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ミュージカル『GIRLFRIEND』感想~その4~

いつになったら終わるのかという感じですが、シーンを思い出しながら書いています。
あらすじも多めですが、ご了承ください。



【野球観戦】

「明日の夜の俺の試合…来る?」
「うん…」
「……良かった」

気持ちが通じ合った後、マイクがウィルを野球の試合に誘うのも、男の子と一緒に買い物に行くのも大喜びだったウィルにとっては夢のような出来事だったのだろうなと思います。

翌日のウィルは本当に楽しそうで、「何だかさっぱり分からないけど楽しい!」「いいぞ~野球~~!フォ~~!!」

ルールは全く分からないけど、目を輝かせながら興奮気味に楽しむウィルは年相応の周りと変わらない男の子で微笑ましかったです。

ユニフォーム姿でやってきたマイクにも、興奮気味に
「野球ってすごく面白いんだね!僕、野球大好きだ」
「もう試合終わってるよ」
「君のプレー最高だったよ!」
「俺たち負けたんだぞ...」
「そうなの!?」
この噛み合わない掛け合いが2人らしくて良かったです。

もうすぐこの街を離れるし、最後にチームの皆とこの後ピザを食べに行くけど一緒にどうかと誘うマイク。上手く断れずに苦笑いのウィル。

自分の好きなウィルの良さを皆にも知ってもらいたいという気持ちや、少しでもウィルと一緒にいたいという気持ちは伝わってくるけれど、少し考えれば奇異の目に晒されることや、ウィルのこれまでの過去から喜んでついて行くということはないことが想像ついたはずなのに、昨日の出来事で気持ちが舞い上がっているマイクは気付くことができない。
自分のことは気にせず行ってきてもいいと気を使っているウィルの気持ちにも気付けない。
恋は盲目というけれど、無意識に傷付けていることに気付けないところはマイクの置かれてきた環境も関係あるのかなとも感じました。

話をして歩きながら、「昨日は眠れなかった…でも良い気分だった」とマイク。
それを受けて、ウィルも近付きながら「僕も眠れなかった…でも良い気分だった」

近付いた時にマイクの匂いを嗅ぎ、汗臭いからと気にするマイクに「刈りたての芝生のような匂いがする。」というウィル。

オープニングでも話していた、「刈りたての芝生のような匂い」自分のタバコの臭いがトラウマであるウィルにとって大好きなマイクの香りは憧れの匂いでもあるのかもしれません。

何となく甘く幸せな時間が流れても、周囲にとっては興味の対象でしかない2人の関係。
自分たちのやりとりをマイクの友人たちが奇異の目で見ているのをマイク越しに見たウィル。

「あいつらが見てるっ」

「今ここで俺がキスしたらどうなるかな?」

ウィルは困ったような笑い。

「想像できる?いい考えがあるんだ」

更に困った顔のウィル。

「ご飯はやめて、世界で一番好きな場所に連れてくよ」
「今すぐ行こう!俺、いい匂いがするみたいだからさ。着替える必要ないし...行こう」

後の場面にもありますが、常にマイクは友人たちとは背を向けた位置にいて、どんな表情を自分たちに向けているか分からない。常にそれを目の当たりにしているのはウィル。ここも敢えての演出なのかなと思いました。
ウィルが何を見てどう感じとったか...逆の位置に立っていれば…ウィルの表情が少しでもマイクに見えていたら…未来は変わっていたのでしょうか。

この時も健介ウィルの表情の変化が凄くて、「あいつらが見てる」の時の強ばった表情、困ったような悲しいような表情、自分を選んで連れ出してくれた時の観客にしか見せないぱぁっと嬉しそうな表情...一瞬でいろいろな表情が見られて、1つ1つ繊細に表現されているのを感じました。

そして、最後は真剣な表情でウィルを連れ出してくれたマイクは何だかんだいいながらやっぱりカッコよくて、ウィルが惚れてしまうのも仕方ないなと自分に言い聞かせて見守りました。

【世界で一番好きな場所】


マイクが連れて行った先は2人で毎日通ったドライブインシアター。

エバンジェリンの映画を見ながらウィルが、「今日こそ言わなくちゃ!」と意を決してマイクに「君が好きだと言ってたから今まで言えなかったけど、この映画はクソだ!このままじゃいけない」と告白するシーン、それぞれの反応の違いが面白かったです。

マイクの「そうなの!?」は萩谷、吉高マイクはどちらかというと映画を気に入ってると思っていたウィルが実はそうではなかったことへの驚きに対して、木原マイクは映画自体めちゃくちゃ好きで面白いと本気で思っていたからショックを受けていて、ただただ可愛かったです。

「自分たちの映画を作ろう」

2人で肩を並べて映画を観ながら、どんな場面なのかマイクに聞いたり、一緒にエヴァンジェリンの映画のシーンを真似ながらじゃれ合う2人。
健介ウィルのエヴァンジェリンは仕草が本当に艶めかしくてドキドキしました。
萩谷マイクのクネクネしたエヴァンジェリンも可愛らしく、「えっ!俺も!?」となりながらも身だしなみから整えている吉高マイクも好きです。

映画の中で「毎晩君に祈り捧げるよ-」と彼がエヴァンジェリンに歌っているシーンを真似る時に、ウィルが「この人たち裸だよ」と言うと、カウボーイハットで恥ずかしそうに股間を隠す萩谷・吉高マイクに対し、カウボーイハットを頭に被って真っ裸で堂々と歌う木原マイク。あまりの堂々っぷりに笑いを堪えるのが大変でした。

微笑ましいシーンもありつつ、途中ではウィルが歌の歌詞を変えて、「言えよ親父にさ、全部夢だと!」とマイクに迫る場面もあり、ウィルの強さやマイクのことを真剣に想ってぶつかるシーンもありました。でもやっぱりマイクはここでもきちんと向き合えないのが辛かったです。

そうしたシーンを経た後、紗幕が降り、霞がかった幻想的なシーンに変わりましたが、紗幕やライトの使い方が本当に秀逸でぐっと惹き込まれます。

暗闇の中、探し求める2人。お互いの姿を見付けて駆け寄り、顔の前で手を繋ぎ、指を絡めて求め合うように2回目のキス。お互いを確かめるように角度を変えて更に深く何度もキスする2人。

このシーンはペアによって描き方も様々で、井澤・木原ペアは銃撃戦をしながらじゃれ合っている感じで、観に行けなかった島・吉高ペアはマイクが投げ縄でウィルを捕獲していたと聞きました。それぞれ違って面白いです。

高橋・萩谷ペアはとにかく情緒たっぷりでムーディーでした。
そして千穐楽は初日よりもキスも長く、その後の角度を変えて深いキスの時は、背中を向けているので初日や他ペアはフリだけだったのですが、千穐楽は全部フリじゃないように見えました。
上手側の席で横から少し見えていたので、最後唇が離れたように見え、覗き見をしている気分になりました…心臓止まるかと思いました。

シャッフル公演を経て、改めて2人で作り上げたと話していたので、2人の強い想いやお互いがお互いを求め合っている姿がより鮮明に描かれていたように思います。
映画のワンシーンを観ているような、美しいシーンでした。

キスの後、萩谷マイクがウィルの手を取って歩き出すシーン、千穐楽以外は手を繋いでいなかったような気がするので、余韻がすごく素敵でした。

【その5に続きます】

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