ARサービスを0から企画・開発していく際のチェックシート
ARサービスを0から企画し開発していく際に、必ずチェックすべきポイントを1枚のシートにまとめてみました。
ARサービスには「面白いけどこれ何に使えるの?」や「それARでやる意味あるの?」となってしまうサービスが多いですが、そうしたリスクを回避するのに重要な観点をこのシートに盛り込みました。
また、ARサービスはアプリを使い始めてもらうきっかけや動機の設計や、複雑になりがちな操作方法を分かりやすくユーザーに示すことが非常に重要になってきます。それらUX上の観点も漏れないようにシートを設計しました。
ARサービスチェックシート
ARサービスチェックシートは、大きく3つのパートに別れています。
- サービスに本質的な価値があるかを確認するProblem Solution Fitパート
- ビジネスとして成り立つものかを確認するBusiness Model & Advantagesパート
- サービスの体験が正しく設計されていて、かつ持続的に成長できるものになっているかを確認するUX&Growthパート
以下では各パート毎に解説していきます。
Problem Solution Fit
エンタメサービスなどの一部例外を除いて、サービスが「誰の・どんな課題を・どうやって解決するか」、すなわち「顧客・課題・解決法」の構造になっています。
したがって、新しいサービスを考える上では、以下3つの観点が非常に重要です。
1. これはどんな人のどういった課題を解決するものかを明確に定義する
2. その課題で、ユーザーは本当に困っているか(作り手の思い込みじゃないか)をしっかりと検証する
3. その課題を解決するものとして、解決法は最適なものになっているかを検証する
1をしっかり考えられていないと「面白いけどこれ何に使えるの?」というサービスになってしまい、2をしっかりと検証できていないとサービスを公開した後に当初の想定よりも全然使ってもらえないという事態に陥ってしまいます。
2の検証方法については、Javelin Boardというフレームワークが非常に強力です。
Javelin Boardを使った検証方法を自著に詳しくまとめているのでご興味ある方は手に取ってみて下さい。
3に関しては、その課題を解決する手段としてスマホアプリやWEBサービスよりもARの方が圧倒的に優れているか、すなわちARである必然性を徹底的に問うことが非常に重要です。
ここの設計が弱いと、「それってARじゃなくて普通のスマホアプリで良くない?」となってしまうので、ARサービスを作る上で一番のハードルになるかと思います。
ここを設計するにあたっては「そもそもARの本質的な価値は何なのか」に立ち返ることが非常に重要です。
ARの本質的な価値は様々な切り口で表現することが可能ですが、一つの切り口として参考までに過去自分が執筆した以下記事を参考にしてみてください。
Business Model & Advantage
単に便利なサービスで終わってしまわないように、しっかりと収益を得る道筋を立て、かつ他のプレイヤーが全く同じサービス、ビジネスモデルで市場に参入してきた際にも勝ちきれる理由作り、すなわち競合優位性の設計をしておく必要があります。
競合優位性に関して稀に市場への早期参入を挙げる方がいますが、基本的に市場への最初の参入者ということ自体は競合優位性になりません。
では何が競合優位性になるのかというと、基本的に以下の要素がなることが多いので参考にして下さい。例えば市場に早期に参入した結果、巨大なネットワーク効果が築ければそれが強力な競合優位性になります。
UX & Growth
ARサービスをユーザーに使い始めてもらうきっかけや動機作りは非常に重要です。
例えばある店舗で体験できるARアプリがあったときに、そのARアプリで空間を見たときに素晴らしい体験が得られるとしても、その素晴らしさを体験してもらう前にアプリをわざわざダウンロードしてもらうというのは、緻密な動線設計なしには実現しません。
使い始めてもらうハードルを超えたあとは、ユーザーがきちんとサービスのコア機能にたどり着けるように動線設計する必要があります。
その導線の中でユーザーが混乱したり難解な部分がないか、複雑な操作を要求していないかを確認しましょう。
そして、それらが確認できたあとは、ユーザーがもう一度サービスを使いに戻ってくる仕組みを設計できているかを確認しましょう。それを設計する上でNir Eyalの「ハマるしかけ」は非常に大きなヒントを与えてくれます。
縦バージョンもどうぞ
まとめ
このチェックシートの項目はどれも当たり前の事柄ばかりです。
しかし実際にこれら当たり前の事項をクリアしたARサービスを作り上げるのは非常に難易度が高く、しばしばこうした大事な観点を見てみぬ振りをしてとりあえず作られたサービスも多い。
愚直にこうした当たり前のことを一つ一つ丁寧に積み上げていって初めて、本当に価値のあるARサービスを作ることができると考えているので、自分たちが作るARサービスではこれらの観点を考え切っていこうと思います。
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