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筋肉痛の理由 その後

コロナワクチン2回目の接種を終えた。
1回目は筋肉痛と頭痛があったものの、解熱鎮痛剤使用により症状は軽減。
2回目の方が1回目より副反応が強く出やすいとされており、不安はありつつも覚悟はしていた。
結果、筋肉痛は想定内。
既に体験済なので、きたきた、またこの痛みが…といった感じであった。
夜にかけて腕がズシーンと重たくなり、痛みも増してきたのでロキソニンを内服して就寝。
ここまでは1回目と同様の経過である。


翌朝、目覚めた時に何とも言えぬ倦怠感と頭重感、目は開いているのに開いていないような感覚、首から肩にかけての張り感、
一言でいえばとにかく「だるい」といった感じだろうか。
この感覚は1回目にはなかった。
例えるならば風邪のひき始めのような感じか。
自身は慢性の頭痛以外は健康体で風邪もあまりひかないし、インフルエンザにもかかったことがない。
ここ5年くらいは自身の体調不良で欠勤するということは一度もなかったように記憶している。
仕事へ行くか迷ったが、熱はなかったので今日は省エネ低速モードで働こうと思い、とりあえず出勤した。


結局、倦怠感と頭痛は一日中続き、朝からロキソニンを内服し続けたが、午後には電池切れ状態となり、少し早めに退勤した。
自身の場合はこれでも軽い方であり、中には発熱、めまい、悪寒など重い症状が出たスタッフもいた。
既に示されているデータからも明らかであるが、
2回目の方が副反応が強く出やすいという事を身をもって体験した。

年齢が高い方が副反応が出にくい傾向があるのも既に示されているが、
確かに、60~70代の先生方は筋肉痛が軽度でそれ以外は症状がないとおっしゃっていた。
先生いわく、
「副反応が強いってことはきちんと抗体が作られているってことだな。俺は何ともないからダメかもな…」
と自虐的に話していたが、真相は定かではない。

以上の経過からまとめると…

2回目の方が副反応の頻度が高い。
事前に解熱鎮痛剤を用意したり、接種翌日には休めるようにしたほうがよい。

自身が勤務する病院では今月末で医療従事者への接種が完了し、
来月からは高齢者、基礎疾患を有する方への接種が始まる。
当院でもワクチン予約が始まり、初日は電話がひっきりなしに鳴り、事務の方々は対応に苦慮されていた。
予約方法は各病院様々であるが、当院では来院予約とし、予約時間を設け、その時間に来院していただくご案内をしていたが、受付時間前に来院され、予約の予約を取りたい、とおっしゃる方もいたり、患者さん同士でのいざこざがあったり、トラブルに見舞われた。
一体何の行列かと思う程に予約希望者が集まってしまい、密を誘発する結果になった。
ネット予約ではなく来院予約としたのは、高齢者がスマホやネット環境に慣れているとは言いがたい現状もあってのことである。
聞くところによると、100人以上が集まってしまったという病院もあったようである。
ワクチン接種への関心の高さが伺える結果、とも言える。

今までにない新しいワクチンということもあり、安全性や効果を疑問視する声もあったが、
接種が進むにつれ、副反応のデータ、予防効果も明らかになってきた。
とはいえ、まだ大多数の国民が接種できていない状況下にあり、観察期間も十分とは言えないため、安全性や効果を明言する事はできない。

優先接種を終えたいち医療従事者として、
これから接種を受ける方、接種を迷っている方、接種をしないと決めた方、様々な方へのアドバイスができないものかと考えていたときに出会った記事がある。
信州大学医学部附属病院感染制御室の金井信一郎先生が書かれたものである。
以下は抜粋したものである。

ファイザーワクチンは高い予防効果が確認され、接種を大いにためらうような重篤な有害事象は確認されていない。
現時点では少なくともワクチン接種を受けた本人のメリットが明らかであり、新型コロナウィルス感染症発症の社会的影響が大きい職種と重症化のリスクが高い高齢者や基礎疾患がある人には優先的に接種すべきであると考えられる。
今後未知の重篤な有害事象が判明する可能性があるが、新規数万分の1以下と予想される未知の重篤有害事象等のリスクと、日本で新型コロナウィルスに感染するリスクを天秤にかければ、接種のメリットが上回る。
新型コロナワクチンを接種するかどうかは最終的に個人の判断に委ねられる。
報道ではネガティブな情報が飛び交いやすいが、先生方には被接種者が冷静な判断ができるような情報提供をお願したい。

個人的な感情論だけで打つ、打たないを判断せず、
事実や根拠に基づいた冷静な判断をしていただきたいと思う。

自分自身の意思で判断できない方、認知症の方、寝たきりの方、意思疎通が難しい方、
そうした方々の判断は誰が行うのか、そのようなことも踏まえて考えていただきたい。

当院では入院中の高齢者の方への接種が始まっている。
病棟スタッフが患者さんの問診票に主治医のサインを求めに外来へ来た際のことである。
本日接種予定だという。
問診票の自筆サインは本人ではなく、家族のサインがされていたので、
つまりは意思疎通と自筆が困難な状況にある方だと察しが付く。
体調に特変はないとのことで先生はサインをされていたが、その後ボソッとつぶやいていた。


「この人、食事とれてないから点滴しているんだよね。そんな状態でもワクチンは打つんだな…まぁ特別具合が悪いっていうわけでもないから打ってもいいんだけど、なんだかな…」


優先順位っていったい何だろうか…と考えてしまった。
ワクチンを打ってさらに具合が悪くなる可能性もあるのだが、
それでも打った方がいいのだろうか…
打てばいいというものでもない、
打ったから安心というものでもない、
リスクとベネフィットのバランスを考える必要はあるだろう。


また、情報は受け身ではなく、自ら取りに行く、という姿勢も大事である。
そして、ワクチンを接種したあとも過信することなく、基本的な感染予防は継続して行う必要があることは確かである。


いち医療従事者という立場上、ワクチン接種には賛成ではあるが、
強制するつもりはない。
最終的には個人の判断であると思う。

接種する予定だが迷っている、という方にはこのようなメッセージも有効ではないか…

「あなたのワクチン接種が周りの人のワクチン接種を後押しする」

自分の行動が誰かの行動の後押しとなり
自分も周りの人も救うことにつながる

強制することなく、選択の余地を残したメッセージは「ナッジ理論」に基づくものである。
「ナッジ」とは直訳すると肘で軽く突く、の意

ちょっとしたきっかけを与えることで
よりよい行動、選択ができるように促す手法のことを指す

強制ではなく
自発的な行動を促す

ワクチン接種を進めるにあたり、「ナッジ」を活用した取り組みに期待したい。

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人間としての基本は、              自分で考え、                 自分で行動し、                自分で責任を取ることにある。  

マーガレット・サッチャー 政治家     


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