おまるのこと、その①
ついにこの話をする時が来た。おまる生活については、途中経過で今後も何度か書いていきたいので「その①」。成果があってもなくても(現状ですでに成果はある)まあいいかぐらいの気持ちでゆるーく始めたことなので、いろいろと大目に見て「こんなやり方もあるんだな~」くらいの感じで読んでもらえるとうれしいです。「おまるやってみたい!」と思った僕もおまるを使うにあたって、いろいろと実際に使っているレポートを読み漁ったけれど、どこのケースもそれぞれだったので、そのひとつとして。
オムツ交換担当大臣として
我が子が産まれて1ヶ月くらい。その頃、我が子はたいがい、うんうん唸って目を覚ましていた。なんとなく、僕はオムツ交換担当大臣として、我が子にお仕えしていたので、唸って目を覚ました我が子を膝に乗せ、お腹をさすってあげることが多かった。そうしていると、唸っているのが少し落ち着いたところで、口をすぼめて「ほぉ~~~」と言っているような顔をする。大人の感覚で見ると、なんとなくオシッコをしているときの何ともいえない表情に見えた。オムツをチェックしてみると「ブルーライン」がクッキリ出ているのでオシッコをしているものの、しかしそれが「ほぉ~~~」の時なのかどうかは、さっぱりわからないのだった。(その前にすでに済ませている可能性があるので)
ミルクを飲む量が増えてくる。こんなわずかな液体を飲んでいるだけで、どうやって、やや固体なうんちを作り出すのか、毎回不思議でならなかったが、うんちの回数や量も飲む量に伴い増えてくる。オシッコと違って、うんちは「ブーッ」とファンファーレが鳴るのでタイミングがわかる(ファンファーレのみの場合もある)。毎日、毎日、お腹をさすり、オムツを交換した結果、なんとなく、いつも同じようなタイミングでファンファーレが鳴っているような気がしてきたのが1ヶ月を過ぎた頃だった。
まさか野田琺瑯が「おまる」を!
オムツ交換大臣として先を見据えた時、決して無視できないのがトイレトレーニング。いったいいつから?どうやって?毎日、オムツを交換していれば、当然沸いてくる疑問を調べてみると、当然「おまる」にも行き当たる。「おまる」すぐに頭に浮かぶのは白鳥のようなアヒルの形をして取っ手のついたアレ(イメージが平成飛び越えて昭和)。早速「おまる」で検索してみると、カラフルでキャラクターがくっついたものが溢れ、中にはスマホスタンド付きのものまであった(でも、アヒルもあって安心)。しかし、その中で一つ異彩を放っていたのが【野田琺瑯】のおまるだった。
そのおまるは、他のどれとも違い、リビングのローテーブルの下にあっても、何の違和感もない美しさを持っていた。来客があっても、まさか「おまる」だとは思うまい(実際、リビングのローテーブルの下が現在の定位置)。一応、家に置くものについては、いつもそれなりに気をつかって選んでいるつもり。誰しもから「アンパンマンからは逃れる術はない」などと言われてはいるものの、我が子におもちゃを選ぶ選択眼がない今のところは大人の我々が「家に置いてOKなもの」を選んでいる。そしてそれは「おまる」とて例外ではない。
直ちに野田琺瑯の公式HPを検索するも、商品リストにその姿はない。楽天やAmazonのページでも売切れ状態。商品ページをよく読むと、どうやらショップのオリジナル商品(別注商品)らしく、そのショップのページを覗くと2月の後半に再販するとのことで「いずれにしろいつか使うだろう!」と勢いで予約した。
おむつなし育児!?
驚いたことに、その商品ページを見ると、おまるの使い始めが2ヵ月、3ヵ月は当たり前、中には「退院して自宅に戻ってからは使っています」(つまり生後1週間!)という人までいて「0歳~4歳まで買い替えなくてOK」とある。リサーチしていた結果は「おまるは2歳前後から開始」だったので、大変な衝撃を受けた。そして、その生後数カ月の子たちがおまるに座る姿のかわいさに卒倒した。同時にオムツ交換担当大臣として、おまるユーザーのカッコ良さ、そして憧れの気持ちを抑えることができなかった。
そして【おむつなし育児】なるものにたどり着く。【おむつなし育児】なんか意識高過ぎて怖い!と思ったものの、いろいろ読み漁っていくと、印象は変わっていった。到着まで2週間。順番がおかしくなったが、彼女に相談。「【おむつなし育児】って、聞いたことある?なんか新生児のときから、おまるを使うらしいんだけど…」と聞くと、初耳の様子。一人でいろいろ調べたことを話してみた。
「おむつなし」という言葉が先行するが、それが目的ではなく、トイレで用を足せない一因が「解放空間で排泄することが怖い」ということらしく、そこだけでも解消しておけば、トイレトレーニングが楽になりそうであるという予想。「オムツで排泄することが普通になる」ということに対する違和感が僕の中でとても強くなったこと。加えて「すごく清潔そう」ということにも惹かれている。ついでに書けば「なんか、2ヵ月でおまるで出来るようになるなんて、めっちゃカッコいいな!」という気持ちもあるのも確か。僕も居る時だけチャレンジに付き合ってくれれば良い。などなど、話してみると、彼女もまんざらでもない感じだった。これで、すでに予約が済み入荷待ちであることも告白できた。あーよかった。
最初から約束したことは「自分たちも無理しない」「我が子にプレッシャーかけない」「1日1回でもキャッチ※できたらラッキーくらいの気持ちで楽に取り組む」「基本的に紙オムツ生活であることは変えない」ということ、つまり【おむつなし育児】ではなく【おまるある育児】をするということ。
それから2週間、我が家に「おまる」がやってきた。
夕方、荷物を受け取り、梱包を外して取り出す。すでに1週間も前に届いていたおまるカバー(直接、琺瑯が当たってつめたくないように、座る部分に被せるカバー)を付けて、しばらく眺める「かわいい…」。その時すでにこの世のものとは思えないほど可愛く成長していた2ヵ月半の我が子がこれに座るかと思うと、気を失いそうになったことを鮮明に記憶している。
そして、そのわずか数時間後、うんうん唸った我が子を恐る恐る抱えてセットしてみると…。
なんと、到着初日にして、初めてのキャッチ※に成功したのだった。
その時の私たちの興奮は、言葉では書き尽くせない。「すごい!」「うそ!?」「えらい!」を超えて「天才!」「神童!」あらゆる想いが頭を駆け巡った。とにかく、澄ました顔で我が子は、事もなげにおまるで用を足した。
おまる後、初めてのおしりふき。「…え?な…なにもつかない?」まさか、私たちの妄想が先行し過ぎて、幻聴+幻視+幻臭まで感じたというのだろうか?そんなことまで思うほどに、おしりふきはきれいなままだった。「清潔過ぎる」「気持ち良すぎる(僕が)」二重の感動が僕を襲った。おまるの中のそれをどうやって捨てるのか、そんなことも考えないうちの出来事だった。そのまま、我が子を神輿に乗せて駅前通りでパレードしたい気持ちを抑えて、いつもと変わらぬ我が子には寝てもらったのだった。
おまるのこと②へ、つづく
※この界隈で、おまるで用を足すことに成功することを「キャッチする」というそうです。