[朝の読み聞かせ]高学年でも楽しめるアルファベットの絵本
小学校の英語教育には色々な意見がありますし、現状のままでは現場の先生の負担が大きすぎると個人的には思っています。ただ、どうせやるなら、ちょっと「英語に親しむ」だけでほとんど実にならないというのではなく、中学の英語学習につながるような授業をしてほしい。わざわざ貴重な時間を割くわけですからね。
うちの長男の場合、小学校でアルファベットを使って英語を書くという授業がまったくなかったため、中学入学後、かなりローマ字と混乱し、慣れるまで苦労していました。「せめて初歩の『書く英語』を小学校でやっておいてほしいなあ」と思っていたのですが、4年生の次男はこの前、アルファベットで書く練習をしたそうです。
ということで、今回の朝の読み聞かせでは『AはアフリカのA アルファベットでたどるアフリカのくらし』(イフェオマ・オニェフル作 さくまゆみこ訳 偕成社)を読むことにしました。私は図書館で借りましたが、残念ながら今は絶版のようです。
アルファベットを入り口に世界の広さを知る
アルファベットの絵本はたくさん出ていますが、幼児や低学年にはいいけれど、高学年に読むにはちょっと・・・というものが多いような気がします。その点、この『AはアフリカのA』は、アルファベットを入り口に日本の子どもたちには馴染みの薄いアフリカの暮らしぶりを知ることができる、堅い言葉でいうと異文化理解にもつながる一冊です。
実際、日本の子どもたちにとってアフリカは遠いようです。念のため、世界地図を持っていき、読み始める前に地図を広げながら、「アフリカがどこにあるか、知らない人いるかな?」と聞いたところ、南アメリカ大陸とごっちゃになっている子もいました。
そこで地図を指しながら、「アフリカは人類発祥の地で、人間はみんなアフリカのこのあたりで生まれた人を祖先に、世界中に広がっていきました」という前ふりをしてから、読み聞かせに入りました。遠い知らない地域についての本というのではなく、はるかな時を超えて自分たちとつながりがある場所なのだという興味を持ってほしかったのです。
奇しくも、最初のページとなる「AはAfricaのA」の文章には、「アフリカ大陸は、みんなのふるさとです。」という文章があります。ここでの「みんな」はアフリカの人々を指すのだと思いますが、私は読むときに、それに加えて「人類みんな」という想いをこめました。
写真の「伝える力」
この絵本の著者はナイジェリアのイボ人の家庭に生まれ、ナイジェリアの通信社のカメラマンや新聞社の通信員として働くかたわら、アフリカの暮らしや文化を伝える写真絵本を創作しています。この絵本の他、『おばあちゃんにおみやげを アフリカの数のお話』『おとうとは青がすき アフリカの色のお話』『いっしょにあそぼう アフリカの子どものあそび』『たのしいおまつり ナイジェリアのクリスマス』が日本で翻訳されています。どれも、ナイジェリアの素朴な村の風景やいきいきと暮らす人々を写した写真に思わず惹き込まれる絵本です。
AからZまで読んでいくとそれなりに長いのですが、インパクトのある写真に惹かれて、子どもたちも飽きずに見入ってくれました。人々の肌の色も、着ている服も、住んでいる家も、食べ物も、風景も、そして握手のしかたも、日本とは違います。
子どもたちから思わず声が上がったのは、
「CはCanoeのC」の「カヌーにのって、友だちにあいにいく人や、学校にかよう子どももいます」(カヌーにのって学校に行くなんておもしろい!)
「KはKola Nuts(コーラの実)のK」(「コーラの実」ってなにそれ?!)
「PはPot(つぼ)のP」(つぼを楽器にするんだ!)
などなど。
一応アルファベットの本なので、言葉は英語の発音で読めるよう練習していきました。(変に恥ずかしがらずに、堂々と読むのがいいと思います!)
さっと読めば10分程度ですが、子どもたちにとってはあまり見たことのないアフリカの暮らしや文化を少しでもこの絵本から感じてほしくて、少しゆっくりめにページをめくるよう意識しました。一応、時間が余ったときのためにタンガニーカ(タンザニア)の昔話「かしこいお医者のやせぐすり」(『子どもに聞かせる世界の民話』)も用意しておいたのですが、最初に地図を見せたりしたので、ちょうど時間どおりに終了!
英語は世界中で話されている
絵本を読み終わった後、「アメリカやイギリス、オーストラリアなどの国だけでなく、アフリカにも英語を話す人はいます。みんなが英語を話せるわけじゃなくても、『私は英語が話せる』という人が必ずいるので、みんなも英語を勉強すればアフリカの人たちとも話せるようになるんですよ」と、一言添えました。
なんのために英語を勉強するのか、子どもたちはまだよくわからないまま授業を受けているかもしれません。でも、「そうか、英語を勉強すると世界のいろいろな国の人と話ができるようになるんだな」ということが、この絵本と一緒に心に残ればいいな、と思っています。
読んでいただいて、ありがとうございます!