見出し画像

オペラプラザ岡山のこと

今年度のオペラプラザの公演は1月13日(月)、1週間後だ。
前回のnoteに、多額の赤字覚悟でその公演に臨むことを書いた。

今まであまり人に伝えることも宣伝もしてこなかったけれど、この機に我がオペラプラザ岡山について、もう少し続けて書いてみようと思う。
今回は、5年ほど前に県の冊子に掲載するためテーマはなんでもいいから「随想」を書くよう言われて書いた文章を載せてみることにする。

【随想】ユニヴァーサルデザインオペラに出会って
 
それは 長い間「やってみたいことリスト」の最上位にあった。いつか本格的なオペラの舞台の端っこに、合唱団、いや通行人としてでも立ってみたい、ということだ。とはいえ、高尚な印象のオペラに、素人が関わることなど夢のまた夢だとも思っていた。
 そんな私が十年前、「ユニヴァーサルデザインオペラ」なるものに出会った。「年齢や経験、障がいのあるなしに関係なく、誰もが輝ける舞台を!」というモットーで活動しているその団体のメンバーは、学生・会社員・主婦・・・幼児から七十代まで、年齢も職業も様々だ。音楽大学で声楽を専攻した者もいれば、専ら耳コピで旋律を覚える者もいる。点字の楽譜があることも初めて知った。趣旨に共感し、オーケストラやスタッフとして後押ししてくれる仲間に支えられて、日本語・字幕付き・フルオーケストラ演奏によるオペラを毎年上演している。舞台の経験も、力量も、個性も異なるメンバーが、互いに寄り添い助け合いながら作品を作り上げる中で、絆が深まり、それぞれに上達して、本番ではみんなが活躍している。
 さて、「いつかはオペラ!」と飛び込んだ私の初舞台はモーツァルト『魔笛』。その後も『フィガロの結婚』『カルメン』等の古典作品やオリジナルの創作オペラに、合唱や、時にはソリストとして出演し、幸せな経験をさせてもらってきた。舞台の楽しさに味をしめ、素敵な仲間との出会いを経て、今ではスタッフとして団体の運営にも関わるようになった。
そうした中で唯一の気がかりは、私自身を含め、演奏の技量や芸術性の面だった。が、たまたま観た映画の「最も崇高な芸術とは人を幸せにすることだ」ということばが私に答をくれた。今は、誰もが輝き親しめる文化芸術活動としてのユニヴァーサルデザインオペラの可能性に期待し、その普及を図っている。
 我が団体は常にメンバー募集中。出演者も観客も演出もユニヴァーサルなデザインのオペラで、あなたも一緒に幸せを探しませんか。
       (『教育時報』2019年8月号「随想」に掲載) 

2013年に出演した『カルメン』の1シーン

いいなと思ったら応援しよう!

kajun。
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!