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AIエージェントが溢れる未来に、備えるべき業務プロセス

この記事はBizOpsアドカレ2024 6日目の記事です。 前回は株式会社タイミーのBizOpsとっきーさんによる「 Bizopsコミュティでの気付き」でした。

はじめに

こんにちは、株式会社ネクサフローの中村です。
私たちは「未来の働きを、今ここに」を実現すべく、セールス・コーポレートDX、プライシング、 AIプロダクトを手掛けております。
昨今、急速なAI・LLMの盛り上がりに伴い、世の中が大きく変わり始めています。皆様の会社、事業でも既に変化が起きているのではないでしょうか?
今回は、事業運営の根底にある、データ、システム、オペレーションで確実に起きること、そして、どう向き合うべきかをまとめました。


1. AIエージェントとは何か?

1.1. AIエージェントとは?

AWSの記事がわかりやすく参考にさせていただきます。

人工知能 (AI) エージェントは、環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、事前に決められた目標を達成するためのソフトウェアプログラムです。
目標は人間が設定しますが、その目標を達成するために実行する必要がある最適なアクションは AI エージェントが独自に選択します。
例えば、顧客の問い合わせを解決したいコンタクトセンターの AI エージェントを考えてみましょう。
エージェントは自動的に顧客にさまざまな質問をし、内部文書で情報を調べ、回答でソリューションを提示します。顧客の応答に基づいて、クエリ自体を解決できるのか、それとも人間に渡すのかを判断します。

「AIエージェントとは」https://aws.amazon.com/jp/what-is/ai-agents/

今回の記事で書く、AIエージェントは全てLLMベースのAIエージェントを指すこととします。

(参考)LLMベースのAIエージェントの位置付け

「Azure OpenAI Service Dev Day / LLMでできる!使える!生成AIエージェント」https://speakerdeck.com/masahiro_nishimi/llmdedekiru-shi-eru-sheng-cheng-aieziento?slide=9

1.2. AIエージェントが必要とすること

AIエージェントが効果的に機能し、業務プロセスを革新するには、以下の要素が欠かせません。

*以下はわかりやすいように簡略化しております。ご容赦ください。

  • 構造化データと非構造化データの統合

    1. AIエージェントは、データを統合的に活用することで、より深い洞察を提供します。構造化データ(顧客情報や取引履歴など)だけでなく、非構造化データ(メール、会議音声、ソーシャルメディアの投稿など)をベクトル形式で管理する必要があります。

    2. ベクトル形式でデータを表現することで、AIは膨大な情報の中から関連性の高いデータを迅速に検索可能となります。たとえば、過去の契約履歴や顧客の問い合わせ履歴を組み合わせて、より適切な対応を提案することが可能です。

  • 文脈と意味の理解:アテンションメカニズムの活用

    1. AIエージェントが人間に近い判断を行うためには、文脈を正確に理解する能力が必要です。大規模言語モデル(LLM)はアテンションメカニズムを利用して、文脈や意味の重み付けを行い、特定の状況で重要な情報を抽出します。

    2. たとえば、AIが顧客の問い合わせに対応する際、顧客の意図や感情を文脈から読み取り、適切な回答を提案することができます。この文脈理解は、単なるデータ処理を超えたAIエージェントの強みと言えるでしょう。

  • 生成AIとRAG(Retrieval-Augmented Generation)
    AIエージェントの能力をさらに強化する技術として、RAGがあります。RAGでは、AIが質問に答える際、外部のデータベースを検索して最新の情報を取得し、そのデータを元に生成AIが回答を作成します。これにより、エージェントは静的な知識にとどまらず、動的かつ最新の情報を反映したサポートが可能になります。

(参考)AIエージェントのイメージ図

「AIエージェントとは」https://aws.amazon.com/jp/what-is/ai-agents/

1.3. 今後の展望

人間がやるべき、人間にしかできない仕事を考えることが必要です。

  1. AIエージェントの導入によって、人間は単純作業から解放され、創造的かつ戦略的な業務に集中できるようになります。

  2. AIエージェントは、人間が本来注力すべき業務をサポートし、業務全体の生産性を向上させます。


2. AIエージェント時代に求められる業務プロセス

2.1. 現状の業務プロセスが抱える課題

AIエージェントの効果を最大化するためには、業務プロセスが「準備完了」になっている必要があります。しかし、多くの企業では、以下のような課題がその活用可能性を阻害しているのではないでしょうか?:

  • ゴール設定と認識の不備
    業務プロセスやタスクにおけるゴール(完了条件)が明確に定義されていない場合、AIエージェントが適切なアクションを取ることができません。例えば、以下のような状況はありませんか?:

    • 商談タスクの「完了条件」が単に「顧客訪問を実施する」では曖昧すぎ、商談後に具体的な見込み客の合意取得やフォローアッププランの作成といった基準が設定されていない。

    • 契約作業の「完了条件」が不明確で、関連する書類の取得や確認が抜け落ちるリスクがある。

    • ゴールが明確でなければ、AIエージェントが最適なアクションを選択することは難しく、結果としてプロセス全体の非効率を招きます。

  • 構造化データの不足と分断
    構造化データ(顧客情報、取引履歴、商談内容など)が十分に入力されておらず、データが分断している状況が多く見られます。
    例えば:

    • SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)、販売管理システムなどでデータ入力が不備である。入力内容が一貫性を欠いており、活用の妨げになっている。

    • 営業担当者が情報を入力しても、その情報が次のタスクやプロセスでどのように活用されるのかが明確になっていないため、入力モチベーションが低い。

  • 非構造化データの未取得
    AIエージェントが文脈や状況を理解するために必要な非構造化データが取得されていない、または適切に整理されていません。
    例えば:

    • 商談の録画データやコールセンターの録音データが保存されているだけで、AIエージェントが解析可能な形に変換されていない。

    • 会議の議事録が単なるメモとして残され、非構造化データとして統合管理されていないため、AIが活用できない状態になっている。

2.2. 必要な業務プロセスの条件

AIエージェントを最大限活用するための、業務プロセスの要件は以下の通りです:

  • ゴールの明確化
    各プロセスやタスクの「完了条件」を具体的に定義します。 例: 「商談を完了させる」ではなく、「顧客の合意を得る」「フォローアップメールを送信する」など。

  • 構造化データの整備

    • データ入力の標準化: SFA、CRMなどのシステムで一貫した情報を蓄積します。

    • 活用意図の共有: データの活用方法を明示し、入力の意義を共有します。

    • データの統合: システム間でデータを連携し、全体像を可視化します。

  • 非構造化データの整理
    商談録画やコール録音などを解析しやすい形式に変換します。 例: 商談録画から顧客のニーズを抽出し、次の商談準備に役立てます。

  • 業務マニュアルの更新
    AIが参照するマニュアルを簡潔に整備し、定期的に更新します。

  • 意思決定と責任の明確化
    タスク完了後の次のアクション担当者を明確にし、責任を可視化します。 例: 商談後にフォローアップ担当者を指定します。


3. Nexaflowが信じる未来:人間とAIの共創

ここまでの内容だけ見ると、やや不安を煽っているように感じられたかもしれません。メッセージはむしろ逆です。
私たちNexaflowは、AIがもたらす変化を恐れるのではなく、それを希望として捉え、AIと人間が協力し合う新しい働き方を築くことを信じています。
その未来は、人間の価値を最大限に引き出し、AIがその力を補完する共創の社会です。

3.1. Nexaflowが信じていること

AIが業務を支配するディストピアに怯える必要はありません。それどころか、私たちはAIの導入によって、人間が本来持つ価値や創造性を発揮できる社会を作れると信じています。
AIに業務が置き換えられることは、絶望ではなく希望です。日常的なルーチン作業をAIに任せることで、人間は対話や信頼構築、価値創造といった重要なタスクに集中するチャンスを得られます。この変化を積極的に受け入れ、より高い次元の仕事に挑戦することが必要です。
もちろん、生成AIを万能と考えるのは誤りですが、それは人間も同じこと。適材適所で活用すれば、AIは強力なパートナーとなり得ます。適切な環境を整えることこそ、人間がその恩恵を享受し、AIをコントロールする方法なのです。

3.2. AIエージェントと人間の新しい役割

Nexaflowが目指す未来では、AIエージェントは単なるツールではなく、人間の業務を補完し、共創する存在として位置づけられます。AIは、業務の効率を向上させるだけでなく、人間が新しい価値を生み出す環境を提供します。

  • AIがルーチン作業を担うことで、人間は創造性を発揮
    AIエージェントが契約作業やデータ整理といった定型業務を自動化する一方で、人間は本来得意とする対話や戦略的な業務に集中できます。たとえば、AIが自動で商談の記録を整理し、次のアクションプランを提示することで、営業担当者は顧客との深い信頼関係を築くことに注力できます。

  • 意思決定をサポートし、業務を加速する
    AIエージェントは、膨大なデータをリアルタイムで解析し、次に取るべきアクションを提案します。これにより、タスクの進行が停滞することなく、業務全体がスムーズに進みます。

  • 業務プロセスに透明性をもたらす
    AIは取引や業務フローを可視化し、関係者全員が同じ情報を共有することで、公正で透明性のある環境を作り出します。これにより、信頼性が高まり、組織全体の生産性が向上します。

このように、AIエージェントは業務の補助役にとどまらず、人間が新しい挑戦に取り組むための土台を築きます。

3.3. BizOpsに求められる役割の変化

AIエージェントが業務の中核を担う未来では、BizOps(ビジネスオペレーション)の役割がこれまで以上に戦略的かつ重要なものとなります。BizOpsは、単なる業務運用を超えて、組織全体の成長を支える仕組みを作る役割を担います。

  • AIエージェント中心のプロセス設計

    • タスクの完了条件を明確化する
      AIエージェントが曖昧さなく業務を進められるよう、タスクの完了条件を具体的に設定します。これにより、AIと人間の連携がスムーズになります。

    • 意思決定を支えるデータ設計
      AIが適切なアクションを提案できるよう、データを収集・管理しやすい業務プロセスを設計します。特に、構造化データと非構造化データの統合が鍵となります。

  • 組織全体の透明性と連携の推進

    • データとプロセスの統一
      BizOpsは、SFAやCRMなど複数のシステムを連携させ、分散していたデータを一元化します。これにより、組織全体が同じ基盤で動けるようになります。

    • AI運用文化の形成
      チーム全体がAIを活用しやすい文化を作るため、トレーニングやサポート体制を整備します。

  • 戦略的な役割へのシフト

    • 業務フローの継続的改善
      AIエージェントの運用データを活用し、業務プロセスを定期的に見直し、最適化を進めます。

    • 未来志向の仕組みづくり
      BizOpsは、短期的な運用にとどまらず、長期的な視点でAIエージェントの進化に対応できる柔軟な仕組みを設計します。


4. 足元でできること:BizOpsが主導する業務プロセス改善

イーロン・マスク氏の「第一原理思考」に基づく5つのステップを参考にすると、業務プロセスを本質から見直し、効率化を図るのに役立つのではないでしょうか。この改善プロセスを効果的に進めるためには、BizOps(ビジネスオペレーション)が主導権を握り、組織全体をリードすることが重要です。

  1. 要件の見直し:BizOpsが「何のための業務か」を問う

    • 不要な要件を排除
      業務プロセスに含まれる要件が目的に合致しているかを確認します。「なぜこの作業をするのか」が曖昧なタスクを削除し、必要性が不明確な業務を一掃します。

    • 責任の所在を明確化
      要件やプロセスのリクエスト者を明記し、責任の所在を明確にします。BizOpsは、関係者との対話を通じて、全員が理解しやすい要件に再定義します。

  2. シンプル化:BizOpsが「削る文化」を醸成する

    • 徹底的に削る姿勢を持つ
      BizOpsは「これ以上削れない」状態を目指し、不要なプロセスやデータ項目を洗い出します。たとえば、形式的な報告書作成や承認ステップを簡略化します。

    • 優先順位を再評価
      業務の重要性を再評価し、リソースを本当に価値を生み出す作業に集中させます。SFAやCRMでは、実際に活用されるデータ項目に限定して入力作業を簡素化します。

  3. 最適化:BizOpsが「本質を疑う」リーダーになる

    • 前提条件を疑う
      BizOpsは、「なぜこの手順が必要なのか」を徹底的に問い直します。たとえば、時間がかかる承認ステップが本当に不可欠かを再評価します。

    • 実現可能な解決策を提示
      問題の本質を見極め、現場で実行可能な解決策を設計します。

  4. 高速化:BizOpsが「無駄を排除した後」で速度を上げる

    • プロセス全体を可視化
      業務フローをフローチャートとして可視化し、ボトルネックを特定します。これにより、スムーズな業務進行を実現します。

    • 現場の速度を高める仕組みを導入
      会議時間の短縮やリアルタイムでのタスク進捗共有を実現するツールを活用し、業務のスピードを向上させます。

  5. 自動化:BizOpsが「準備が整ったプロセス」を自動化する

    • 必要な部分だけを自動化
      繰り返し発生するタスクや、明確なルールに基づく作業を優先して自動化します。たとえば、契約書のデータ抽出をAIエージェントに任せます。

    • 失敗を防ぐチェック体制
      自動化の対象プロセスが最適化されているかを事前に確認します。スペースXの失敗例のように、無駄な工程をそのまま自動化しない仕組みを整えます。


5. Nexahubで未来を体験してください

本日プレスリリースを出した、Nexahubは、AIエージェント時代に必要とされる業務プロセスを実現するプラットフォームです。
特に、どの企業でも避けて通れない契約・請求・支払いの業務にフォーカスし、この分野における複雑さや非効率さを解消します。

5.1. Nexahubが解決する課題

契約・請求・支払いの業務は、煩雑で多くの企業が頭を悩ませる分野です。Nexahubは、以下のような課題を解決します:

  • 契約管理の複雑さ
    受発注契約が多数存在し、条件や締切が異なるためにミスや遅延が発生しやすい。これが重要な業務を停滞させる原因になっています。

  • データの分散と属人化
    契約書や請求データが異なるシステムやExcelに散らばっており、全体像の把握が困難です。これにより、迅速な意思決定が妨げられます。

  • 手作業による非効率
    情報入力や集計作業に手間がかかり、人的ミスが生じやすいだけでなく、貴重な時間が奪われています。

↓以下のように案件と受発注契約は複雑になりやすいです。

5.2. Nexahubの特徴:契約・請求・支払いを完全に進化させる

1.AI契約書読み取り機能
PDFやワードの契約書をAIが自動でデータ化し、瞬時に内容を分析。これにより、契約内容の確認や手入力作業が不要になります

2.AI請求・支払データ作成
契約情報から請求や支払データを自動生成。計算ミスを防ぎ、スピーディーな対応が可能です。

3.AI精算データ作成
契約や請求に関するデータを統一フォーマットで一元管理します。入力ルールの標準化により、ミスや不整合を防止します。

4.分析ダッシュボード
プロジェクトごとの収支状況やコスト分析を可視化。経営者、担当者が即座に状況を把握でき、戦略的な意思決定を支援します。

5.3. Nexahubがもたらす未来

現在は「契約・請求・支払い」にフォーカスしているNexahubですが、私たちはこれを出発点に、以下のような未来を見据えています:

  • 受発注業務への展開
    契約の一元管理を基盤に、受注・発注業務全体の効率化を図ります。プロジェクトに関わるすべての契約やタスクを統合的に管理します。

  • ビジネスマッチングの可能性
    データを活用したパートナー企業のマッチングを支援し、新しいビジネスチャンスを創出する仕組みを提供します。

  • 企業間の透明な取引環境の構築
    データ活用と透明性の向上により、すべての取引が公正で効率的に進められる未来を実現します。

5.4. Nexahubのベータ版で未来を体験

未来の働き方を体感できる、Nexahubのベータ版をぜひお試しください。
契約・請求・支払い管理、進捗の可視化などの主要機能をトライアルいただけます。
契約管理や請求業務がどのように変わるのか、実際に触れて効果を実感してください。

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