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[朝の読み聞かせ]月がきれいな季節に

月がきれいな季節です。

朝の時間の読み聞かせをしている小学校4年生のクラスでは、ちょうど今、月の観察を学習していることもあり、月に関する本を探しました。

1冊目は月にまつわる昔話絵本

1冊目は、『グリム童話より 月はどうしてできたか』(ジェームズ・リーブズ文 エドワード・アーディゾーニ絵 矢川澄子訳)。タイトル通り、月の由来を語る昔話です。

昔は月がなくて、夜、ランプを持たずに外に出れば真っ暗闇の中でごっつんこしてしまうので、皆、日が沈めばさっさと寝ていました。ある日、エクスという、どこより夜が暗い村に住む4人兄弟がワイという村に仕事に出かけると、夜になっても薄明るいことに驚きます。明かりの元は樫の木に吊るされた月(!)。村人に聞くと「市長さんが2ポンドで買ってきた」というのです。4人兄弟は「こういう便利なものは俺たちの村にこそ必要だ」と、この月をこっそり盗み出すのですが、兄弟がひとりずつ亡くなる度に自分の分前として4分の1ずつお墓に持っていくので、とうとう4人全員が亡くなると、今度は死者の世界が明るくなって大騒ぎに・・・というストーリー。

低学年にこの手のおはなしを読むと、科学的知識がある子が「違うよ、月はね・・・」と説明を始めたりするのですが(それはそれでかわいい)、4年生ぐらいになると、おはなしはおはなしとして楽しんでくれるという感じです。

『チムとゆうかんな船長さん』シリーズやファージョンの挿絵で知られるアーディゾーニの絵も魅力的ですし、突然月に照らされて飲めや歌えの大騒ぎを始める死人たちも、なんだかユーモラス。4年生という年齢だからこそ、こういうシーンも怖がらずに楽しんでもらえた気がします。

月の由来話は世界各地にありますが、街灯がなかった時代の昔の人は夜の月明かりに本当に助けられてきたのだ(だから「独り占めしたい」というタイプの話も多いのかも・・・)と、改めて感じました。

2冊目はシンプルな科学絵本

この『月はどうしてできたか』が、私が読むスピードで、だいたい10分くらい。朝の読み聞かせは15分なので、あと5分、なんとかしなければいけません。

この組み合わせに毎回、頭を悩ませます。1冊目とはタイプが違い、聞く側も気分を変えて、授業にすっと入っていけるような本が理想ですが、5分で読める本を選ぶのは、なかなか難しい。私は2冊めはできるだけ科学絵本を選ぶようにしているものの、このジャンルも中学年以上にも満足してもらえる内容となると情報量が多い本がほとんどで、短い時間では読めません。

今回も直前まで悩みましたが、地元の図書館で『つき』(山田和さく 福音館書店)をみつけました。

3日めの月から26日めの月まで1ページずつ、モノクロ写真と上る時間・沈む時間が載っている、とてもシンプルな絵本です。でもページをめくっていくだけで、「1日でこんなに変わるんだ!」と驚く子もいるなど、月の神秘が伝わってきます。

それぞれの月の「月が上る時間・沈む時間」を読まずに、写真だけを見せていってもいいと思いますが、その部分を読んでもちょうど5分くらいでした。時間内に収められると気持ちがいいです!

この本は残念ながらもう絶版のようで、アマゾンでは中古しか販売されていませんでした。ぜひ図書館で探してみていただければと思います。



読んでいただいて、ありがとうございます!