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【開業するために必要なこと8】個人事業主になるための手続を教えて!

Question
ようやく屋号や仕事場所が決まり、開業準備が整いました。いよいよ個人事業主として開業したいのですが、他にも必要な手続はありますか?
Answer
開業したことを明らかにするために、まずは「開業届」を税務署に提出しましょう。併せて、地方自治体への開業届と、青色申告の承認申請書も提出しておけば、まずは手続完了です。

個人事業主が開業に伴って提出する書類には、左の表のものがあります。たくさんありますが、最初から人を雇ったり、給料を払うことがなければ、上から3つの書類を提出しておけば、ひとまず問題ありません。

必ず提出するのが、税務署に提出する「開業届」です。正式には次回の「個人事業の開業・廃業等届出書」という名前の書類です。詳しい書き方は、「開業届の書き方を教えて!」で説明しますが、A4で1枚の書類で、記載する項目もそれほど多くないので、お住まいの住所を管轄する税務署に行って、その場で記載・提出することをお勧めします。

個人事業主が開業時に提出する主な書類

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税務署に行けば、その場で提出日付が入った収受印を押された控をもらえます。この開業届の控は、銀行で屋号入りの口座を作る場合や、創業融資や助成金を申請する場合などで使いますので、必ずもらうようにしましょう。

どの税務署に行けばいいかは、お住まいの住所ごとに決まっていますので、事前に国税庁のウェブサイトで確認しましょう。提出先の税務署を間違えると、二度手間になってしまいます。

税務署に行けない方は、国税庁のウェブサイトから開業届の用紙がダウンロードできるので、郵送でも提出できます。この場合でも、提出用と控用の2部を印刷して、切手を貼った返信用封筒を同封しておけば、控を返送してもらえます。少々面倒ですが、控はとっておくことをお勧めします。

次に、地方自治体(都道府県と市町村)への開業届です。これは、各自治体ごとに名称や様式、提出期限が違っていたり、提出しなくても済む自治体もありますので、提出する前に確認しましょう。窓口は税務署ではありません。都道府県への提出窓口は、〇〇県税事務所や〇〇都税事務所という役所が担当しており、税務署と同様に住所地ごとに管轄が決まっています。

市町村への提出は不要な場合が多いですが、お住まいの市役所等の個人市民税課といった部門が窓口となっています。
東京都23区の場合は、管轄の都税事務所に「事業開始等申告書」という名前の開業届を提出すればよく、区への提出は不要です。ただし、東京都は提出期限が早く、開業した日から15日以内となっていますので、注意しましょう。

また、地域によっては、税務署で提出する開業届が4枚複写となっていて、税務署に提出すれば、税務署から都道府県や市町村に送ってくれるところもあるので、まずは所轄の税務署に開業届を提出する際に、自治体への提出方法を尋ねてみましょう。

3つ目は、青色申告の承認申請書です。これは、開業した年から青色申告を選択するときに、税務署に提出します。白色申告を選択するという方は、提出不要です。提出期限は、開業した日から2か月以内(1月15日までに開業した方は、3月15日まで)となっていて、開業届よりも1か月余裕がありますが、開業届と同じタイミングで税務署に提出してしまうと楽です。

以上説明した3つの書類の他にも、いろいろな提出書類がありますが、アルバイトを雇ったり、家族に仕事を手伝ってもらって、給料を払うようになると、提出が必要となる書類が急に増えます。アルバイトの雇用や給与支払に関する具体的な手続については、書籍の4章を参照してください。

最後に注意点として、まだ開業準備ができていなければ、急いで開業届を提出する必要はありません。
退職後にハローワークに相談する予定の方は、開業届を出す前に、まずはハローワークに行きましょう。先に開業届を出してしまうと、既に就職したものとみなされてしまい、雇用保険から必要なサポートが受けられなくなることがあります。

また、退職後の社会保険について、家族が加入する健康保険組合等の扶養に入ることを考えている方は、開業届を提出する前に、個人事業主でも扶養になれるかどうか、被扶養者になるための具体的な基準を、健康保険組合等に確認しておいたほうがいいでしょう。

▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資


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