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二人で子育てするために「ご機嫌」に「ホウレンソウ」しよう

何年一緒に暮らそうが、夫婦だって別々の人間。おでこを三日三晩くっつけたところで、精神世界で繋がって言葉を交わさず意思疎通が出来るようになることはない。ふたりで暮らしているだけなら、問題にならない些細なことも、子育てを始め精神的にも肉体的にも疲れ果ててくると、少しの行き違いでケンカになったりする。社会に出て仕事をしていれば、幾度となく言われ続けているはずのホウレンソウは家庭にだって必要だ。そして二人で育児をするなら、ホウレンソウはこれまでよりも何倍も大切になる。

「あ・うん」の奇跡じゃ、やってけない

先日、授乳中の彼女と我が子を眺めていたら、彼女の髪がおでこに垂れていた。彼女が右手に持った哺乳瓶を我が子が咥え、左手では頭を支えている。「おでこ痒そう」そう思って、垂れた前髪を耳にかけたら「えええ、すごい、なんでわかったの?」とえらく関心されて見つめられて目が合った瞬間「この子、恋に落ちたな」と思った。いや、すでに結婚して出産済みだった。ちなみにこれは、哺乳瓶で授乳中どれだけ不自由なものか、わかっていたから出来たことだ。「あ・うんの呼吸」とは呼ばないかもしれない。お互い授乳中に「スマホ取って」「リモコンとお茶、ここに置いてくれる?」と幾度となく言っていたからできたことだ。

実際、身動きとれんのよ

確かに、たまには「あ・うんの呼吸」的なものが通じることはある。何年か一緒に暮らせば、わかってくる部分もあるし、育児のように同じ作業を毎日何度も繰り返せば、かなり鈍感な人だって気が付くようになるだろう(気が付いたあとに行動するか、気が付かないふりをするかは別の話)。しかし、基本的には夫婦だろうと、口で言わなきゃ何もわからない。二人で育児を分担するようになって思ったことは「これはもう仕事のように綿密な計画と柔軟な対応のための打合せ、そして、引継ぎが必要不可欠」ということだ。

求められる計画性と柔軟な対応

子育てはパズルのようだった。例えば条件はこうだ。

★授乳はだいたい3時間前後毎。1回の授乳量は月齢別に目安があります。母乳は欲しがるだけ飲ませていいけど、ミルクは量を守ってね(←混合の場合はどうするの?いまだ謎)

★授乳で使った哺乳瓶、搾乳機などは全て洗って消毒しましょう。消毒液には1時間漬けるように。また、消毒液は1日に一度交換しましょう。(「昨日、消毒液交換したっけ?」「それ、おとといじゃない?」と何度繰り返したことか)

★オムツ交換は随時おこないます。オムツ交換後は手を洗ってから赤ちゃんに接する必要があります。

★授乳後30分以内の入浴は避けましょう。

★入浴は1日1回、遅い時間は避け、浴槽の温度は38℃前後、お腹などにはガーゼをかけて、身体を洗うときは首などのしわを丁寧に。でも5分以内。

★入浴後は顔を拭いて、全身の保湿、へその緒の消毒も忘れずに。油断すると臍の緒失くすぞ!

などなどキリがなくルールがある。これら全ての条件を満たす最大限の努力をしながら、気まぐれに寝たり起きたりして、起きたら泣いて訴える我が子のご要望を満たしていく作業は簡単ではない。そして、これらの合間を縫って、自分たちの生活に必要な家事を並行して行う必要もある。さらに「めちゃくちゃ泣いちゃって、ミルクが半分しか飲めなかった」「なんかずいぶん長く眠っている」「他の子より絶対、かわいい!」「急に起きて泣き出した」「なんか、鼻詰まって苦しそう」「なんか湿疹できちゃってる…」「あ、かわいい!」「おばあちゃんが写真送って欲しいだって」などのハプニングや「我が子かわいい発作」が起こる度に予定が狂う。その都度、条件を満たして修正スケジュールを共有する必要がある。「いや、それよりお風呂を先に…」「それにしても、この顔かわいくない?」「そしたら、もうミルクあげないと…」「ところで、この写真見て…」などと細かな打合せを繰り返していく。これらを寝不足+筋肉痛に悩まされている二人で滞りなく行っていくためには、相当の「コミュニケーションスキル」と「自分をご機嫌に保つ力」が必要だと思う。

かわいさで、苦労かけてすまんなー

特に「自分をご機嫌に保つ力」は、ものすごく重要だと思う。赤ちゃんは自由で不安定。計画していたスケジュール通りに進まない。その度にイライラしていたら、パートナーとの打ち合わせが円滑に進むわけがない。二人とも素人で、結論なんて出せやしないのに議論はぶつかる。だからお互い「ご機嫌である」ということが重要だと思う。ご機嫌でないと相手の話を聞けなくなるし、相手だって伝える気が失せる。結果、最後まで意見をぶつけた方の意見で物事が進み、途中であきらめた方の心には不満が積もる。これから何年も育児は続くのにスタートからそれではきっといけない。お互いに不満をゼロにすることは不可能だろうけど、他ならぬ我が子のためだ。バランス良くお互い妥協し、ご機嫌に務める方が良いと思う。ちなみに実際は違う場合でも、ご機嫌な「振り」を続けていると、不思議と本当にご機嫌になっていくので、きっと、それでも良い。

正確な引継ぎ業務のために

せっかく二人で育児をするなら、30分でも1時間でも育児から解放される時間を作ってあげたい。授乳やオムツ交換はある程度決まった間隔で行うことなので、交代する時には、我が子の状態を引継ぎ連絡する必要がある。授乳とオムツ(の中身)については、彼女がアプリに記録していたので、必要に応じて画面を共有する。はじめの2ヵ月は、おっぱいから直接飲むことが出来なかったため、搾乳しつつ、粉ミルクも併用していたので、量を明確に管理することができた。「さっき、50(ml)しか飲まなかった」「じゃあ、80作ってみよう」と会話できたので、僕も常に量を把握できた。60か80か迷っているときに僕が「80でいいんじゃない?」と即答できたことはよかったなと思う。小さなことでも決めるのは大変だから。決断は精神をすり減らすらしいから、決断も分け合った方が良い。「そんなこと、どっちでも」そう思うなら決めてあげると良い。だいたいどっちでも間違っちゃいないし。

あなたが決めてあげること、それが優しさだよ

困ったのはオムツ交換の方(別に困ってはいないか…)。おしっこは、量は別としてオムツに青いラインが現れるのでわかる。でも、うんちの方の「どのくらい」が表現できない。途中から「500円大」「小指の爪にも満たない」「片手ではとてもではないが覆いつくせないほどの」「今にもギャザーを超えんばかりの」(汚い話すみません)などと表現して面白がっていたが、ある日ちょっとだけのうんちを「寸ち(すんち)」と呼んだのにピンときて、それに対して大量の場合を「大ち(だいち)」と定めた。母なる大地をイメージさせる響きが良いと満足している。これにより「寸ち」「うんち」「大ち」という単語で、数値化できないものを簡単に表現できるようになり、引継ぎ業務に役立った。専門用語は、短い言葉で情報をやり取りできることにおいて有効な手段だ。

「〇時△分に母乳80ml、寸ち1回のみ」

「ラジャー、次回□時△分ミルク80ml予定、近々、大ちの可能性高し」

ほら、カッコいい

恥ずかしいから、あんまり言わんで

小さなことを沢山話し合おう

このように沢山会話をしていくことで、共有している情報が増えていくと、お互いやっていることがわかるから、先回りすることが出来る。先回りしてもらうと「お、流石、やるじゃん」となるので気持ちがいい。こういうところは本当に育児も仕事も同じなので、仕事が出来る人はきっと育児も出来る。ご機嫌にしっかりホウレンソウすれば、物事は円滑に進む。でもどちらかが疲れ切ってから頼るのは、きっと難しい。指示をすることが面倒になって、つい自分でやってしまうけど、それでは解決しない。

だから「やらなきゃな」と少しでも思っている人は、今すぐに「どうしたらいい?何か手伝いたい」と声を掛けるべきだし、声を掛けられたら「これをこうしてくれるとうれしい」と面倒でも手取り足取り教えてあげて欲しいなと思う。その瞬間は面倒でも、「この先ずっと」を改善することになるかもしれない。そうなったら、結果自分が楽になる。不勉強で何も知らんけど今更ながらでも協力してみようと思ったんなら、今からでも役に立ってもらったほうが便利だな、くらいの気持ちで期待は最小限で。

まあ、本人もそう言ってることだし、今までのことは、ひとまず大目に見てやってくれんかの

僕の唯一の後悔は、【出産前に】もっと話し合っておくべきだったということ。退院したばかりの、へとへとな彼女に「これはどうしたらいい?」「どのくらいにしたらいい?」と次から次に聞かないとわからなかったことは、わずらかしかったんじゃないかと思う。一生懸命勉強した彼女からしたら「そんなことも知らないのか」と思ったことだってあっただろう。それでも聞かないと僕は彼女が決めていたことがわからなかったので、わかるまで質問した。それが出来たのは、彼女がへとへとなのに、ご機嫌に対応してくれたおかげだ。もちろん、出産前には考えの及ばないことも山ほどあるのだけど、一緒に勉強したという過程は、すごく大切だとも思う。

いつもご機嫌で。。。

これから出産のお二人には、どんな生活になるのか想像して、沢山打合せをしておくことをオススメします。そのためには、出産を控えた人が無理することなく、少しでもご機嫌でいられるように、パートナーが毎日の生活をフォローしてあげることが前提なので、もし任せてしまっているなら、まず家事をやりましょうね。

いましょうねーーー

「ご機嫌」大切。せっかく、協力してやろうと決めたなら、うまくやって育児をたのしみましょう。


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