【コラム的なやつ】アラサーの萌え漫画の呪縛
こんな漫画どうやって終わらせるのだろうか?
アラサーの萌え漫画は、未来からやってきたロボットもいなければ、ドキドキわくわくの大冒険もないし、ひと繋ぎの財宝も出てこないし、複雑に絡み合った恋愛ドラマもないし、激しいバトル戦が繰り広げられることもない。「未来に帰る」とか「○○を達成したら、終わり」という最終回の選択肢は無いのだ。
学生が主役の日常漫画なら「卒業」やら、親の都合で転校とかいった展開から終わらせられそうだけど、アラ萌え漫画のキャラはなんだかんだで「いい大人」なので、そんな展開すらも手段の1つに入れさせてもくれない。こんな時だけ年齢を武器にしてくるなんて、心底ムカつくぜ!
自分でもそれは理解した上で「なら、自分が生き絶えるまで描き続けてやろうじゃないか!」と、この謎の漫画を2017年から描き続けている。
おそらく、これは呪いだ。
アラサーの萌え漫画の呪縛だ。
僕はこの呪縛と共にこれからの人生を歩み続けるしかないのだ。おはようから、おやすみまで。ライオンか!?この生活の先は、いったい何がでるかな?教えて、小堺さん。
正直、終わらさずに「フェードアウトして逃げる」という手もあるにはあるが、そんなことできない自分の頑固さを把握されているのも余計にムカつく。
もちろん、悪いことばかりでは無い。
アラ萌え漫画のおかげ、たくさんの人と出会えたし、何よりもシンプルに「漫画を描く」のがとても好きになった。でもその一方で、この呪いはとんでもない苦しみを僕に与え続けているのだ。
この呪いは、やっかいなことに「夢」を見させてくる。
夢って、本当に残酷でやっかいだ。諦めようとすると「己の弱さ」を盾に、ひたすらに煽ってくる。「へー。諦めちゃうんだー。」なんて言いながら、きっとニタニタ笑ってるやがるんだ。
「なら、やりきってやるよ!!その代わり、アラサーの萌え漫画よ!!やりきってやるからには、必ず俺に良い夢見させてくれよ!!!」
そんな熱い気持ちすらも折れてしまう時がきた。
アラサーの萌え漫画は、自分で言うのもなんだが、年々クオリティは上がってると思う。自分でもはっきりと「最新話が1番面白いと思える投稿しかしない!」と線引きしてるくらい、中途半端なネタやオチが弱いものは却下までして、特にこの2022年は毎週更新にしては「ある程度」のレベルのものを描けていたと思う。周りになんと言われようと、これには自信がある。
しかし、どうにもこうにもインプは伸びず、新規フォローなんてされた日には祝杯をあげたくなるくらい新規受けはせず、かといって既存のフォロワーさんにも投稿するたびに大量にフォロー解除をされてしまう日々。しまいには、インスタの「いいね」もフォロワー3000オーバーのアカウントなのに、毎回100いいねにギリギリ到達する規模まで縮小してしまった。
もちろん、既存のフォロワーさんには感謝してもしきれないくらい感謝してるし、なんなら愛してるし、「明日暇やしどっか遊びに行こー!」と急に誘われてもヒョイヒョイ遊びに行っちゃうくらい信頼してます。
ここで「アラサーの萌え漫画の呪縛」の話に戻そう。「夢を見させてくる」呪縛に抗うためにも、とはいえ「結果」を求めざるをえないのをわかってほしい。
ネットでの新規獲得がダメなら、リアルはどうだろうか?
そんな思いで、参加したのが某デザインのお祭りイベントである。会場の形が「大きなM」みたいな形してんだよ?ここまで読んでくれた人にはわかるけど、ひたすらに「ドM」な僕にはうってつけの場所じゃないか。
このイベントでの最大の目的はただ一つ。
たくさんの人に知ってもらうこと。
名刺は過去最多の200枚用意!
漫画を読んでもらい少しでも興味を持ってほしいから、壁には漫画のコマを貼りまくろう!
ブースのジャンル申請を間違えて「アクセサリー」にしたけど、漫画はカレーと一緒でどんな人でも嫌いな人なんていないから、きっとどんな、ジャンルの人にも気に入ってもらえるはず!
前を通りかかり、少しでもブースをチラ見した人がいたら、無理矢理にでも名刺を渡そう!
これだよ!このワクワク感だよ!勝てる気しかしない!アラサーの萌え漫画よ!5年待たせやがって!この形が夢へのアクションの大きな一歩だったら、はやく教えてくれたらこんなにも悩まなかったのに!このやろー!待ってろよ、まだ見ぬファンのみんな!!!
僕は2日間、ものすごい費用をかけた高価な座席でランチパックを食べただけだった。
たくさん言い訳はしたいよ。
でも、これは自分の実力不足だ。
2日間声をかけ続け、無理矢理渡した名刺も10枚ほどで、何が新規ユーザーの獲得だ。情けないぜ。
フォロワーさんも仲の良い創作仲間達も遊びに来てくれて、グッズ自体は結構なくなり、とても嬉しくて、とても感謝してるし、本当に救われました。改めて、心からありがとうございます。呪縛は、そんな感謝の気持すらも僕に与える隙をくれなかった。
もうこれ以上、夢を見て苦しい思いをしたくない。既存のフォロワーさん達にもっと寄り添った活動に集中したい。この呪縛から解放されたい・・・
・・・もう、この漫画を終わらせるしかない!
とはいえ、冒頭の通りこの漫画を終わらせるなんてできるはずがない。と、思っていたが、帰り道の電車移動1時間ほどで、今回の長編のシナリオは一瞬で完成してしまった。あまりにもあっけなすぎることに、心のモヤモヤが5年ぶりに晴れていくのがしっかりわかった。
そして、今回の長編を描き始めた。
当初よりもハイペースで、仕上げた。
「はやく呪縛から解放されたい!」と一心不乱に描きまくっていたはずなのに、いつの間にか楽しくて楽しくてアップルペンシルが止まらなくなってた。はやく漫画を描きたくて、土日は太陽よりもはやく起きて描いてた。
既存のフォロワーさん達もすごく盛り上がってくれて、過去最多のコメント数が来たりして、最高に気持ちよくなっていた。
おいおい!夢を見ないように、呪縛から解放されたくて描いてたのに、また夢を見たくなってるじゃないか!!!ほんっと、むかつくけど、愛してるぜ!!
そのとき気づいた。
もうアラサーの萌え漫画は、自分の人生の一部なんだって。
僕はきっとあと60年ほど、死ぬまでこの漫画とともに悲しんだり、喜んだり、悔しがったりしていくんだ。
だったら、焦る必要はないじゃないか?
ゆっくり夢を叶えていこう。
その答えに辿り着いたとき、
僕は今回の長編のラストに2コマ追加していた。
夢オチのくだりだ。伏線は1話目にいれたものの、本当に回収するかは、ギリギリで決めようと思っていた。
せっかく綺麗に終わりを告げられるチャンスだったのに。もうこれを逃したら二度とこの漫画、終わらせられないの自分でもわかってるよ。
でも、こんなところで終わらせてたまるかよ。
まだまだ夢を見させてくれよ。
既存のフォロワーさん達にも「ウチら古参ですけど、何か?」とドヤ顔できるようにしてあげたい!!
結果、既存のフォロワーさんが減る現状は何も変わらなかった。
けど、なんか今すごく肩の荷がおりて、この先の人生をこの呪縛とまだ過ごせられることに、ドキドキしている。
こんな漫画どうやって終わらせるのだろうか?
おわり
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