たんぽぽせっけん
春に摘んだ "たんぽぽ" がせっけんになりました。
たんぽぽの色や香りを楽しめたらと思っています。
人とのかかわりがとても深いたんぽぽ。
解熱・発汗・健胃・利尿など民間薬として使われたり、
古くは中国、唐代の『新修本草』にも薬として利用する記載あるそう。
(日本薬学会HPより)
セイヨウタンポポはヨーロッパでは野菜としても出回っていて
日本でも最近はところどころで目にするようになりました。
今年は、4月3日から5月10日まで一か月ほど
晴れの日にほぼ毎朝 セイヨウタンポポをつみました。
セイヨウタンポポは春でなくとも咲くのだけれども、
寒い冬を越して最初にでてきた花をと思い、この時期のタンポポを。
いろいろなところに咲くタンポポだけれども、
除草剤や農薬などがかかっているといやなので
家の敷地に咲くタンポポを摘むことに。
シナノタンポポはのこして
外来種のセイヨウタンポポを。
ごめん外来ちゃん! 大事にせっけんにさせていただきます。
陽があたると ぱぁと 咲くタンポポ。
その日に咲くタンポポを 朝とると
まだ虫もすくない。
咲いたとたんに摘まれしまうと思うと なんだか 申し訳なくなってしまうけれども、
そこはぐっと、
大事に使わせておくれと。
摘んだタンポポは洗って
天日干しに。
よもぎと一緒に天日干し。
お天気の良い日は
夕方になるころには すっかり ちいさくしぼんで。
天日干しにした たんぽぽ は、
オリーブオイルに浸けこみます。
毎日とっても 次の日になるとまた咲いている。
開いた花はすべてとっても また次の日は
ぽつぽつと。
花をとると 茎から白い液体がでます。
次の日には その傷口はふさがっているのです。
茶色くなってふさがっています。
傷口をガードするタンポポの力。
(写真真ん中辺りの茶色の部分です。)
毎日咲きはじめたばかりの花を摘むと
タンポポは どんどん花を咲かせます。
大振りの花は少ないです。
その日に咲いた花をつんでしまう。
思えば タンポポにとってはなんと酷なことか。
摘んだ花を 洗って天日干しにしているとき
たんぽぽは
その乾燥していく過程の中でも必死に
種を作ろうとしている気がします。
綿毛になりかけていたものは
いっせいに
根につながっていたときよりもはやく
綿毛になる気がするのです。
乾燥するからかな。
よくわからん。
でも
子孫を残そうとしている、ということは、
なんだかひしひしと伝わってきます。
あたりまえだけれども
生き物。
たくさんの花を摘んで
オリーブオイル漬けもぎっしりになってきました。
タンポポの花
ひとつの花のようにみえるこちら ↓ は、
実はたくさんの花が集まっている部分
(頭花)
ひとつの花は
ひっこぬくとよくわかるけれどもこちらです。 ↓
ひとつひとつの花!
たくさん!
1日に100個~200個ほどの頭花(花の集まり)を
約1か月毎日のようにとってオイルに浸けたので
少なく見積もってもこの瓶に
3000個の頭花!
さてさて
前置きがかなり長くなりましたが、
だいぶ瓶にもたまってきたら
さらにそのままオイルに2週間ほど浸して
たんぽぽの成分をオイルに移します。
そして2週間後、
いよいよタンポポせっけんの仕込みに入ります。
この時の香りはものすごく強いです。
ほんわりいい香り、とは とてもいいがたいような タンポポ臭。
金網 → さらし で濾して せっけん仕込み用につかう油にします。
今回はタンポポのオリーブオイルに、
ココナッツオイル、有機シアバターのオイルを混ぜました。
そこへ
精製水、苛性ソーダを合わせてせっけん生地ができていきます。
いつもの生地より少し黄色い。
型に流して 熟成。
ゆっくり化学反応を進ませます。
材料が反応して石けん(脂肪酸ナトリウム)ができてくるのです。
2週間後くらいに
取り出してカット
(他のせっけんも並んでいますが)
そして また1週間後くらいに細かくカット。
1か月以上熟成と、乾燥を進ませます。
と、いつもならこういう工程なんですが、
今回は、
この細かくカットの間にもう一度仕込みをプラス。
別の生地に混ぜて仕込み、少し模様をいれました。
タンポポの香りが思いのほか強くて
作っている間に、
私が、
においに あきてしまったのです!!!
そのままの無香料バージョン、
タンポポの香りだけのものだけを作ろうと思っていたのですが、
急遽、別の香りをプラスしたものも作りました。
(オレンジスイート・ゼラニウム・フランキンセンス・はっか)
そんなこんなで
やっとこ無事に完成しました。
たんぽぽせっけんです。
無香料。
たんぽぽせっけんのみの丸型。
ほんのりたんぽぽ色。
かわいらしい色です。
そして香りと別の生地もプラスした四角型。
白い部分は追加で仕込んだ生地の部分。
黄色い部分がたんぽぽせっけんのみの部分です。
できたころには
すごいたんぽぽ臭だと思っていた匂いも
なんだか心地よい匂いに思えてきました。
多分、毎日嗅いでいので その時はあきていたんだな、
と。
香りの ”良い” ”悪い” は
人によってすごく違うので
なんともいえませんが。
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たんぽぽ摘みの最後は
畑の開墾と、
シナノタンポポ増やそう計画を兼ねて、
根っこごと堀りおこしました。
おいしそうな葉っぱは天ぷら、炒めものなどに。
生でもいけるけえども、
いろいろな生き物がうろうろしているから、なんとなく火をいれたくなる。
タンポポは全草食べられるので せっかくだから 根っこも。
土をきれいにして
湯でて味をみてみる。
なんでもまずはシンプルな調理で試してみます。
なるほどなるほど。
濃い。
根っこというだけあってかとても濃厚。
タンポポコーヒーにしたくなる理由がわかる。
揚げたら おいしそうな味だったので 少し小麦粉をまぶして
あげてみる。
油ともよい相性。
残りは天日干しにした後、
フライパンで炒って、
少し煮出してみる。
コーヒーといえるほどは焙煎しなくても
甘さも感じられておいしい。
葉っぱなどをお茶にすると、緑!の感じが残るけれども、
根っこなので
タンポポの香は残りつつも、そういう緑くささのような感じはない。
なにはともあれ
すみから すみまで
ごちそさまでした!
たんぽぽ
在来種には生き残ってもらいたい。
そして、あたりまえだけれども外来種ももちろん同じ大事な命。
ありがたく使わせてもらえるなら、
駆除ともよばなくてすむはず。