと念入りに見たら、必要なのは24.10.13日1泊なのに、なんと、25.01.13泊と記載され、早割で5.300円。結局、難儀して電話をして、なんとか一人もぐり込めて、素泊まり12000円。日ごろなんでも完璧な婿殿としてはどうしたことか。見つけてよかった。
 さて、当日は、直前のミスに、かえって緊張感がマシ、バス、在来線乗り継ぎ、予定通り、しなの7号、名古屋発10時に乗り込み、塩尻まで。中央線特急新宿行きの、あずさ26号に、連絡よく甲府に着いたのは1時15分。タクシーにて、会場の市立図書館に滑り込んだ。
 既に始まっており、本日の講演者、江宮隆之氏の語りに皆さんの耳は集中していた。
年配の方で、占められていた、其の後部席に座る。
たぶん今日お集まりの人は、郷土の歌人、山崎方代の熱烈な信奉者なのではあるまいか、熱心に聴き入る全体の雰囲気からも容易に察しられた。何より講演をなさっている江宮先生は、初め物静かに、私も本を紹介されて読んでいた箇所なので、ただ、聞き入っていたが、休憩を挟んだ後半からは、俄然調子に熱を帯び、愛してやまない方代の、人となり、暮らしぶり、赤裸々な生き様が、他の人からも支持されていく様子を、力を込め、早口になり、彼に対するご自分の思い入れが深く濃密に絡みついていくのをあからさまに熱弁振るわれた。
 聴衆も、引き込まれ、様々な困難の中でも、短歌を縁に、命を燃えたぎらせた一人の歌人の、自由な生き様に共感する。
 不思議な人でもあると、思う。浮世のあれこれ、ものともせず、人の中に自分のママで呼吸して、自然に、溶け込み生きている。 
愛知の一宮くんだりから、特急乗り継いで、講演を聴きに来た私も、ありのままが好きな人なのである。
 今回の方代会の、会長である、榛原先生が、声をかけてくださった。そもそも、FB友の紹介で、方代の百首を読み、タイミングよく、記念展示会や、講演会があって、甲府まで、やってきた。
やはり地元の人ばかりの中に、私だけが一人、愛知からの参加であった。
 榛原先生は、ホテルまでの送迎やら、翌日に展示の解説をしてくださるとの約束まで。ありがたいことであった。
 さて、ご親切な先生の、展示会の説明、これがまた、昨日講演を聞いた江宮先生を上回る熱心さで、歌の1首、1首を詠んで噛み砕き、私は目を閉じて受け止めた。
かれこれ3時間弱、説明する方も聞く方も、足は棒のようだった。
 今回観光は一切なし、一宮に戻ってからも予定があって、忙しい高齢婆さんの私は、感謝して、方代会、会長さんと、お別れした。
 甲府駅から、あずさに乗って、塩尻からは、しなのに乗って。長らく貧乏旅行が好きで、鈍行の待ち時間を楽しむのが好みだったが、83歳ともなれば、体力ガタ落ち、特急に乗りまくって時間稼ぎ。
 そうまでして、遠くへ来ても、聞きたい話があれば、出かけるのが自分流、
(骨壺の底にゆられて)江宮隆之作、歌人山崎方代の生涯。
本を頂いたので、じっくり読みたい。




 

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