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昭和家電でおもちつき

去年の話です。


私の実家では、毎年暮れに餅つきをする。
と言っても、実家も核家族なので、昔ながらの杵と臼でつくわけではなく餅つき機を使ってやるのだ。

11月末に父が入院し、コロナ禍以降外泊も許可されていないので、お正月も帰宅することはできなかった。
父もいないことだし、今年はお餅をつかなくてもいいのではと母に提案したが、「お正月なのに少しだけでも・・・」と結局つくというので、手伝いに行った。

台所に入ると、テーブルの上に子どもの頃から何度も見て来た餅つき機が用意されていた。
≪National≫って今の若い人は知らないよね。「松下電器」を知ってると言うとトシがばれるだろう笑
実家の餅つき機はそのナショナル製だ。

スイッチは「むす」「切」「つく」だけ


かなり年季が入ったこの餅つき機。
いつから使っているのかがわかるものがあった。


「もろぶた」という字は私が書いたそう。「これは何?」と聞かれて「もろぶた」と教えたら、マジックで書いていたそうだ笑
昭和44年時ではなく、何年かあとに小学生になってからのことだろう。

父は大工なので、実家には父が手作りしたものがいろいろあるが、このもろぶたもその一つ。
昭和44年製造ということは、この餅つき機も同じ頃に買ったはず。母によると、当時近くにあった(もちろん今はない)電気屋さんで購入したそうだ。

今年は昭和100年だそうだから、かれこれ56年、壊れることもなく働き続けてきたわけで、年に1度か2度しか使わないとしてもたいしたもんだ。

ずっと以前に、最近の家電は5~7年で壊れるようにできていると聞いたことがある。冷蔵庫や洗濯機など、だいたいそのくらいが寿命らしい。以前は家電は何度も修理をして長く使っていたが、最近はあまり長く部品もおいてなくて修理でなく買い替えをするよう、そのくらいの寿命にしてあるということだった。真偽のほどは不明だが、実際実家にはこの餅つき機以外にも、「もう捨てれば?」と思うような扇風機など何度も父によって修理されて使われているものがある。今の物のほうが、格段に機能が良く、電気代も安くて、本当は絶対に買い替えた方がいいはずだけど。

それはさておき、餅つき機。
滅多に使うものではないし、これは買い替えなくてもいいと思っている。壊れなくてもおそらく両親がいなくなったら使うことはないだろう。
これがいまだに壊れないのは、単機能の製品だからではないかと思う。

洗って一晩浸したもち米を1升と分量の水を入れ、「むす」のスイッチを入れて待つことしばし、ブーというブザーが鳴ったら、「つく」にスイッチを切り替える。

はじめはお米。
だんだんお餅になってきた
7分くらいでつきあがる

7分くらいできれいにつけたら取り出して、ちぎって丸める。とても熱くて私は丸めることしかできないが。
今回は3升だけついた。例年はもっと多いし、他に豆餅もつく。
父が退院したら豆餅をつくそうだ。

というふうに、いたってシンプルなつくりの餅つき機。
その後に買った電気オーブンはパンをこねる機能がついていて、ついでに餅もつくことができた。主機能はオーブンなので、もちろんその後パンも焼ける。が、いつからか使うことがなくなり、長く捨てられずにホコリを被っていた。
多機能家電は便利だけど、シンプルだからこその長持ちなのだと改めて思った。
餅つき機はまだまだ使えそうだし、毎年親戚からもち米もいただけるので、年末のお餅つきはもうしばらく続きそうだ。高齢になった両親が、大変だ面倒だと言いながら、いろいろなことをするのは元気の源でもあるだろうから、できる手助けをしていかなきゃね。


おまけ)そういえば、友人が3年前に買ったドラム式洗濯機が故障して、保証期間だったので電気屋に行ったら、部品がないので新品(後継機)と交換になったという話を思い出した。
3年で部品がないのかと驚いたが、その方が安いからだろうということだった。交換の手間や人件費など加えたらそれもわかる気がしたが、もったいない病の私としては、複雑な心境だ。



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kajun。
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