オーストラリアでの国際学会
はじめに
学会参加の背景と目的
大学院修士課程を終えて一区切りがついたため、次のステップとして学会発表をすることにしました。実は、専門学校を卒業したときにも自分へのご褒美として一人旅をした経験があり、今回はそれを兼ねて初めての海外に挑戦することにしました。研究所での研究を世界に伝え、さまざまな視点から意見をもらうことができればと思ったのが動機です。
また、ちょうど論文を作成しているところだったので、知識の整理の意味も込めて準備を進めました。今回の発表テーマは理学療法介入の手法に関する報告であり、理学療法やリハビリテーション全般を含む国際学会に参加しました。国際学会への参加は、私にとって長期的な目標の一つでもありました。これが一番の目的でした。
オーストラリアを選んだ理由
オーストラリアを選んだ理由は、教授の指定する学会がオーストラリアで開催されることから、必然的にオーストラリアに行くことになったからです。教授いわく、私の顔がコアラに似ているという変な理由もありました(笑)。私自身もオーストラリアに一度行ってみたかったし、コアラやカンガルーなどの動物が昔から好きだったので、会いに行きたい気持ちもありました。加えて、セントメアリー大聖堂にも行ってみたかったのです。
VIVID Sydneyの紹介
6月はシドニーがイベントで盛り上がる季節です。光と音の祭典である「VIVID Sydney」は、ライトアップやプロジェクションマッピング、ライブや露店などが立ち並び、深夜まで賑わっています。船で海からライトアップを見ることもできるようですが、時間の都合上断念しました。観光名所であるオペラハウスやサーキュラーキー、ハーバーブリッジ、セントラル駅のライトアップやプロジェクションマッピングを楽しむことができました。
出発前のハプニングと写真
出発当日にキャリーバッグが破損するというハプニングがありました。一か所持ち手部分が外れてしまい、縦にして持つ部分が何とか生き残ったので、そのまま強行しました(笑)。そのほかのエピソードを含め、VIVID Sydneyの様子や出発前の写真をお楽しみください。
準備段階
事前準備(ビザ取得、フライト、荷造り)
オーストラリアへの出発は、約3か月前から準備を始めました。まず、ビザの申請を行い、パスポートを取得しました。海外が初めてだったので、出国時や帰国時の手続きをスムーズにするため、オーストラリアの入国手続きや日本への帰国手続き(Visit Japan)の確認と登録を行いました。
学会は4日間のスケジュールだったので、スーツやワイシャツなど多くの荷物を用意しました。飛行機に載せられるぎりぎりの20キロ程度の荷物になりました。オーストラリアの物価が高いことを考慮し、できるだけ食費を浮かせるために日本食も持参しました。オーストラリアの気候は日本とは逆で、6月は秋頃にあたるため、現地の気候に合わせた衣類も準備しました。
フライトは約9時間で、国際線の機内Wi-Fiは有料だったため、長編映画を機内で観ることにしました。たまたま見たかった映画が閲覧可能であったのは幸いでした。そのほかにも行きの便では日程の確認、帰りの便では撮影した動画や写真の整理を行いました。そうこうしているとフライトの時間はあっという間でした。
現地に早朝到着し、すぐに学会会場に向かう必要があったため、到着後の動きをあらかじめ決めておきました。チェックインまでに荷物を預けることができるように、シェアハウスの共有部分にロック付きで置ける場所を事前に予約しました。お金については、WISEカードとクレジットカードを用意し、事前にWISE口座でオーストラリアドルにしておきました。このWISEカードは非常に便利で、現地の決済はこれひとつで行えました。
学会の準備(発表資料作成、事前リサーチ)
発表はe-poster形式だったため、ポスターの準備を教授に指導していただきながら作成しました。学会からは発表の必要はないと指示がありましたが、教授の指示で英語発表の準備も行いました。学会当日まで毎日時間を見つけては発表の練習を重ねました。
日本語で原稿を作成し、英語に訳し、訳した英語文章をアプリを使用してネイティブ発音を確認しました。自分がうまく発音できているかを翻訳アプリでチェックしながら練習し、使用した単語の確認や文法チェックもアプリを通して行いました。できるだけ覚えられるように繰り返し練習しました。
参加するセッションは一部で事前配布資料があったので、それに沿って事前学習を行いました。また、参加予定のセッションの内容に関連する英単語などもわかるは範囲で学習しました。
学会での服装については、国内の学会ではスーツが基本ですが、海外ではジャケパンスタイルでも良いとのこと。opening ceremonyやclosing ceremonyに参加することを考え結局、スーツを持参することにしました。
出発前のチェックリスト
行き・帰りの服装: 日本では夏、現地では秋なので、薄手の長袖を着用
衣類: 下着類、スーツのインナー、スーツ、靴下、ネクタイ、スーツ用ベルト、スニーカー
食事: 白ご飯(レンチン)、缶詰、カップラーメン
学会対策: パソコン(マウス、電源コード)、名刺、ボイスレコーダー、参加証明書類
その他: 本、イヤホン、パスポート、ETA、ケータイ、乳液、スタイリング剤、傘
お金: WISEカード、クレジットカード1枚(現金所持はなし)
WISEカード:
靴: 長時間移動を考慮し、黒もしくはグレーの目立たないスニーカー。
食事: 物価高騰を考慮し、食べられるものをいくつか用意。
水は現地で購入。
雨具: 一日だけ土砂降りの日があったため、傘を持参していてよかった。
現地での学会参加
到着から学会までの流れ
早朝6時ごろ、シドニーのキングスフォード・スミス空港に到着しました。まずは入国審査を受けました。機内で配布された入国カードを事前に記入しておいたので、端末でパスポートを読み込み、スムーズに通過することができました。入国ゲートは混雑していましたが、空いている端末を見つけて迅速に対応できました。
その後、荷物受け取りスペースに移動し、荷物を受け取りました。空港内でオパールカードを購入し、空港から近隣の駅までバスで移動しました。途中、降りるタイミングがわからず少し戸惑いましたが、他の乗客の動きに合わせて無事に降りることができました。
シェアハウスに荷物を預け、学会会場へ向かいました。会場で受付を済ませ、ネームプレートを発行してもらい、オープニングセレモニーに参加しました。到着後すぐの忙しいスケジュールでしたが、何とか間に合いました。
学会の様子(セッション、発表の感想、ネットワーキング)
学会では様々なセッションが開催されていました。私が参加したのは、慢性疼痛管理、末梢神経障害の評価と介入、コクランセッション、超音波エコー、ビッグデータ解析などです。学会会場は広く、移動に迷うこともありましたが、スタッフに確認しながらなんとか間に合うことができました。
海外の学会では常に軽食が提供されており、レセプション会場ではお菓子や食事も用意されていました。そのため、持参した日本食はほとんど食べずに済みました。提供されるフードは量が多く、高カロリーなものが多かったです。多国籍な料理が提供され、スパイシーなものが多かったため、お腹を下してしまったこともありました。
学会の内容は非常に興味深く、国内の研修会では得られない情報が多くありました。ただし、一部のセッションは国内でも十分にカバーできる内容だったため、参加するセッションは慎重に選ぶ必要があると感じました。また、学会参加費の高額さもあり、事前の早期申し込み割引を利用することが重要だと感じました。
同職の現職者としての学びと気づき
今回の学会参加を通じて、多くの学びと気づきを得ることができました。特に、研究内容を他の研究者と共有し、フィードバックを受けることで、新たな視点を得ることができました。ただし、私の研究は他の研究者にはあまり響かなかったようで、直接の質問やアプリを通じての質問は少なかったです。学会自体が広範囲なテーマを扱っているため、特定の分野に特化した研究は注目を集めにくいのかもしれません。
現地での体験
宿泊先の紹介(動画リンク付き)
私が宿泊したのは、シドニーのセントラル駅付近にあるシェアハウスです。学会会場にも近く、移動が非常に便利でした。シェアハウスは清潔で、共用部分にはロック付きのバゲッジスペースがあるようです。今回は時間が早すぎたので、行きは別のラゲッジスペースをレンタルしました。宿泊先の詳細については、以下の動画リンクをご覧ください。
[宿泊先のシェアハウス :リンク]
VIVID Sydneyの体験レポート
VIVID Sydneyは、光と音の祭典としてシドニーを彩ります。私も限られた時間ではありましたが、観光名所であるオペラハウスやサーキュラーキー、ハーバーブリッジ、セントラル駅のライトアップやプロジェクションマッピングを楽しむことができました。特に、オペラハウスのライトアップは圧巻で、幻想的な雰囲気に包まれました。
現地での買い物、観光、外食のエピソード
初めての海外での外食は、オペラハウスのそばにあるオペラバーで行いました。注文後、品物が来るまで札を持って席で待っていましたが、追加注文の方法が分からず少し戸惑いました。それでも、無事に追加注文もでき、景色を楽しみながらゆっくりと食事を楽しむことができました。
買い物は主にコーレスとWoolworthで行いました。店舗によって品揃えが異なるため、何度か覗いてみると良いでしょう。オーストラリアのポストカードを探していたところ、たまたま寄った本屋で素敵なポストカードを見つけました。郵便局では期待したものが見つからなかったので、本屋での購入が正解でした。
文化の違いとその面白さ
オーストラリアは多国籍な文化が根付いており、移民に対して非常に優しい印象を受けました。つたない英語でも、現地の人々はゆっくり話してくれたり、何度も言い直してくれるなど、とても親切でした。学会で提供された食事もアジア系の料理が多く、移民文化を強く感じました。街中でもアジア系の飲食店が多く、異文化が共存している様子が印象的でした。
[観光地とVIVIDSydneyの様子:リンク]
滞在日程の詳細
初日
早朝6時ごろ、シドニーのキングスフォード・スミス空港に到着。入国手続きを済ませた後、オパールカードを購入し、バスでセントラル駅近くのシェアハウスに向かいました。荷物を預けてから学会会場に直行し、9時からの開会式に間に合いました。その後は学会のセッションに参加し、19時過ぎにWelcome Receptionが終了。荷物を受け取り、チェックインした後、近くのWoolworthで水を購入し、シェアハウスでシャワーを浴びて就寝しました。
2日目
7:45からのモーニングセッションに参加するために早起きし、会場近くのコーレスに立ち寄ってからセッションへ向かいました。昼過ぎまでセッションを聴講し、その後、事前予約しておいたWildlife Sydneyで短時間ですが動物を観察。午後は街へ出て、お土産やポストカードを探しに本屋を訪れました。完全に日本語で対応してくれる店もありました。いってみたかったセントメアリー大聖堂にもいくことができました。最終セッションを聴講した後、シェアハウスに戻り、夜はWoolworthでお土産を購入しながらライトアップを楽しみました。
[行ってみたかったセントメアリー大聖堂:リンク]
3日目
7:15からの重要なセッションがあり、理解度テストまでされる長丁場。午後の休憩時間には郵便局でポストカードを郵送し、午後のセッションに戻りました。18:00に終了し、その後、電車でオペラハウスへ向かい、周辺を散策しながらオペラバーで夕食を楽しみました。オペラハウスのプロジェクションマッピングを鑑賞し、シェアハウスに戻りました。
[オペラバーとオペラハウス:リンク]
4日目
8:00からセッション開始。正午からのクロージングセレモニーに参加し、大会は一旦終了。その後、病院施設の見学ツアーに参加し、13:00から18:30まで国外の医療施設を見学しました。ツアー終了後はホテルに戻り、荷物の整理とお土産の最終確認を行い、近くの酒屋でお酒を購入して最後の晩餐を楽しみました。翌日の早朝フライトに備えて早めに就寝しました。
5日目
5時にシェアハウスをチェックアウトし、8:30のフライトに向けて空港へ。エアポートリンクを利用してスムーズに空港に到着し、出国手続きを済ませました。空港内のお土産スポットを散策し、無事に帰国しました。
[キングストン空港のお土産スポット: リンク]
特に印象に残った出来事やハイライト
各日の活動を通じて、特に印象に残ったのは、オペラハウスのライトアップやプロジェクションマッピング、学会での多国籍な料理、病院施設の見学などです。これらの体験は、今後の学会参加や海外旅行の参考になると思います。
まとめ
学会参加の総括
今回のオーストラリアでの国際学会参加は、非常に貴重な経験となりました。国内の分化学会に参加するだけでも十分な情報を得ることはできますが、国際学会ならではの広範な視点や異文化交流の機会は、非常に有益でした。著名な研究者と直接お会いする機会や、新たな研究のトレンドを学ぶことができたことは、私の研究活動に大きな刺激となりました。
一方で、学会参加の目的を明確にしておくことが重要だと感じました。国内の学会でも十分にカバーできる内容もあったため、自分の研究内容や興味に合ったセッションを選ぶことが大切です。学会の早期申し込み割引を利用することで、参加費を抑えることも可能ですので、事前の準備をしっかりと行うことが重要です。
次回参加へのアドバイス
国際学会に参加する際には、いくつかのポイントに注意することが重要です。まず、入国・出国手続き、現地の気候や時差、現地の感染症情報、観光情報(危険地域など)、金銭情報(現地での決済方法)、現地の飲み水情報は事前に確認しておきましょう。また、学会会場では飲食物が提供されることが多いため、食事の心配は少ないです。服装については国によって異なりますが、私の場合は念のため全日程スーツで過ごしました。
学会以外の楽しみ方の提案
国際学会のもう一つの魅力は、異国の文化や人々との交流です。学会の合間に観光地を訪れたり、現地の食文化を楽しんだりすることで、学会参加の体験をさらに豊かにすることができます。異なる国の研究者とコミュニケーションを取ることで、新たな視点やアイデアを得ることもできます。学会の公式イベント以外にも、現地の文化や生活を楽しむことをお勧めします。