【開業するために必要なこと6】仕事をする場所はどう選べばいい?
Question
仕事をする場所として、自宅で作業するか、事務所を借りるかで迷っています。基本的には1人で行う仕事なので、自宅でも良さそうですが、どちらがいいでしょうか? また、単なる作業スペース以外としても検討すべきことはありますか?
Answer
コストだけを考えると、自宅で仕事をするのが一番です。しかし、クリエイター同士の交流やコネクション作りを求めるのであれば、シェアオフィスを利用することも一案でしょう。
クリエイターに限らず、個人事業主にとって負担が大きくなる支出は、家賃です。家賃は、固定費の1つで、儲かっても、儲からなくても、必ず一定額を支払うことになります。このような固定費をできるだけ安く抑えることが、利益を生み、事業を長続きさせるために大切なことです。
会社の経営でも、「持たざる経営」という言葉があり、社内には固定的な資産を持たずに、外部にアウトソーシングすることで、利益を生みやすい体質にすることが求められています。
駆け出しの時期は、人も雇わず、打ち合わせも客先で行うことが多いため、自宅でも問題なく仕事ができる、という方も多いと思います。実家から独立していて、既にマンションやアパートに住んでいる方は、リビングや空き部屋を仕事スペースにしてしまえば、立派なオフィスが完成です。
追加の家賃がかかりませんし、自宅の家賃や光熱費など、仕事で使用した割合に応じて経費にできるので、税金も減らすことができます。一番コストが安い方法ですので、まずは自宅での開業を検討しましょう。
ホームページや名刺を作るうえで、自宅の住所を出したくない、という方も多いと思います。自宅でほとんど仕事をしているが、仕事上の住所は別にしたいという方は、バーチャルオフィスが便利です。
バーチャルオフィスとは、名前の通り、「バーチャル=架空」のオフィスで、実際には働く場所としては使えませんが、住所や固定電話・FAXの番号を貸してもらう、というサービスです。
利用プラン次第ですが、電話受付や、郵便物や電話の転送サービスも行っています。月額2千円程度で提供している業者もあり、手軽な料金で、都心の住所と固定電話の番号を名刺に書けるので、会社との取引が多いという方には特にお勧めです。
ただ、提供している業者が乱立していて、零細企業も多いので、業者選びは慎重にしたほうがいいと思います。
もう少し開業資金に余裕がある方は、シェアオフィスの利用を検討してみましょう。シェアオフィスは、バーチャルオフィスと違って、実際に仕事ができる場所を借りられるので、自宅とは別に仕事スペースを確保することができます。自分で賃貸物件を借りるのとは違い、同じ建物・フロアの中で、利用者同士で仕事スペースを共有(シェア)するというサービスです。
自分で事務所を借りるとなると、保証金や敷金・礼金、内装費用、机・イスといった事務用品など、初期コストが多額になってしまいます。デスクが決まっていないフリーアドレスというプランであれば、月額1万円程度で利用できるところもあるので、まずは仕事場所を確保したい方には便利です。
シェアオフィスの提供業者も、ここ数年で急増していて、さまざまなプランを提供しています。最近では、いわゆるクリエイター限定のシェアオフィスもあり、同業のクリエイター同士で交流できるようなイベント・セミナーを提供しています。
人気のあるシェアオフィスでは、空室待ちでなかなか入れないところもあるので、オフィス選びは早めにスタートしたほうがいいでしょう。
時間をかけるほど、いい条件・場所の物件を見つけることができます。
民間の会社だけでなく、お住まいの自治体や公益法人でも、起業支援の一環として、安くシェアオフィスを提供しているところもあるので、ウェブで検索してみましょう。
最後に、バーチャルオフィスやシェアオフィスなどの事務所を借りるときには、契約上、途中解約できるかどうかを確認しましょう。2〜3か月利用して、他にいい条件のオフィスが見つかったとしても、年間契約で途中解約できない条件だと、最後まで家賃を払い続けなければなりません。
キャンペーンで月額家賃が安くなっていたとしても、他に移転する可能性がある場合は、契約前に慎重に検討するようにしましょう。
仕事場所の比較
▼出典
『駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A』
(桑原清幸・玄光社)
キャラクターデザイン=山内庸資