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岡本太郎感想文

5年位前に興味本位で行った東京、青山にある岡本太郎記念館内のアトリエに一つだけあった絵画を食い入るように観た覚えがあった。



あの時から美術を観る目が自分には少しあるんだなあと知った。
気づいたら出入り口のお土産屋さんでポストカードを何枚か買っていた。



最近ネット広告で目に入り、
あのときの衝動を思い出した。
それで先日、岡本太郎美術展へ行った。




岡本太郎さん自身の歴史を展示されている文章から察するには
パリでの抽象画家としての修行や寺での修行、縄文時代の土器、書道など多くのインプットをしている様でそれが沢山作品にアウトプットされていた。




また、絵の近くで筆の走り方を見ると全く迷いがない。



絵を描く当時の映像が流れていたが
絵を離れて見るときはどのように描くか
迷いが少し見えるが
近くで筆を動かす腕や体の動きは全く迷いがない。



写真撮影は私的目的であれば一部禁止されていたがほぼ自由だったので、心にとまった作品は写真を撮ることにした。
枚数は11枚。




その中で一番心に惹かれたのは【森の掟】だ。



作品横の解説をかいつまんで簡単に説明すると
芸術は対極関係で無ければならない。ということ。



森の中に現れた大きなチャックをつけたクジラが真ん中に描かれていて、
次に大きく描かれた大木の穴に森の住民である3匹が耳を押さえて驚いている。



チャックはクジラが人形であることを指しているらしい。
つまりは自然という皮を被った人工物が、しかも森と対極の海の大きな生物が、森を襲うという絵なのだろう。




また、よく見ると自由の象徴であろう猫に
ゼンマイがついている。



そういえば
パンクロックは地下から這い上がった文化だ。
ポップスミュージックに飽き飽きとした青年達が地下で楽器を掻き鳴らした。



社会に対する怒りやその情熱が
ミュージシャンとオーディエンスを燃え上がらせた。




社会を否定するための情熱を自己表現の形として音楽の文化が生まれた。



ピアスやタトゥー等の自傷的なファッション。
音が大きなマフラー音を立てる自動車やバイク。
デモや戦争などの物理的な争い。


世の中に煙たがれそうな文化や歴史は全て何かに反抗したその一部だと思う。
そして、それは全て自分をアピールするための主張の一部とも思う。



絵をじとーっと眺めていると
隅に周りの状況に飲まれずに2人で木に座っている人が描かれていた。



すごく安心した。



大きな文化の変化に惑わされない人も大多数ではないけどいるはずだと思ったし、自分にとってそれは少し憧れている所だからだ。







太陽の塔は高度成長期真っ只中である万博で
過去未来現在を描く象徴をあの時の大阪に建てた。




生で見たことがある。

今は公園となって塔の周りは芝生のエリア。
家族や複数の友人グループがブルーシートを広げて談笑したり昼寝をしていた。
楽しそうにボールを投げたり、寝転がって音楽を聞き流している。



それを横目に僕は
太陽の塔をあんぐり見上げて大きく深呼吸した。



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