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477 82歳暮らしの断片

(18)人好き


 生きている限り人の中にいる。嫌な奴もたくさんいる。出会わなければ無視しても構わない。
子供のときも若いときも、長じてからも、自分にとって好ましい人とばかり出会ったわけでもない。けれど、
八十路になって思うに、どうも自分は、人間好きみたい。
スカン蛸とか、やな奴とか、いないのではなく、どうも近頃、人間が面白くて、どんな人でも、少しはいいところが見つかって、完全に切り捨てるということはできない。自分がそうだから人にもそう思うのかもしれない。

出かける


 首を突っ込んでも、飽きたり諦めたり、続かない数々のこと、愈々やれることに限りができて、例えば、属する趣味の場も制限されて、間口が狭まった。
カレンダーの予定が、スッキリして、行動もスッキリ。ちょうどコロナと相まって、一日に二つも三つも予定を消化するようなことは極端に減る。
火曜日だけが今のところ、サークル活動同じ日で、朝から午後までの一つと、夜の部の一つが重なる。どちらも休みたくない。
遠方まで出かけたり、夜も遅くまで、楽しむのだけど、心身クタクタ。満足感あれども、今の私にはきつくて響く。

朗読の会

 FBで知って、一も二も無く参加を決める。愛知県の北から南へ、時間はかかるし、徒歩、自転車、バス、電車と、乗り換えるやら、なまじ行き方が複数あるので、連絡上手く行かず、車で送迎してくれるにも、なかなかピッタリとは行かぬ。
 行けばどっぷり、良き人の集まりに溶け込む。
来る人くる人、身辺に心地よい風をまとっているように、テーマに添って、物静かな人、おちゃめな人、クールな人、落ち着いた人、飾り気なく暖かな人、様々な人格を表出して、交わる。
好きが接点でやってくるのだから、初対面から一気に深く。親子ほど年齢差があっても、なんの支障なし、(朗読)に焦点合わせ、勉強したり実技をしたり。多彩な情報も飛び交って、より合わされ、各々の力と成す。教える人も学ぶ人も気分は殊の外の気持ちよさ。
一時集まって良き時堪能し、私はそれぞれの人達に惚れ惚れする。

団地でのサークル活動

 茶道クラブが無くなった、盆踊りも開催ならず、スポーツはせっせと出ていくのは苦手、程よいクラブはすでに満席で入れない。
 シニアパソコンクラブがあった。これこれ!すぐにスマホに取って代わり、特に指導者ないまま、タブレットなども持参して、少人数でワイワイやっている。2人は上手な人、あと女性は団栗の背比べ、80代が多数、男性70歳唯一人。
 扱い優れた二人が、てんでの質問に答え、テーマによってはみんな共通の学びとなす。
黒一点の男性も、実に自然体で婆様たちのやかましいのに耐えながら、自分の問題は、二人の上手に聞いている。
ある時聞いてみた。(あなた、こんな年増ばかりの中で平気だねえ)答えがしおらしい。(いや、皆様方の経験豊かな話はためになります)
半分は四方山話や情報や、会員の面白話を聞くこともある。
人生経験様々に豊かであり、ここまで来たねと、悠悠。心配事あるが当たり前なれど、今日一日暮らしを重ねて、仲間で笑いあい、良しとする。

そこで私

 よく飛び歩いて間口ひろし、愉快なネタが尽きない、火曜日は、知多までいっての面白話を、スマホ教室へ行けば、それが聞きたいと全員で待っている。
学びの前に、ほやほや私の朗読の会での、顛末に、感心したり笑ったり、いいねえと認めてくれる。広い範囲から集まる若い人の動向を聞くのも新鮮であるらしい。
いつかは、詩篇を用意していき、パソコンクラブのみんなで、谷川俊一郎の詩を、読み合わせたりもした。
いつものおしゃべりと違い、背を伸ばし、気持ちを込めて其々が、読んだ。
声の違い、トーンの違い、9人の特色が明らかに、いつもとは違うキリッとした仲間を発見、惚れっぽい私は、ますます仲間に親しみを覚えた。
鮮やかな、清々しい印象だった。


#人間って素晴らしい
#仲間って素晴らしい


 
 

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