2年前の自分に、伝えるとしたら
2018年5月の創業から約2年。
2019年4月の事業譲渡から1年と少し。
2020年6月30日、TOMOSHIBIはサービス終了となりました。
思うことは数多くあれど、起業家として必ずどこかでぶつかる壁なのだと、思いの外、冷静に受け止めています。
起業して、リリースして、事業譲渡して、リニューアルして、toBプランを出して、そしてクローズ。並べると短調だけど、たくさんの失敗と学びが詰まった2年間でした。
もし今の自分が、創業した時の自分に何か言えるとしたら。振り返って今思うことを、記憶と想いの熱いうちに、書き留めておこうと思います。
「決めること」に向き合え
壁打ち相手や周りにいる人、もしくは心の中の自分が「そんなの後で考えればいいよ」だったり「事例がない今考えても仕方ないよ」だったりと言ってくれることがあります。
そんなのは全て「逃げ」です。事業に責任を持つ人間として、唯一であり絶対の役割は「決めること」です。決めるに当たって情報が足りないなら、何としても調べて、学んで、知って、決めましょう。
やってみなければわからないことは確かにあります。もし決めたことが違えば、後からまた考え直して、決め直せばいいだけの話。まずは決めることをしないと、考え直すことすらできなくなります。
「失敗した」と思える基準を作れ
これは「決めること」から始まります。自分で決めて基準をつくることで、そこに対する結果として、適切に「失敗」を認識することができます。それができないと「なんとなく」の繰り返しで、改善することも、刷新することもできません。
事業は失敗と改善の繰り返しです。PDCAとはよく言ったもので、そのチープにすら聞こえる響きにこそ、どれだけ大切なことが詰まっているかを認識する必要があります。
まずは決めること、基準をつくること。そして適切に失敗し、新しい基準をつくること。この繰り返しに、逃げずに向き合いましょう。
「性善説」を過信するな
自分がつくるサービスを使ってくれるユーザーは、特に初期は仏のようにこそ思えます。きっといい人だ、感度の高い人だ、変なことなんてしない。期待も込めて、そう言った「虚構の素敵なユーザー像」に基準を合わせてサービスを設計してしまいます。
しかし、どこかのタイミングで「予期していなかった使い方」がされるかもしれません。それによって、本当にサービスを愛してくれるユーザーに迷惑がかかるかもしれません。
サービスやユーザーを守る為にも、性善説を過信しすぎず、例え極悪人が流入したとしても対処できる準備をしましょう。
「何者かになった」と錯覚するな
SNSや先人のおかげで、今やスタートアップ起業家はスポットライトの当たる「イケてる職業」になっています。創業してプレスリリースを打つと、たくさんのメディアから取材依頼がきて、持て囃してくれるフォロワーも増えます。友達は「社長!」と持ち上げてくれます。
でも、それは虚構です。本質的にはまだ何も生み出していないはずで、何の力も持っていない。自分で定めた何かしらの目標を達成するまでは、まだまだ、ただのドリーマーでしかないということを自覚しましょう。
足元の数字やプロダクトの細部を見ることを忘れて、前ばかりみていてはいけません。
「誰しもが」に逃げるな
サービスのビジョンやミッションを考える時に、好きなサービスやブランドのアイデンティティと比べ、つい高尚な言葉に惹かれ、耳触りがよく、そして壮大なミッションを語ってしまいがちです。
それ自体は悪いことではないと今でも思っています。でも、掲げた「高尚な言葉」そのものに意味はなく、そこにたどり着くための道筋を考え辿り着くことが事業の存在意義。
「世界中の人に」「誰しもが」「どんな人でも」あたりはとても便利な言葉です。インターネットのせいで感覚がおかしくなっていますが、所詮は人間、そんなに壮大なことを始めからできる訳がありません。
最も向き合うべきは誰なのか、誰しもが、ではなく誰が、なのか。高尚な言葉に逃げずに、解像度を高めよう。
「ボトルネック」は常に自分であると認識しろ
赤を知らない画家は赤い絵が書けないように、目的地を知らない先導が道を示せないように、自分の知らない可能性がサービスに宿りようもない。
生み出したサービスは自分の器以上に成長のしようがないことを常に認識し、自分自身が常に学び、自分の器を拡げていけるよう努力しよう。その方法として人に頼ることが最善なら手段を選ばずすべきだし、自分で学べることならすぐに学ぼう。
知らないことは罪ではないが、知ろうとしないことは罪となることがある。少なくとも、それで何かを守れなくなる瞬間がある。
最後に
色々書きましたが、不思議と後悔のような気持ちはありません。心から信頼できる優秀なチームに恵まれ、まだ売上も立っていないサービスを迎えてくれたCAMPFIREに出会うこともでき、愛してくれるユーザーさんたちにも出会えました。
この2年間、20数年の人生の中でも最高に充実した時間だったことは間違いありません。とにかく、楽しかった。
協力してくれた色んな人の期待に応えられなかったこと、チームのみんなが作ってくれた素晴らしいプロダクトを世に残せなかったことの2点だけは悔しくて堪りませんが、それはこれからのチャレンジで、しっかり返していきたいと思っています。
実はもう、次のチャレンジに進んでいます。より大きな、そして可能性を秘めた市場への挑戦です。
TOMOSHIBIを通してこの2年間で学んだことを、一切の余りなく活かしていきます。
(次のチャレンジについては、間も無くお知らせできるようになると思います。ドでかい花火を用意しているので、楽しみにしててくださいね)
どうか、引き続き応援頂けますと幸いです。
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