長野県安曇野市で過ごしたあの夏を忘れない
皆さんは長野県安曇野市についてどれだけ知っているだろうか?
おそらくこの記事を読んでいる方の大半は『安曇野市=わさび』のイメージが強いのではないかと思う。
実際に安曇野市はわさびの生産量がダントツに多い所で、全国一のわさび生産量を誇る長野県内でも90%以上を占める生産地が安曇野市だという。
自分も正直、昨年夏に安曇野市を訪れるまではわさびのイメージしかなかったが、実際に訪れてみてわさび以外にも多くの魅力がある事を知った。
そこで本記事では長野県安曇野市の魅力を全力で紹介していきたい。
安曇野の夏の風物詩・安曇野花火
2019年8月14日(水)
この日は野沢温泉での観光を終えて、長野駅から安曇野花火の開催地である明科駅へと向かっていた。
明科駅へと向かうJR信越本線・篠ノ井線の車窓からは、雄大な山々に囲まれた長野盆地の絶景を楽しむことが出来る。
長野駅から1時間程で明科駅に到着する。
夕暮れに差し掛かろうとしている17時16分、ターミナル駅でもない小ぢんまりとしたローカル線の駅も花火を見に行く人達でいっぱいだった。
この年のお盆は日本列島に台風が接近していた時だったが、ここ安曇野市では幸い台風の影響を受けることなく無事に安曇野花火が開催される事となった。
明科駅から安曇野花火の観覧会場である犀川のほとりまでは徒歩で20分程かかる。
会場に向かう前に駅前にあるスーパーで花火大会用のお酒とおつまみを調達して向かう。
観覧会場へと向かう道は安曇野花火を観に来た多くの人が歩いており、沈みかけている陽が何だか夏の夕暮れ時の情緒を感じさせる。
こちらが安曇野花火観覧会場の犀川のほとり。
時刻は18時前と打ち上げ開始の19時まではまだ時間があるが、既に多くの人で賑わっている。
とは言え、長野県内で最も有名な諏訪湖祭湖上花火大会の例年の人手約50万人と比較すると、ここ安曇野花火の人手は例年約2万5,000人と約20倍空いている計算となる。
それを思うとどうしても人でごった返す有名な花火大会より快適に観覧する事が出来るのも安曇野花火の魅力の1つではないだろうか。
安曇野花火には無料観覧席もあるが、数年ぶりにまともに花火を観るという事で奮発して事前に有料観覧席「梅」のチケット¥2,000を購入しておいた。
せっかくの旅先での花火なのだから、ここはゆったりと観られる有料観覧席を取っておいて損はないだろう。
こちらが観覧会場に向かう前に駅前のスーパーで購入した安曇野花火用の布陣である。
書き忘れていたが、青春18きっぷでの1人旅の最中であるため、この安曇野花火も当然1人での観覧となる。
花火が打ちあがる直前に、地ビールの善光寺浪漫ビールと屋台で購入した牛串で乾杯。
19時になりご来賓の方々からのご挨拶が終わったところで、令和最初となる安曇野花火の一発目が打ち上がる。
ちなみにこの安曇野花火は昨年が13回目と正直歴史があるとはまだ言えない花火大会ではあるものの、約1万2,000発の花火が安曇野の夏の夜空に打ち上がる様は他の有名な花火大会にも決して引けを取らないレベルだと思う。
途中、にこにこした顔や猫の花火も打ち上がり観る者の心を和ませる。
最後は安曇野花火の目玉でもある超特大ワイドスターマインが音楽と共に安曇野の夏の夜空に打ち上がり、感動のフィナーレを迎えた。
安曇野花火の余韻に浸りつつ、観覧会場最寄り駅の明科駅へと戻る。
この日は松本市の方に向かい、宿で一泊して1日を終えた。
残念ながら今年2020年に開催予定であった第14回安曇野花火は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、既に開催中止が決定してしまっている。
来年こそは例年通り安曇野花火が開催されて、安曇野の夏の夜空を彩ってくれる事に期待したい。
日本アルプス総鎮守・穂高神社
2019年8月15日(木)
宿泊地の松本市を後にした一行(1人)は朝7時台の電車で、再び安曇野市に属する穂高駅へと向かった。
ここ穂高駅は昨夜の安曇野花火観覧で訪れた明科駅とは犀川を挟んで向かい側に位置する場所にあり、安曇野市観光の拠点駅でもある。
和風建築の駅舎が何とも格好いい。
そんな穂高駅から歩いて3分の所に位置するのは、日本アルプス総鎮守との通称がある穂高神社である。
木造鳥居と重厚な造りの神楽殿と拝殿が境内の杉並木と調和しており、朝の澄み切った空気が非常に心地良い。
拝殿ではこれまでの旅の軌跡に感謝しつつ、本日の安曇野市観光への思いを馳せて良い旅が出来るよう祈願した。
境内には神様へのお供えとして安曇野の銘酒が陳列されていた。
一瞬、味見したいと罰当たりな事を思ってしまった自分を恥じる。
穂高神社を参拝した後は御朱印を頂いた。
書体に力強さを感じる。
長野一の最狂スポット・スプーンアートカフェ
穂高神社の参拝後は、珍スポット界隈で有名な「スプーンアートカフェ」に訪れた。
お店の外観からして非常に攻めており、珍スポットぶりを遺憾なく発揮している。
これは店内も期待できそうだ。
※スプーンアートカフェは2019年10月をもって閉業しました
入店するや否や、傘とニワトリの鳴くおもちゃ(ドン・キホーテやヴィレッジヴァンガードなんかでよく売っている、お腹を押すと鳴く黄色いニワトリ)を渡される。
傘の裏側は何とメニューになっていて、注文が決まったらニワトリの鳴くおもちゃで店主を呼ぶ仕組みとなっているとの事。
のっけからアクセル全開である(笑)
朝食も兼ねてサファリセット ¥1,400を注文した。
セットを注文した際に店主に「食事!?まぁいいけど」と驚かれたが、朝から食事メニューを注文する客がいるとは思っていなかったのだろう(笑)
ほどなくしてワニの頭部を模った器に盛られたレッドカレーが運ばれてくる。
完全にカレーよりも器が主役と言える佇まいだ。
カレー自体の味は特筆する事はない家庭的なスパイスカレーだった。
食後のドリンクはサイダー。
サイダーだからサイの頭部、つまりダジャレって事ね(笑)
サイの口に刺さっている鉄のストローからサイダーを飲むのだが、これが中腰にならないと何とも飲み辛いという利便性を完全に無視した器である。
食後にはギャラリーにもなっている店内を散策した。
店内のいたる所に独創性の高い現代アートチックな作品が散りばめられており、中には子どもには絶対に見せられないような作品もあった。
店内の展示品は全体的に下ネタが多いように感じたが、店名にもなっているスプーンアートの実力は本物であった。
良い意味でふざけた展示品が多い店内だが、ここスプーンアートカフェの店主はメルボルン国際芸術賞やひろしまナイト美術大賞に入賞している折り紙付きの経歴を持った造形作家であるから本当にすごい方である。
こちらのウルトラマンはスプーン約1,000本を使って作られたという超力作。
一体どれだけの時間と技術を費やせば出来るのか見当もつかない。
店内には数多くのスプーンアートももちろん展示してあった。
ウサギとペンギンのスプーンアートが個人的にとても気に入り、カフェ店内で売っていたスプーンアート作品も購入させて頂いた。
「トイレは是非見てね」と店主がおっしゃっていたので、トイレを見てみるとこれまた強烈な空間だった。
トイレは天国と地獄に分かれている。
そもそもトイレが天国と地獄に分かれているという時点で大分意味が分からないのだが・・・。
天国の方は和式トイレで氷川きよしと無数の札束(もちろん偽物であった)が壁に貼り付けられていた。
天国のイメージが控えめに言って狂っている(笑)
地獄の方はと言うと、これがもう今まで生きてきた中で一番ショッキングなトイレだった。
扉を開けるとレーダー音とうめき声が響き渡り、洋式トイレの周りにはこれでもかとおぞましい仮面や造形物で埋め尽くされている。
いや、これは子ども泣くって!
というか大人でも夜に見たら怖いと思う。
写真を掲載するか迷ったが、店主の本気を感じたトイレだったので掲載する事にした。
くれぐれも下記の画像はやや閲覧注意でお願いしたい。
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結局スプーンアートカフェには約2時間滞在し、非常に濃い時間を過ごした。
しかし、ずっといると頭がバグりそうになる空間だった・・・!
※店内の写真は全て許可を得て撮影
信州安曇野田んぼアート・安曇野スイス村
最狂空間・スプーンアートカフェを出た後は、レンタサイクルして安曇野市を自転車で巡る。
まずは信州安曇野田んぼアートを見に、安曇野スイス村へと向かう。
安曇野市は市街地を出るとすぐに山々に囲まれた田園風景が見えてくるため、自転車で走っていると心地良い感覚になれる。
安曇野の田園風景を楽しみながらサイクリングして道中寄り道しつつも、約40分程で安曇野スイス村に到着。
特徴的な外観の建物にはレストランやお土産屋が入っていて、道の駅的な感じで観光の合間に寄ると良いのかもしれない。
スイスに行ったことがないから分からないけど、スイスの建物ってこういう感じなのかな。
安曇野スイス村の敷地内にはお目当ての信州安曇野田んぼアートを一望できる展望台がある。
300円払って展望台に上がって田んぼアートを見るという仕組みになっている。
展望台に上がって田んぼアートを見下ろすと、そのクオリティの高さに驚く。
2019年は大河ドラマ「いだてん」が放送された年なので、それにちなんで「いだてん」の田んぼアートだった。
信州安曇野田んぼアートは毎年6月中旬から9月下旬までの夏季限定で見る事が出来るが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止が決定してしまっている。
こちらも来年の夏には田んぼアートが再び見られる事を期待したい。
日本一のわさび園・大王わさび農場
冒頭でも少し触れたように、安曇野市は全国的にも有名なわさびの名産地である。
その中でも大王わさび農場は日本最大規模のわさび園で、年間120万人もの人が訪れる安曇野市随一の観光スポットだ。
となれば安曇野市を訪れたら大王わさび農場に行かない理由がない。
大王わさび農場に着いたのがお昼の14時前でお盆だった事もあり、お目当てだった本わさび丼は既に終了してしまっていた・・・。
そこで気を取り直して、売店でわさびビールを購入。
わさびのピリリとした辛みがビールを引き締めて、夏にぴったりな風味爽やかなビールだった。
味覚と嗅覚だけでなく五感全てで大王わさび農場を楽しむべく園内を散策。
北アルプスからの湧き水で育つわさびの名産地なので水が本当に綺麗で、見ているだけでも心が洗われる思いになった。
また、ここ大王わさび農場は黒澤明監督の映画「夢」のロケ地にもなっている。
園内にはわさびの銅像もあった。
家族で来ていた人達がここで写真を撮っていたから、記念撮影スポットになっているのだろう。
こちらは実際にわさびを栽培しているわさび田である。
そんなわさび田を眺めながら食べるわさびソフトクリームは格別に美味しかった・・・!
次に安曇野を訪れた時は早めの時間に大王わさび農場に行って、今度こそ本わさび丼を食べられるようリベンジしたい。
忘れられない絶景・安曇野の田園風景
最後に安曇野市を語る上で欠かせないのは、やはりこの素晴らしい田園風景だと思う。
北アルプス連峰に囲まれた田園風景は本当に見る者を魅了する。
開放感のある道と夏の青空とのコントラストがまた良い。
そしてこの絶景。
まさに日本の原風景と呼ぶに相応しい景色だと感じられた。
カメラだけでなく肉眼レフにもしっかりとこの景色を焼き付けた。
そして帰りの電車の時間が迫っていたので、安曇野市ともこれでお別れ。
名残惜しさはあったが、不思議とそれほど哀しくはなかった。
色濃く残った1日半の思い出はきっと心の内に残り続けるだろうから。
長野県安曇野市で過ごしたあの夏を忘れない。
皆さんももし機会があれば一度安曇野市を訪れてみて欲しい。
そしてできれば夏に行く事をおすすめしたい。
きっと忘れられない夏になるだろうから。